Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【八月の六日間】 北村薫

 16, 2016

◆◇◆ささくれた心を癒す山小説◆◇◆

北村薫シリーズ外
連作短編集
角川書店 2014.5
  角川文庫 2016.6
カドフェス 発見!角川文庫2016対象本


■あらすじ

雑誌の副編集長をしている「わたし」。柄に合わない上司と部下の調整役、パートナーや友人との別れ……日々の出来事に心を擦り減らしていた時、山の魅力に出会った。四季折々の美しさ、恐ろしさ、人との一期一会。一人で黙々と足を動かす時間。山登りは、わたしの心を開いてくれる。そんなある日、わたしは思いがけない知らせを耳にして……。日常の困難と向き合う勇気をくれる、山と「わたし」の特別な数日間。
(角川文庫より)

 

■感想

エッセイ?いえ、小説です

まるで山歩きエッセイのような小説である。

エッセイの著者は、雑誌編集の仕事をしているアラフォー女子。
困ったちゃんの上司と部下との板挟みで心が擦り減っていた時に、山の魅力に出会ったのだという。
事前の準備から山歩きの行程、山で出会った人たちとの交流が事細かに書かれている。
もちろん計画通りにいかないこともままある。
また、各章の扉に描かれている行程を記したイラストが可愛らしい。

──と、つい錯覚してしまいそうになりますが、これはもちろん小説。
作者は北村薫さん、ちなみに男性です。
北村先生、山歩きがご趣味だったのかしら?取材がてら色々な山を歩いたのだろうな、と思ったら、
実は山に登らずに書いたのだという。全く作家というのは、見てきたような嘘を書きますね(^^;)

 

無謀にもほどがある!

しかし、この主人公の「わたし」の行動は、本格的な山登りの経験がない私(翠香)から見ても
ちょっと無謀だなと思ってしまう。
出発の前日に、仕事の付き合いとはいえ、遅くまで飲み歩いたり、ミステリを読みふけって寝るのが遅くなったり。
ザックに詰める食料はお菓子ばっかりだし。もっと非常食とか栄養剤みたいなのを入れるべきでは?
(アミノバイタルを入れてたのにはよしよし。と頷く)文庫本を必ず3冊も入れてるし・・・。
山小屋で手持無沙汰になっちゃうって?心配ご無用、疲れているからすぐ寝れますって。
ちょっと心得のある方から見れば、さらにツッコミどころもあるようで・・・。

 

「あずさ2号」の解釈に驚く

本作はミステリではありませんが、随所に北村先生らしさは健在。時折くすっと笑わせます(^^)
昭和の歌謡曲ネタもあり、面白かったですね。平成生まれにはきっと分かるまい(ふっ)
「あずさ2号」については読んだ後でちょっと気になったので、検索してみたら、
ネット上では様々な意見が飛び交っていてびっくり。この歌ってそんなに問題作だったの?

ちなみにあずさ2号の歌詞はこんな感じです→うたまっぷ『あずさ2号』の歌詞

私は元カレのことを引きずりまくる女の歌だと思っていたのですが、
置き手紙に乗る列車と時間を記して最後の賭けに出たのだという意見もあり、深いな~と思いましたね。
ぜひ本作を読んだ方の意見も聞いてみたい。

 

心のささくれにちょっとしみる

また所々に心にしみるフレーズがあります。ちょっと一部を紹介しますと・・・

先入観、思い込みが、本質を離れて人をおとしめるようなことは珍しくない
人を動かすのは心だ。心が擦り減っては動けない。
思い通りの道を行けないことがあっても、ああ、今がいい。わたしであることがいい。
ちょっと心がささくれているなと感じた時、しみじみと読み返してみるのもいいかも。

ですが、やはり何といってもパラオの海辺のシーンがいい。
(山小説なのに何で海?と思われるかもしれませんが、敢えて説明はしません。読んでのお楽しみ♪)
悲しいけれど、「わたし」が一歩前に進めた気がしました。
光景が目に浮かぶようだなぁ。と思ったら、映画化企画が進行中らしいです。

 

最後に・・・

本作を読んで、山歩きって楽しそう♪と思った方、
レジャー気分で考えず、プロの助言の元、しっかり準備して行くようにしてください。
本作はガイドブックではないのですから。

 

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

◆満足度★★★★

■こんな方におすすめ!

  • 女性の方
  • アラフォー以上の方
  • 心のささくれを感じる方
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Tag:北村薫

COMMENT 2

Sat
2016.08.20
10:15

mokko

URL

気になります

何がって・・・突っ込みどころ満載ってところです(^◇^;)
あずさ2号も気になりますし、パラオの海辺のシーンというのも
気になりますねぇ~
いかん!読みたい本が増えてしまいました(^◇^;)

ちなみにmokkoも屋久島に行った時は、事前準備は
万全にしていきましたよぉ~
山はガイドが一緒だから大丈夫だけど、経験者のアドバイスと
会社に山登り好きが3人ほどいたので、装備から
細かいところまでシッカリ教わってから行きました。
しかも予行演習ということで尾瀬を歩いてから行きました(^◇^;)
そこら辺を踏まえて読んでみたいですね♪

Edit | Reply | 
Sun
2016.08.21
00:07

翠香

URL

mokkoさんへ

一応、巻末にも注意書きは書いてありますよ。
ヒロインは山登り上級者という設定なのだけど、
単独行を好み、寝不足だったり、バスの運行の下調べが不十分だったりと、
行き当たりばったりが多くて、ハラハラしてしまいます。

パラオの海辺のシーンは、本当に映画のワンシーンみたいです。
ヒロインがカッコいい!あずさ2号の女とは違いますね(^^)
ぜひぜひ読んでみてください。

Edit | Reply | 

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