【邪馬台国はどこですか?】 鯨統一郎

author photo

By翠香

◆◇◆この物語はフィクションですか?◆◇◆

鯨統一郎
短編集
創元推理文庫 1998.5


■あらすじ

カウンター席だけの地下一階の店に客が三人。三谷敦彦教授と助手の早乙女静香、そして在野の研究家らしき宮田六郎。初顔合わせとなったその日、「ブッダは悟りなんか開いてない」という宮田の爆弾発言を契機に歴史談義が始まった・・・・・・。回を追うごとに話は熱を帯び、バーテンダーの松永も教科書を読んで予備知識を蓄えつつ、彼らの論戦を心待ちにする。ブッダの悟り、邪馬台国の比定地、聖徳太子の正体、光秀謀叛の動機、明治維新の黒幕、イエスの復活ーを俎上に載せ、歴史の常識にコペルニクス的転回を迫る、大胆不敵かつ奇想天外なデビュー作品集。
(創元推理文庫より)

■感想
少し前に読んだ内田康夫先生の【箸墓幻想】の中で邪馬台国論争が話題になっていたので、
本作のタイトルに興味を持ちました。本作は鯨統一郎氏のデビュー作です。

スリーバレーというカウンター席だけの地下一階の店には、松永というバーテンダーがいる。
そこへ私立大学文学部教授の三谷敦彦、同じ大学の文学部助手で美人で気の強い早乙女静香、
在野の歴史研究家(?)の宮田六郎が顔を揃えると、歴史談義が始まるのだ。

・・・といってもバトルを繰り広げるのは主に静香と宮田なんだけど(^^;)
宮田がとんでもない奇説を持ち出し、静香がキツ~い罵倒の言葉を浴びせつつ反論するも、
宮田がアクロバティックな論理を展開して封じ込めてしまうのがお決まりのパターン。
始めはそんなばかな・・・と思える説でも傍証として資料を列挙され、
説明を加えられる(かなりこじつけも多いけど^^;)とまんざらありうるかも・・・と思えてくるから不思議です。
バーテンダーの松永も始めは二人のバトルにおろおろしていたのに、
次第に議論をけしかけたりして楽しんでますね(笑)。


【悟りを開いたのはいつですか?】
ブッダは悟りなど開いていなかった??

ブッダが愛すべきオヤジに見えてきます(^^;)
ブッダといえば・・・と思っていたことがそのままオチだったので驚いた(笑)

邪馬台国はどこですか?】
邪馬台国は九州でも畿内でもない。東北・岩手だ!!

三谷と静香は九州説を採っているようですが、現在では画文帯神獣鏡の発見があり、畿内説が有力らしいです。
実は東北説も新説としては有名らしく、宮田の説明も意外に的を射ているのかもしれませんね。

【聖徳太子はだれですか?】
聖徳太子は想像上の人物!?

これはまた突飛な(^^;)
肖像画があるからといって現存したことの証明にはならないことは分かるけど、お札の人ですからねぇ。
確かに小野妹子の失態は作為的なものを感じますが。ここでのオチはイマイチ。

【謀反の動機はなんですか?】
「敵は本能寺にあり」・・・明智光秀が謀反を起こした本当の理由。

色々奇行が目立った信長だけど、さすがにこれはないでしょう。
実は本能寺で自害などせずにどこかへ逃げのびたという説もあるそうだし。こりゃキムタクもびっくりだ(笑)

【維新が起きたのはなぜですか?】
明治維新はある一人の人物によって成し遂げられた!

この人物が新しい時代の幕開けに大きな役割を果たしたというのは納得できますが、その方法はちょっと・・・。
あの龍馬が操られていたなんて思いたくない~(『龍馬伝』を観ていたので、かなり感情移入しております^^;)

【奇跡はどのようになされたのですか?】
イエスの復活は真実だった!

『キリスト』が『救世主』という意味の普通名詞だとは知らなかった。
イエスの復活にはあるトリックが仕組まれていたというのですが、この説はどうですかねぇ。
まあ諸説ありますからね。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267
◆冷や汗度404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • 歴史の謎に興味がある方
  • 学生の方
関連記事
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ランキングに参加しています。バナーをクリックして応援お願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

Comments 4

miroku  

以前に読みました

面白いですけどね。
新説とまではゆかない。
このあたりの軽さが鯨さんの魅力でもあり、もの足りなさでもあると思います。
しかし、その幅広さはやはり瞠目に値するのかもしれないですね。
たまに気分転換に読んでます。

2012/10/06 (Sat) 21:41 | EDIT | REPLY |   

翠香  

mirokuさんへ

やはり読まれてましたか!
私はこういう謎学みたいなのも結構好きなんです。
まあ新説を真面目に唱えるのなら、論文にするだろうし、
小説にしているということは、創作部分もあるわけで、鵜呑みにするのは危険ですね。
普段私達は何でもネットで調べて分かった気になっているので、
とことん突き詰めて考えるという姿勢は敬意を表しますね。

2012/10/07 (Sun) 00:09 | EDIT | REPLY |   

akane  

読み返したくなりました★

私も以前この作品読みましたが・・・
私自身が歴史に疎いので、フィクション?としてゲラゲラ笑いつつ楽しく読めましたi-80
確か続編もあったよーな・・・i-239

鯨先生の作品は・・・ほとんど読んでいないのですが、この作品がキョーレツだったから色々読みたいと思っていたのになあ~i-194
と、懐かしい気持ちになりましたi-237(笑)
バーで討論っていう設定も、キャラクタも楽しかったですし、読み返してみたいですi-265

2012/10/15 (Mon) 16:34 | EDIT | REPLY |   

翠香  

akaneさんへ

続編、ありますよ。確か世界の七不思議だったかな?
そんなばかなという珍説がほとんどだけど、表題作は結構説得力ありましたねぇ。

鯨作品を読むのはこれが3作目だったのですが、一番まともだったかも(笑)
ドラマ化された六波羅一輝シリーズも読みたいな~。
この作品のメンバーとは違うけど、バーで討論する別作品を読む予定です♪

2012/10/15 (Mon) 23:40 | EDIT | REPLY |   

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

Leave a reply

INDEX (13)
このブログについて (4)
内田康夫 (99)
浅見光彦 (91)
岡部和雄 (3)
竹村岩男(信濃のコロンボ) (3)
愛川晶 (1)
相沢沙呼 (2)
酉乃初 (2)
蒼井上鷹 (1)
赤川次郎 (7)
三毛猫ホームズ (4)
三姉妹探偵団 (1)
芦辺拓 (1)
森江春策 (1)
我孫子武丸 (1)
速水三兄弟 (1)
天野頌子 (1)
陰陽屋シリーズ (1)
綾辻行人 (8)
島田潔(館シリーズ) (6)
有栖川有栖 (22)
火村英生(作家アリス) (18)
江神二郎(学生アリス) (3)
泡坂妻夫 (1)
伊坂幸太郎 (5)
石持浅海 (6)
碓氷優佳 (3)
座間味くんシリーズ (1)
乾くるみ (8)
カラット探偵事務所の事件簿 (1)
井上夢人 (2)
今邑彩 (4)
上田早夕里 (2)
パティシエシリーズ (2)
歌野晶午 (5)
信濃譲二(家シリーズ) (2)
大倉崇裕 (3)
福家警部補 (2)
大崎梢 (5)
成風堂シリーズ (3)
井辻智紀の業務日誌シリーズ (1)
太田忠司 (8)
狩野俊介 (2)
甘栗晃 (2)
朔夜一心(月読シリーズ) (1)
予告探偵 (1)
雪永鋼 (1)
大山淳子 (2)
猫弁シリーズ (2)
岡嶋二人 (5)
折原一 (4)
恩田陸 (9)
神原恵弥 (1)
あ行の作家 (8)
加納朋子 (9)
入江駒子 (3)
市村安梨沙(アリスシリーズ) (2)
ささらシリーズ (1)
神永学 (4)
確率捜査官御子柴岳人 (1)
貴志祐介 (3)
榎本径(防犯探偵) (3)
北村薫 (17)
円紫さんと私シリーズ (5)
新妻千秋(覆面作家) (3)
わたしのベッキーシリーズ (2)
時と人 (2)
北森鴻 (9)
工藤哲也(香菜里屋シリーズ) (3)
蓮丈那智 (3)
旗師・冬狐堂 (1)
北山猛邦 (6)
城シリーズ (2)
音野順 (1)
猫柳十一弦 (2)
霧舎巧 (1)
鯨統一郎 (7)
倉知淳 (2)
猫丸先輩 (1)
栗本薫 (7)
伊集院大介 (5)
黒田研二 (4)
ふたり探偵 (1)
近藤史恵 (7)
今泉文吾(歌舞伎シリーズ) (2)
キリコ (1)
ビストロ・パ・マルシリーズ (1)
七瀬久里子 (2)
か行の作家 (7)
坂木司 (5)
ひきこもり探偵 (1)
篠田真由美 (15)
桜井京介(建築探偵) (12)
蒼の物語 (3)
柴田よしき (8)
猫探偵正太郎 (4)
浅間寺竜之介 (2)
摩耶優麗 (1)
島田荘司 (2)
御手洗潔 (2)
朱川湊人 (2)
わくらばシリーズ (1)
さ行の作家 (8)
高木彬光 (3)
神津恭介 (3)
高里椎奈 (5)
深山木秋(薬屋探偵妖綺談) (5)
高田崇史 (7)
桑原崇(QEDシリーズ) (2)
鴨志田甲斐(カンナシリーズ) (2)
勧修寺文麿 (2)
田中啓文 (1)
笑酔亭梅寿謎解噺シリーズ (1)
田中芳樹 (1)
薬師寺涼子 (1)
柄刀一 (3)
三月宇佐見のお茶の会 (1)
南美希風 (1)
津原泰水 (1)
ルピナス探偵団 (1)
た行の作家 (5)
中山七里 (5)
岬洋介 (4)
七尾与史 (2)
ドS刑事シリーズ (1)
二階堂黎人 (2)
水乃サトル (2)
仁木悦子 (2)
仁木兄妹 (2)
西澤保彦 (14)
匠千暁(タック&タカチシリーズ) (4)
神麻嗣子(チョーモンインシリーズ) (3)
響季姉妹探偵 (1)
ぬいぐるみ警部 (1)
西村京太郎 (2)
名探偵シリーズ (1)
似鳥鶏 (3)
葉山くんシリーズ (3)
貫井徳郎 (3)
法月綸太郎 (5)
な行の作家 (4)
初野晴 (3)
東川篤哉 (5)
謎解きはディナーのあとで (2)
烏賊川市シリーズ (2)
東野圭吾 (43)
加賀恭一郎 (10)
湯川学(探偵ガリレオ) (8)
天下一大五郎 (1)
マスカレードシリーズ (1)
深水黎一郎 (1)
神泉寺瞬一郎(芸術探偵) (1)
は行の作家 (10)
松岡圭祐 (2)
紗崎玲奈(探偵の探偵) (1)
円居挽 (1)
シャーロック・ノートシリーズ (1)
麻耶雄嵩 (1)
貴族探偵 (1)
三上延 (2)
ビブリア古書堂シリーズ (2)
水生大海 (1)
羅針盤シリーズ (1)
道尾秀介 (3)
湊かなえ (2)
宮部みゆき (3)
捜査犬マサ (2)
森川智喜 (3)
三途川理 (3)
森博嗣 (36)
犀川創平(S&Mシリーズ) (10)
瀬在丸紅子(Vシリーズ) (10)
真賀田四季 (4)
海月及介(Gシリーズ) (1)
百年シリーズ (2)
水柿助教授(Mシリーズ) (1)
森谷明子 (3)
ま行の作家 (7)
山口雅也 (2)
垂里冴子 (2)
山田悠介 (1)
柚月裕子 (1)
佐方貞人 (1)
米澤穂信 (13)
折木奉太郎(古典部) (5)
小鳩常悟朗(小市民) (3)
紺屋S&Rシリーズ (1)
や行の作家 (5)
若竹七海 (1)
ら行・わ行の作家 (1)
アンソロジー (6)
共著・合作 (1)
ノベライズ (1)
相棒 (1)
海外ミステリ (48)
ジョン・ディクスン・カー (5)
エラリー・クイーン (4)
アガサ・クリスティ (5)
コナン・ドイル (4)
ミステリー副読本 (6)
日本古典文学関連 (3)
ドラマ (185)
浅見光彦(ドラマ) (29)
信濃のコロンボ (6)
相棒(ドラマ) (33)
名探偵ポワロ (9)
SHERLOCK(シャーロック) (2)
ライアーゲーム (9)
東野圭吾ミステリーズ (11)
加賀恭一郎(ドラマ) (2)
ガリレオ(ドラマ) (12)
神津恭介(ドラマ) (2)
すべてがFになる(ドラマ) (10)
臨床犯罪学者 火村英生の推理(ドラマ) (10)
謎解きはディナーのあとで(ドラマ) (6)
土曜ワイド劇場 (6)
コラボ商品 (3)
推理クイズ (37)
探偵Xからの挑戦状! (23)
超再現!ミステリー (13)
映画 (55)
読書まとめ (27)
テーマ読み (12)
ランキング (18)
ミステリィの小径 (7)
対談・インタビュー (2)
イベント情報 (2)
文庫フェア (10)
フィギュアスケート (104)
試合展望・結果 (73)
書籍・雑誌 (10)
氷上の魔術師(フィギュア百景) (19)
アニメ『ユーリ!!! on ICE』 (2)
その他 (31)