【追想五断章】 米澤穂信

◆◇◆真実は永遠に凍りついている◆◇◆

米澤穂信(シリーズ外)
長編
集英社 2009.8
  集英社文庫 2012.4
20このミステリーがすごい!2010年版 国内部門第4位


■あらすじ

大学を休学し、伯父の古書店に居候する菅生芳光は、ある女性から、死んだ父親が書いた五つの「結末のない物語」を探して欲しい、という依頼を受ける。調査を進めるうちに、故人が20年以上前の未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことがわかり──。五つの物語に秘められた真実とは? 青春去りし後の人間の光と陰を描き出す、米澤穂信の新境地。精緻きわまる大人の本格ミステリ。
(集英社文庫より)

 

■テーマ  

  リドル・ストーリー

 

■感想

ほのかな大人の香り

この作品は、【このミステリーがすごい!2010年版】で、国内部門第4位に選ばれた作品です。
リドル・ストーリー(結末が書かれておらず、読者に委ねる物語)を探し求めるお話ということで、
前々から非常に興味を持っていました。なので、待ちに待った文庫化、即買い、即読みしました(笑)
米澤作品は、古典部シリーズや小市民シリーズなどの青春ミステリのイメージが強く、
10代・20代の若者向けな感はありますが、この作品はちょっと大人の香りがする作品です。

伯父が経営する古書店の店番をする菅生芳光の前に、北里可南子と名乗る若い女性がやってきた。
亡くなった彼女の父が書いた5つのリドル・ストーリーを探してほしいという。
芳光は、報酬が高額だったのと、自分の置かれている状況から現実逃避したい気持ちがあったので、
可南子の依頼を引き受けることに。

 

白黒つけるリドル・ストーリー

実はこの5つのリドル・ストーリーには、それぞれ結末が用意されていて、既に可南子の手元にあります。
結末があったらリドル・ストーリーとは言わないのでは?と思われるかもしれませんが、
それがこの作品に仕組まれた大いなる仕掛けなのです。
可南子の父のペンネーム・叶黒白も意味深ですね。白黒つけないのがリドル・ストーリーですから。

散逸した物語が思わぬところから出てくるので、パターン化されず飽きさせません。
もちろん出てきた物語は結末とともに紹介されるので、作中作を読む楽しみもありますね。
内容は人の死に関するブラックなものばかりだけど(^^;)

 

リドル・ストーリーに隠された本当のストーリー

そして芳光が調査を進めるうちに、可南子の父が、
昔世間を賑わした未解決事件「アントワープの銃声」の容疑者だったことが判明します。
この「アントワープの銃声」事件は、実際に起きたある事件を連想させます。
(この妻殺しの犯人は、獄中で自殺するという結末を迎えましたが、
これも本当に自殺だったのか、疑惑の残るところです。)
可南子の父は、「アントワープの銃声」を受けて、5つのリドル・ストーリーを書いた。
小説というフィルターを通して、世間に伝えたいことがあったのです。
ここで先ほど述べた仕掛けが明らかになります。
すると今まで見えていたのと全く違う絵が見えてくるではないですか!いや~鳥肌ものでした。
読み終わった後、ぜひ冒頭を読み直してみてください

一つだけ難を言えば、古書店でアルバイトをしていた久瀬笙子がもっと物語にからんでくるのかと思ったのに、
途中で舞台から降りてしまったのが残念でした

 

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★★

 

■こんな方におすすめ!

  • リドル・ストーリーに興味がある方
  • 青春ものはちょっと面映いなと感じる方
  • 古書店の仕事に興味がある方
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Category: 米澤穂信
Published on: Sat,  05 2012 22:56
  • Comment: 4
  • Trackback: 1

米澤穂信 リドル・ストーリー

4 Comments

mokko  

リドルストーリー

初めて知りましたぁ~
ミステリの手法は色々あって覚えられません(;´▽`A``
でもこれは本当に面白そうですね
作中作っていうのが既に面白そう。
米澤さんは積んでる本がまだあるので、とりあえずは
それを読んでからにします。
しばらくは積読本消化月間が続きそうです(/□≦、)
でもチェックだけはしておきますо(ж>▽<)y ☆

アメブロの仕様が変わったので、アメブロ以外のお気に入りの
更新情報を一目で見られなくなってしまいました。
危く見逃したままになるところでした( ̄▽ ̄;)ゞ

2012/05/06 (Sun) 23:30 | EDIT | REPLY |   

翠香  

mokkoさんへ

この作品、単行本が出た時からずっと気になっていた作品だったのです。
期待に違わず面白かったです(^^)

あ、リドル・ストーリーは、ミステリの手法ではないのですよ。
歴史はミステリと同じぐらい古いそうですが、
結末がないお話で、後は読者のご想像にお任せ!みたいな感じです。

>アメブロの仕様が変わったので、アメブロ以外のお気に入りの
更新情報を一目で見られなくなってしまいました。
そうだったのですね。
しばらくmokkoさんからコメントがなかったので、
嫌われちゃったのかな~と心配していました(笑)
ああ~よかったぁ(^^)

今月末頃にテーマ読みを始めますので、
今のうちに積読本、消化しておいてくださいね~♪

2012/05/08 (Tue) 00:14 | EDIT | REPLY |   

千葉大学推理小説同好会員(T.U)  

『追想五断章』

初めまして、ミステリー処さんと相互リンクさせていただいたということで、拝見しておりました。

丁度、私も『追想五断章』のレビューを書いていたので。楽しく、そして、自分の書評と比較しながら拝見しました。
とても、参考になり、今後に生かせていけたらな、と思います。

自分の書評よりも綺麗にまとまっていて、わかりやすく書かれているので、トラックバックさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
もしよろしければ、承認してください。よろしくお願いします。

今後とも、自分の好きな作家さんが取り上げられた際には立ち寄りたいと思います。

2012/05/12 (Sat) 12:48 | EDIT | REPLY |   

翠香  

千葉大学推理小説同好会員(T.U)さんへ

初めまして。
大学の同好会さんのブログと相互リンク、良かったのでしょうか?
こちらは個人の趣味でやっているブログなので、どうかお手柔らかに(笑)
T.Aさんにもよろしくお伝えください。

レビュー、拝見しました。
私は『氷菓』では、まだハマらなくて、『クドリャフカの順番』でハマりました。
カンヤ祭の様子が楽しそうで、自分も参加している気分になれます。
あと米澤作品では、『儚い羊たちの祝宴』がブラックで面白かったですよ。

またぜひお立ち寄りくださいね(^^)

2012/05/13 (Sun) 16:31 | EDIT | REPLY |   

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