【そして誰もいなくなる】 今邑彩

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By翠香

◆◇◆元祖イヤミス!?◆◇◆

今邑彩シリーズ外
長編
C★NOVELS 1993.8
  中公文庫 1996.11
  中公文庫(改版) 2010.4


■あらすじ

名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。上演は中断されたが、その後も部員たちが芝居の筋書き通りの順序と手段で殺されていく。次のターゲットは私!? 部長の江島小雪は顧問の向坂典子とともに、姿なき犯人に立ち向かうが・・・・・・。戦慄の本格ミステリー。

(中公文庫より)

■感想
先日、今邑彩さんの訃報を聞き、大変驚きました。過去に2作著作を読んでいたので・・・。
今回は追悼の意味も込めまして、今邑さんの著作を読んでみました。

本作はタイトルからも分かる通り、A・クリスティの【そして誰もいなくなった】オマージュ作品です。
さすがに名作とあって、今まで多くの作家さんがオマージュ作品を書かれています。
でもやっぱりオリジナルの素晴らしさにはかないませんね。
私はオマージュの中で秀作なのは綾辻行人氏の【十角館の殺人】だと思っています。
皮肉にもタイトルも設定も似せていないのだけど(^^;)

本作は、名門女子高が舞台となっています。
記念式典で演劇部がクリスティ原作の「そして誰もいなくなった」を上演することに。
ところが中に紅茶が入っているウィスキーボトルに青酸カリが混入されていて、
それを飲んだマーストン役の生徒が劇中死してしまう。上演は中止されたものの、
その後も「そして誰もいなくなった」の筋書き通りの順序と手段でその役を演じた生徒が殺されていく・・・。

そもそもクリスティ原作がマザー・グースの『10人のインディアン』をモチーフにした見立て殺人であるので、
本作は見立ての見立てという趣向です。
各章の扉絵に描かれたインディアンが章が進むに従って一人ずつ減っていく様子も凝っていますね。
ちなみにクリスティ原作のネタバレはしていませんが、終盤までの筋書きが紹介されているので、
未読の方は先に本家・クリスティ原作を読まれることをおススメします。

物語の展開は二転三転するので、二時間ドラマ風サスペンスではあるものの、引き込まれたのですが、
真相が見えてくるに従って、いよいよ動機が薄弱になってくる。
そんな理由で女子高生を次々と・・・犯人狂ってます。とにかく後味が悪い
近頃「イヤミス」が流行っているそうですが、本作はイヤミスのハシリともいえそうですね。
かくいう私は最近のイヤミスを意識的に避けているのですが(^^;)
やっぱり騙されるなら気持ちよく騙されたいものです。

また、事件の捜査をする刑事側にもドラマがあり、途中までは温かい気持ちになっていたのですよ。
それなのに・・・。意外なところで事件と繋がっていたという・・・
持ち上げておいて奈落に突き落すようなことをしますよねぇ(^^;)
どうも今邑さんはここで止めとけばいいのにという所から一歩踏み出して書いてしまう傾向がありますね。
余韻を持たせる方が読者の想像力を掻き立てられると思うのだけど・・・。
それにあの人がそこまで断罪する資格はないと思う。
あんなドラマを見せられてしまっては、感情移入してしまうのに、全く鬼ですよ
結局、読み始めに犯人かも・・・と思った人が「真犯人」だったという皮肉な結果に(^^;)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

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Comments 4

mokko  

オマージュ作品

十角館の殺人もそうだったのかぁ~
全然気付いてなかったけど、言われてみればそうですねぇ
っていうか、あの衝撃はすごかったぁ~(^◇^;)
mokkoもオマージュ作品とわかっているものを
読む場合は原作を読んでからの方がいいと思ってたけど
やはりオマージュ作品が書かれるくらいだから
原作を読んでも全然違和感なく読めました。
未読の名作がたくさんあるのでユックリ読んでいきたいですね♪
今邑 彩さんの作品。1冊積んでます。
心して読みましょう(^◇^;)

2013/03/31 (Sun) 19:25 | EDIT | REPLY |   

翠香  

mokkoさんへ

十角館はインディアン人形とかは出てこないけど、
「そして誰もいなくなった」でしょ?
例の一行には鳥肌が立ちましたね~あの衝撃は凄かった!

オマージュは元ネタを知っていてこそ楽しめますからね。
気付かずにスルーしていたら勿体ないです(^^;)

本作はどんでん返しに次ぐどんでん返しで楽しめたのですが、
主要キャラだと思っていた人があっさり殺されたりしてショックでした。
せめて刑事サイドのドラマはハッピーエンドで終わらせてあげたかったv-390

2013/03/31 (Sun) 23:43 | EDIT | REPLY |   

百物語ガール  

そう、今邑彩って亡くなっちゃったんですよね。
この本もずっと読みたいって思ってたんですけど…。

『十角館の殺人』も、そして誰も…オマージュだったんですか。
そっちも今度読んでみます。

2013/04/13 (Sat) 17:10 | EDIT | REPLY |   

翠香  

百物語ガールさんへ

はじめまして。コメントありがとうございます。
今邑さん、孤独死だったそうで、さらにびっくりしました。
作風はあまり好みではないのですが・・・。

『十角館』は、クリスティを意識して書かれたと思いますよ。
インディアン人形とか、告発テープとかは出てこないので、あまり似ている感じはないですけど。
ぜひ読んで感想聞かせてください。

2013/04/14 (Sun) 11:56 | EDIT | REPLY |   

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