FC2ブログ
毛髪再生

【七姫幻想】 森谷明子

Category森谷明子
 6  0

◆◇◆虚構と史実が織りなす甘美な物語◆◇◆

森谷明子シリーズ外
短編集
双葉社 2006.2
双葉文庫 2009.1


■あらすじ

秋去姫、朝顔姫、梶葉姫……、七つの異称を持った七夕伝説の織女。神代の大王の怪死をめぐる幻想的な第一話から、江戸時代の禁忌の愛を描いた最終話まで、遙かなる時を隔てて女たちの甘美な罪が語られる。史実、和歌、人間ドラマという糸を縦横に組み合わせて描かれた、まさしく絢爛たる織物のような連作ミステリー!
(双葉文庫より)

■感想
『お正月本』で日本古典文学についてさらっとおさらいした流れで読んでみました。
タイトルに『七姫』とあるので、漠然と七人の姫にまつわる物語なのかなと思っていましたが、
『七姫』というのは、秋去姫(あきさりひめ)・朝顔姫(あさがおひめ)・薫姫(たきものひめ)・糸織姫(いとおりひめ)・蜘蛛姫(ささがにひめ)・梶葉姫(かじのはひめ)・百子姫(ももこひめ)という織女の七つの異称だそうです。
織姫に七つもの名前があるとは知らなかった。
そういえば七夕は七月七日でいずれも「七」が使われていますよね。
「七」という数字に特別な意味があるのかな?
本作は七姫の名前を冠した短編集で、古代から江戸時代にかけての物語が並んでいます。

【ささがにの泉】
脆弱な糸で封印された部屋で起きた大王の死。
一見、密室殺人事件の様相を呈していますが、怪談めいた側面も。
真相は大王を巡っての二人の女の愛憎が招いた悲劇でした。

【秋去衣】
老婆の昔語りによる、ある皇子の悲劇。
私は歴史にあまり詳しくないので、この皇子って確か権力争いで失脚したのだったな・・・
ぐらいに思っていたのですが、史実からこんな物語が紡ぎ出されるとは。

【薫物合】
ここで登場するのが清原元輔。歌人として有名な方ですが、
その他の点ではあまりぱっとしない方だったようですね(^^;)中年男の悲哀を織り込んだコミカルな面もあり。
この短編が一番ミステリっぽいのでちょっと気に入っています。

【朝顔斎王】
源氏物語に朝顔巻がありますが、それを地で行くようなお話。
ここで登場する姫は、幼くして斎王になったせいか、浮世離れしていてちょっと鈍い(^^;)
ラストは不器用な二人に微笑ましくなります(^^)
ここに登場する少納言は元輔ゆかりのあの人ですよね。

【梶葉襲】
ここで登場する滝瀬という女房、図々しくて嫌な女ですねぇ。
そりゃあ女御様にも嫌われますよ。女の敵は女ですから。
疑心暗鬼とはまさにこのこと。何もここまでしなくても・・・とは思うけど、怪奇現象を装えば上手く誤魔化せるか。
返す返すも知恵のまわる女ですね。この時代ならではの暗号もの(?)もあり。

【百子淵】
【梶葉襲】から時代は下ってとある村の風習のお話。水都刃と鳥比古は神格化しています。
今も昔も大人になるために儀式を行い、祝われる。
でも大人になると不思議なこと、わくわくすることは消えてなくなってしまう。
もうネバーランドには戻れないのですね。早雀が哀れでした。

【糸織草子】
時はさらに下って江戸時代。ここでは首と手首のない惨殺死体が現れ、幻想色は薄れ、血腥い事件に。
白糸が上物の色糸にすり替わった謎はありますが、あまり大した謎でもなかった(^^;)
動体視力の発達した娘の将来が楽しみですね。末はレーサーかボクサーか(笑)

第60回日本推理作家協会賞にノミネートされた作品だそうですが、全体的にミステリー色は薄目です。
個々の短編を読んでいる時はあまり意識しなかったのですが、
読み終わってみると共通のテーマが流れていることが分かり、よく纏まっていますね。
ただもう少し七夕伝説に絡んだ話になっているとよかったかな。最終話は少々強引な気も・・・。
特に予備知識がなくても幻想譚として楽しめますが、歴史をある程度知っているとより深く味わえると思います。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • 日本古典文学が好きな方
  • おとぎ話が好きな方
  • 七夕伝説に興味がある方

■参考
   株式会社双葉社 | 森谷明子「七姫幻想」
   ▲著者の創作秘話と立ち読みが出来ます。

関連記事
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
下のバナーをクリックしていただけるとさらにやる気UPしますので、
応援よろしくお願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

森谷明子七夕伝説

6 Comments

miroku  

ミステリーではないですね。
幻想小説好きの私としては『ささがにの泉』の評価が高いです。
独自のイマジネーションが新鮮でした。
テーマ読みは、発掘が出来るので良いですね。

2013/01/12 (Sat) 22:42 | REPLY |   

翠香  

mirokuさんへ

これをミステリーに分類するかは確かに微妙ですね。
私はミステリー風味ではあると思ってます。
一応、日本推理作家協会に評価された作品ですし(笑)
私は【薫物合】と【朝顔斎王】が気に入っています。王朝時代が好きなので。

テーマ読みは、普段の読書とは違う視点で本選びをするので、新鮮ですね(^^)

2013/01/12 (Sat) 23:44 | EDIT | REPLY |   

mokko  

噂の・・・

これが噂の七姫ですね
mirokuさんのところでも気になっていたのですよ
これは面白そうですねぇ~
チェックしますо(ж>▽<)y ☆

2013/01/13 (Sun) 22:09 | EDIT | REPLY |   

翠香  

mokkoさんへ

以前読んだ『千年の黙』が面白かったので、
ずっと以前に購入していたのですよ。
ようやく読めてよかった(^^)
少しずつ積読本を消化していかなければ・・・!

2013/01/13 (Sun) 23:23 | EDIT | REPLY |   

結衣  

私も「ミステリーじゃない」方に1票、というところです(笑)。
この人の作品は『れんげ野原のまんなかで』(これ、好きです)と
『千年の黙』を読んでいたのですが、
2作とも、もう少しミステリーっぽかったような記憶が……。

これは初めて読みましたが、「幻想譚」としては良かったです。
私は王朝物も江戸の市井物も幅広く好きですが、
この『七姫幻想』の中では皆さんと同じく、
時代の古い物のほうが気に入りました。
双葉社のページ、面白かったです。翠香さん、ありがとう。

2013/02/03 (Sun) 12:30 | REPLY |   

翠香  

結衣さんへ

この作品を読む前に他の方から「ミステリーではない」と聞かされていたので、
読んでみたら、ちょっとはミステリー風味だったなと思ったのですよ。
あくまで「風味」です(笑)
『千年の黙』と比べたら全然ミステリーではないです(^^;)

『れんげ野原の~』は、この間ブックオフで見つけました♪
タイトルに合わせて春になったら読もうかなと思います(^^)

2013/02/04 (Mon) 23:41 | EDIT | REPLY |   

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

Post a comment