【崇徳伝説殺人事件】 内田康夫

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By翠香

◆◇◆崇徳上皇の祟り?◆◇◆

浅見光彦シリーズ73
長編
角川春樹事務所 1997.2
ハルキ・ノベルス 1998.7
  ハルキ文庫 1999.6
  中公文庫 2008.8
55TVドラマ化作品!(2005.3.14放送 主演:沢村一樹)

4122049873崇徳伝説殺人事件 (中公文庫 う 10-25)
内田 康夫
中央公論新社 2008-08

by G-Tools

■あらすじ

 崇徳上皇を取材する浅見光彦は崇道神社で一人の女性と出会った。彼女は現像前のフィルムを浅見に託し姿を消してしまった。一方、特別養護老人ホームで次々に起きる「不審な事件」に、事務員の坂口富士子は違和感を募らせる。富士子と浅見の出会いは、事件の闇をさらに深くする・・・・・・。人間の生命、尊厳、そして血脈の本質を真摯に描く感動のミステリー、待望の文庫化!
(ハルキ文庫より)

■テーマ
 老人医療
 安楽死
 俳句

■舞台
 京都府京都市
      亀岡市
 香川県坂出市

■ヒロイン
 坂口富士子(26歳・老人保健施設「白峰園」事務員)

■感想
 久々に伝説モノが来ましたね。なんと【菊池伝説殺人事件】以来なんですね。そして、本作以降の伝説モノはいまのところないはずです。初期の作品にはたくさんあったのですけどね~。

 さて、今回の伝説の主役は崇徳上皇。この方は、源氏物語の世界を地で行くような出生で、父親の恨みを買い、策謀によって不遇な扱いを受けます。それに反発した公家や武士が戦いを挑む(保元の乱)も破れ、崇徳は讃岐に流され、ついに赦されることもなく生涯を終えました。崇徳の死後、天変地異が頻発して起こり、崇徳上皇の怨念39によるものと恐れられたということです。(詳しくは本作に説明がありますので、そちらをご覧下さいね)

 今回の事件の発端は、この崇徳上皇の霊を祀った『白峰神宮』と崇道天皇(早良親王のこと)の霊を祀った『崇道神社』を取り違えてしまったことに始まります。たしか【箱庭】でも似たような取り違えのために事件が起きていましたね。しかし今回は場所の取り違えだけでなく、人違いもあったのです。内部告発に踏み切った特別養護老人ホームの准看護士の小沢滋美が、たまたま取材で崇道神社に来ていた浅見をフリーライターの新坂と間違えて、証拠写真を託してしまったのです。そして浅見が写真を握ったままでいるうちに新坂が殺されるという事件が起きてしまいます。さらに不用意に証拠写真を老人ホームの職員に見せてしまったため、滋美までも行方不明に・・・。これは明らかに浅見の失態でしょうね。場所を取り違えていたので、浅見がそこにいなくても滋美と新坂は会えなかった可能性が高いですが、少なくとも滋美に対してはもっと慎重に事を進めていれば、悲劇は起こらなかったはず。390

 ところで、今回は【讃岐路殺人事件】【鐘】で浅見とともに捜査をした、大原刑事が再々登場。290大原は【鐘】では高松北署の巡査部長だったのですが、この事件の解決がきっかけとなって、香川県警捜査一課の警部補に昇進していました。浅見もだんだん色々なところに顔が利くようになってきましたねぇ。

 今回のヤマ場は大捕り物のシーン。これはスリルがあって楽しめたのですが、もう一つの事件の真相は悲しいものでした。犯人の幕の引き方も、現代の医療について問題提起するものでありましたね。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 俳句が好きな方
  • 医療問題について考えたい方
  • 歴史・伝説が好きな方
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Comments 7

のんちゃん  

こんにちわ。先日はコメントありがとうございました。

翠香さんのブログは超カッコよくてしかも充実していますね。驚きです。
特に浅見光彦シリーズをメインにやられているのがとても頼もしいです。(笑)

また常に寄らせていただきますね。

2008/10/20 (Mon) 17:28 | EDIT | REPLY |   

翠香  

ご訪問ありがとうございます!

>のんちゃんさん
こちらこそ、コメントありがとうございます。また、お褒めいただきまして、ありがとうございます(*^^*)

>また常に寄らせていただきますね。
はい。いつでもどうぞ♪
これからもよろしくお願いしま~す!

2008/10/21 (Tue) 23:47 | EDIT | REPLY |   

すくね  

「伝説」は・・・。

仰るとおり、初期には「伝説」シリーズが多くて面白かったんですけど、最近なくなりましたねー。最近、内田先生は、「~島」という題名に凝っているようですし、当分「伝説」シリーズはないだろうな~と半分あきらめております>_<

 結構、最近の作品かと思っていたのですが、初版を見ると10年以上前の作品なのですねー。大原部長刑事が3度目の再登場をしていた事実をすっかり忘れていました(苦笑。こうしてみると内田先生は、讃岐の地がお気に入りなんでしょうねー。本当は、今年行く予定だったんですけど(涙。
 そういえば、本作のヒロインも、そんなに光彦に好意を持たないヒロインですよね?うろ覚えですけど・・・。最近の作品では、光彦坊ちゃまも昔ほどもてなくなっている気はします(苦笑。

2008/10/22 (Wed) 02:02 | EDIT | REPLY |   

翠香  

今回の浅見はモテまくりです

>すくねさん
伝説モノってもっとたくさんあるのかと思っていたのですが、初期の作品に集中していたのですね。

今回のヒロインは、他の人にプロポーズされていますけど、浅見に好意を持っているようでしたよ。それに祇園の芸妓さんにも好かれていましたね。

2008/10/23 (Thu) 23:25 | EDIT | REPLY |   

すー☆  

始めてコメントさせていただきます。

翠香様、初めまして。こんにちは。すー☆と申します。
浅見光彦には1年ぐらい前から夢中になり50作ぐらいは読んだと思うのですが、今読み終わろうとしてる『崇徳伝説殺人事件』が僕が読む最後の光彦になります。
もう光彦を読み続けることは出来ないのです。
翠香様の記事の中に

>少なくとも滋美に対してはもっと慎重に事を進めていれば、悲劇は起こらなかったはず。

と、あります。
この事は決して許されることでは無いと僕には思えるのです。
僕の感覚では死んで詫びるか、自分の残りの人生のすべてを滋美の遺族への謝罪に使うしか道はないと思います。
あまりにも人の命を軽く考えてはいないでしょうか?
正義のために危険をおかしてまで内部告発をしようとした滋美を光彦が死に追いやるようなこんな話をどうして内田先生が書かれたのか理解できません。
長文で申し訳ありません。
今はもう頭に血が登ってしまってて、どなたかに僕の思いが間違ってるって事を論理的に説明していただきたいのです。
この作品を読んだ後も光彦を読み続けることが出来る方なら僕の考えを打ち消す答えをお持ちじゃないかと思いコメントさせていただきました。

2009/03/27 (Fri) 04:09 | EDIT | REPLY |   

翠香  

すー☆さんへ

すー☆さん、初めまして。
でも、実は前からすー☆さんのブログ、知っておりました。
浅見シリーズの話題で盛り上がっているのを見て、ちょっとうらやましく思っていたんです(笑)
でも、そのすー☆さんが、もう浅見シリーズを読まないと言われたのは残念です。
論理的に説明をと言われましても、私は内田先生ではないので、分からないのですが、
ひとつ言えることは、人間誰しも過ちを犯すものだということです。
もし、浅見が直接手を下したのなら、すー☆さんの仰ることももっともだと思いますが、
この場合はちょっと思慮が足りなかったというだけで、悪意もありませんから
遺族の謝罪のために生きよというのは、少々酷な気がします。
ましてや死んでお詫びをというのは・・・。シリーズ終わっちゃいますよ(苦笑)
推理小説には、神のごとき名探偵が登場するものもありますが、
彼らのすることは、いつも正しいのですが、
どこか精密機械のようで、人間味を感じないのですよね。
その点浅見は、ずば抜けた推理力の持ち主でありながら、失敗もするし、不完全です。
でもそこが人間味であり、読者と等身大であるところが最大の魅力ではないでしょうか?
まあ、浅見も夢に見るほど悔恨の念に駆られているようですから、赦してやってもらえませんかね?
かくいう私もしばらく浅見シリーズから遠ざかっていまして、離れていると読みたいな~という気になってきます。
すー☆さんも、これで終わりとは言わずに、すこし離れてみれば、また浅見に会いたくなるかもしれませんよ(^^)

2009/03/27 (Fri) 23:32 | EDIT | REPLY |   

すー☆  

ありがとうございました。

こんな失礼なぼやきコメントにちゃんとお答えいただきありがとうございました。
生まれて始めて出合ったって言えるほどの大好きなキャラクター浅見光彦にくびったけだっただけに、ちょっと凹みすぎてしまった可哀想な奴ということでお許しください。
僕のふにゃふにゃブログにおこしいただいたことがあるなんてびっくりしました!
だけど、僕が光彦を大好きだったってことを翠香様がご存知だった事にホッとしました。
今はもっと早く翠香様を見つけたかったという残念な思いでいっぱいです。
ほんとに真面目にご回答いただきありがとうございました。

2009/03/28 (Sat) 01:30 | EDIT | REPLY |   

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