【斎王の葬列】 内田康夫

author photo

By翠香

◆◇◆因果は巡る◆◇◆

浅見光彦シリーズ59
長編
角川書店 1993.3
カドカワ・ノベルス 1995.4
  角川文庫 1997.5
  新潮文庫 2004.11
55TVドラマ化作品!(1999.10.8放送 主演:榎木孝明)

斎王の葬列 (新潮文庫)
斎王の葬列 (新潮文庫)内田 康夫

おすすめ平均
starsマイナーなテーマだったな
stars悲しい話

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

■あらすじ

都から伊勢神宮へ遣わされた皇女の通い路であった滋賀県土山で、その「斎王群行」を題材にした映画のロケ中に地元の青年が殺される。監督は旧友の浅見光彦に調査を依頼するが、直後に第二の殺人が。斎王の崇りが囁かれる中、光彦は34年前にこの地の古い宮で起きた惨劇に辿り着く。歴史の闇に消えた者たちの呪詛と、現世を生きる者たちの怨念が伝説の地で交錯する、長編歴史ミステリー。

(新潮文庫より)

■テーマ
 斎王
 人形代

■舞台
 滋賀県甲賀郡水口町
          土山町
 三重県伊勢市
      多気郡明和町
      津市
      鈴鹿郡関町
 愛知県名古屋市

■ヒロイン
 小宮山佳鈴(27歳・女優)
 久米美佐子(22歳・文化財調査委員会勤務)

■感想
 今回はいつもとちょっと違うなという印象。いきなりプロローグで事件(事故?)が起こったので、今回は展開が早いな~と思っていたら、後になって分かったのですが、これは34年前の出来事。ところが本編に入ったら、今度は逆になかなか事件が起こらない。そして、浅見光彦もなかなか登場しない。本当に浅見シリーズなのか?と疑ってしまったほどです。そう、浅見が登場したのは、なんと第三章の3節なんです。

 斎王というのは、天皇に代わって伊勢神宮の神に仕えるために、宮中から派遣される皇女のこと。うら若き皇女が華やかな都での生活に決別し、3年間の慎みの日々を過ごし、5泊6日をかけて伊勢神宮に下るというのは、つらいお勤めであったでしょうね。中には伊勢に向かう郡行の途中で亡くなられた方もいたそうで、それがタイトルの【斎王の葬列】のモチーフとなっています。

 と、少し重いテーマなのですが、その「斎王の葬列」を映画338に撮るというので、ロケ隊が滋賀県の土山にやってきたところで事件が起こります。このロケ隊の監督81で、劇団の主宰が浅見の友人という設定です。この劇団の名前が『東京シャンハイボーイズ』というのですが、なんか似たような名前の劇団がありましたよね。そう、似たような名前の劇団がモデルになっているのだそうです。内田先生と三谷幸喜さんが知りあいだとは意外ですね。(あ、バラしてる?^^;)

 さて、謎解きなんですが、第2の事件のトリックが子供だましみたいなんですよね。アリバイが簡単に崩れて犯人が分かってしまいます。幸運にも(?)浅見たちはその場では分からなかったのですが、ひょっとしたらその場でトリックがバレてしまう可能性も・・・。ただし、動機に関してはなかなか分からなかったですね。そこで、プロローグの事件が生きてくる訳なんですが、34年前の事件と今回の事件とがどう結びついていくのかが本作の醍醐味だと思います。

 しかし、いつもながら犯人の身の処し方は、疑問の残るところです。遺された人々に真実を突きつけるよりはいいのかもしれないですが、第1の被害者がただのチャラ男で終わってしまったのが、なんだか憐れだなぁ。390

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★

■特におすすめ!

  • 歴史・伝説が好きな方
  • 演劇が好きな方
関連記事
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ランキングに参加しています。バナーをクリックして応援お願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

Comments 2

すくね  

まあ、トリックはね・・・(苦笑。

翠香 さんの仰るとおり、第2の事件のトリックはお粗末でしたね(笑。まあ、内田作品では、あまりトリックは期待しないほうが賢明ですよね~。
 本作は、私も動機の解明が主体の話だと思いますよ。なぜ犯人が、第一の被害者を殺したのか?がなかなか分からなかったのを覚えておりますが、最後まで読んでなるほど~と思うものがありましたね。
 おっ、翠香 さんはヒロインを2人認定ですか?私は最初は久米美佐子嬢がヒロインなのかな?と思って読んでいたのですが、最後まで読んだら、小宮山佳鈴嬢がヒロインと認定しましたね。まあ、最近の作品は、ダブルヒロインが多いですから、本作もダブルヒロインと考えたほうがいいですね~。
 そういえば、本作のドラマは見ていないんですよ・・・。再放送やってくれたら意地でも見るんですけどね^^

2008/02/01 (Fri) 00:15 | EDIT | REPLY |   

翠香  

内田作品は人物重視ですね

すくねさん、こんばんは~。
第2の事件のトリックは・・・まさかこんなしょぼいトリックじゃないよなーと思いつつ読んでいたら、当たっていたので、びっくりしました(^^;) まあ、内田センセもトリックに重きを置いていないみたいですし・・・。
動機については、最後まで分からなかったですね。被害者が結婚をあっさり諦めた理由が分かっても、いえ、だからこそなおさら「なぜ?」と考えてしまいました。

ヒロインは、『浅見光彦 the complete 華麗なる100事件の軌跡』では、久米美佐子となっているのですが、ドラマでは小宮山佳鈴をヒロインとしていたようですね。なので一応ダブルヒロインとしましたが、私も小宮山佳鈴がメインだと思うので、名前を上に載せました。

私も本作のドラマは観てないのですよ。榎木光彦の作品はあまり観ていないかも・・・。今は榎木さんは陽一郎役になってしまって、ちょっと複雑~(笑)

2008/02/02 (Sat) 00:08 | EDIT | REPLY |   

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

Leave a reply

INDEX (13)
このブログについて (4)
内田康夫 (99)
浅見光彦 (91)
岡部和雄 (3)
竹村岩男(信濃のコロンボ) (3)
愛川晶 (1)
相沢沙呼 (2)
酉乃初 (2)
蒼井上鷹 (1)
赤川次郎 (7)
三毛猫ホームズ (4)
三姉妹探偵団 (1)
芦辺拓 (1)
森江春策 (1)
我孫子武丸 (1)
速水三兄弟 (1)
天野頌子 (1)
陰陽屋シリーズ (1)
綾辻行人 (8)
島田潔(館シリーズ) (6)
有栖川有栖 (22)
火村英生(作家アリス) (18)
江神二郎(学生アリス) (3)
泡坂妻夫 (1)
伊坂幸太郎 (5)
石持浅海 (6)
碓氷優佳 (3)
座間味くんシリーズ (1)
乾くるみ (8)
カラット探偵事務所の事件簿 (1)
井上夢人 (2)
今邑彩 (4)
上田早夕里 (2)
パティシエシリーズ (2)
歌野晶午 (5)
信濃譲二(家シリーズ) (2)
大倉崇裕 (3)
福家警部補 (2)
大崎梢 (5)
成風堂シリーズ (3)
井辻智紀の業務日誌シリーズ (1)
太田忠司 (8)
狩野俊介 (2)
甘栗晃 (2)
朔夜一心(月読シリーズ) (1)
予告探偵 (1)
雪永鋼 (1)
大山淳子 (2)
猫弁シリーズ (2)
岡嶋二人 (5)
折原一 (4)
恩田陸 (9)
神原恵弥 (1)
あ行の作家 (8)
加納朋子 (9)
入江駒子 (3)
市村安梨沙(アリスシリーズ) (2)
ささらシリーズ (1)
神永学 (4)
確率捜査官御子柴岳人 (1)
貴志祐介 (3)
榎本径(防犯探偵) (3)
北村薫 (17)
円紫さんと私シリーズ (5)
新妻千秋(覆面作家) (3)
わたしのベッキーシリーズ (2)
時と人 (2)
北森鴻 (9)
工藤哲也(香菜里屋シリーズ) (3)
蓮丈那智 (3)
旗師・冬狐堂 (1)
北山猛邦 (6)
城シリーズ (2)
音野順 (1)
猫柳十一弦 (2)
霧舎巧 (1)
鯨統一郎 (7)
倉知淳 (2)
猫丸先輩 (1)
栗本薫 (7)
伊集院大介 (5)
黒田研二 (4)
ふたり探偵 (1)
近藤史恵 (7)
今泉文吾(歌舞伎シリーズ) (2)
キリコ (1)
ビストロ・パ・マルシリーズ (1)
七瀬久里子 (2)
か行の作家 (7)
坂木司 (5)
ひきこもり探偵 (1)
篠田真由美 (15)
桜井京介(建築探偵) (12)
蒼の物語 (3)
柴田よしき (8)
猫探偵正太郎 (4)
浅間寺竜之介 (2)
摩耶優麗 (1)
島田荘司 (2)
御手洗潔 (2)
朱川湊人 (2)
わくらばシリーズ (1)
さ行の作家 (8)
高木彬光 (3)
神津恭介 (3)
高里椎奈 (5)
深山木秋(薬屋探偵妖綺談) (5)
高田崇史 (7)
桑原崇(QEDシリーズ) (2)
鴨志田甲斐(カンナシリーズ) (2)
勧修寺文麿 (2)
田中啓文 (1)
笑酔亭梅寿謎解噺シリーズ (1)
田中芳樹 (1)
薬師寺涼子 (1)
柄刀一 (3)
三月宇佐見のお茶の会 (1)
南美希風 (1)
津原泰水 (1)
ルピナス探偵団 (1)
た行の作家 (5)
中山七里 (5)
岬洋介 (4)
七尾与史 (2)
ドS刑事シリーズ (1)
二階堂黎人 (2)
水乃サトル (2)
仁木悦子 (2)
仁木兄妹 (2)
西澤保彦 (14)
匠千暁(タック&タカチシリーズ) (4)
神麻嗣子(チョーモンインシリーズ) (3)
響季姉妹探偵 (1)
ぬいぐるみ警部 (1)
西村京太郎 (2)
名探偵シリーズ (1)
似鳥鶏 (3)
葉山くんシリーズ (3)
貫井徳郎 (3)
法月綸太郎 (5)
な行の作家 (4)
初野晴 (3)
東川篤哉 (5)
謎解きはディナーのあとで (2)
烏賊川市シリーズ (2)
東野圭吾 (43)
加賀恭一郎 (10)
湯川学(探偵ガリレオ) (8)
天下一大五郎 (1)
マスカレードシリーズ (1)
深水黎一郎 (1)
神泉寺瞬一郎(芸術探偵) (1)
は行の作家 (10)
松岡圭祐 (2)
紗崎玲奈(探偵の探偵) (1)
円居挽 (1)
シャーロック・ノートシリーズ (1)
麻耶雄嵩 (1)
貴族探偵 (1)
三上延 (2)
ビブリア古書堂シリーズ (2)
水生大海 (1)
羅針盤シリーズ (1)
道尾秀介 (3)
湊かなえ (2)
宮部みゆき (3)
捜査犬マサ (2)
森川智喜 (3)
三途川理 (3)
森博嗣 (36)
犀川創平(S&Mシリーズ) (10)
瀬在丸紅子(Vシリーズ) (10)
真賀田四季 (4)
海月及介(Gシリーズ) (1)
百年シリーズ (2)
水柿助教授(Mシリーズ) (1)
森谷明子 (3)
ま行の作家 (7)
山口雅也 (2)
垂里冴子 (2)
山田悠介 (1)
柚月裕子 (1)
佐方貞人 (1)
米澤穂信 (13)
折木奉太郎(古典部) (5)
小鳩常悟朗(小市民) (3)
紺屋S&Rシリーズ (1)
や行の作家 (5)
若竹七海 (1)
ら行・わ行の作家 (1)
アンソロジー (6)
共著・合作 (1)
ノベライズ (1)
相棒 (1)
海外ミステリ (48)
ジョン・ディクスン・カー (5)
エラリー・クイーン (4)
アガサ・クリスティ (5)
コナン・ドイル (4)
ミステリー副読本 (6)
日本古典文学関連 (3)
ドラマ (185)
浅見光彦(ドラマ) (29)
信濃のコロンボ (6)
相棒(ドラマ) (33)
名探偵ポワロ (9)
SHERLOCK(シャーロック) (2)
ライアーゲーム (9)
東野圭吾ミステリーズ (11)
加賀恭一郎(ドラマ) (2)
ガリレオ(ドラマ) (12)
神津恭介(ドラマ) (2)
すべてがFになる(ドラマ) (10)
臨床犯罪学者 火村英生の推理(ドラマ) (10)
謎解きはディナーのあとで(ドラマ) (6)
土曜ワイド劇場 (6)
コラボ商品 (3)
推理クイズ (37)
探偵Xからの挑戦状! (23)
超再現!ミステリー (13)
映画 (55)
読書まとめ (27)
テーマ読み (12)
ランキング (18)
ミステリィの小径 (7)
対談・インタビュー (2)
イベント情報 (2)
文庫フェア (10)
フィギュアスケート (107)
試合展望・結果 (75)
書籍・雑誌 (10)
氷上の魔術師(フィギュア百景) (20)
アニメ『ユーリ!!! on ICE』 (2)
その他 (31)