【皇女の霊柩】 内田康夫

◆◇◆幻の写真は今いずこ?◆◇◆

浅見光彦シリーズ74
長編
新潮社 1997.6
ジョイ・ノベルス 1999.11
  新潮文庫 2001.2
  角川文庫 2004.2
55TVドラマ化作品!(2001.3.30放送 主演:榎木孝明)

皇女の霊柩 (角川文庫)
皇女の霊柩 (角川文庫)内田 康夫

おすすめ平均
stars良質の旅情サスペンス

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■あらすじ

東京の品川と木曾の馬籠で若い女性が殺された。事件を探る浅見光彦は、悲劇の皇女和宮の柩をめぐる伝説を知る。かつて馬籠で作られ後に焼失した柩と、東京の増上寺に実在する和宮の墓から発掘された柩。さらに柩を発掘した、大学の考古学研究室の関係者たちには秘密の気配がまつわる。謎を追う光彦の前で起こる第三の殺人。すべての事件を結ぶ糸をひそかに操っているのは誰なのか。

(新潮文庫より)

■テーマ
 皇女和宮
 島崎藤村

■舞台
 岐阜県加茂郡八百津町
      中津川市
 長野県木曾郡南木曾町
          山口村
 京都府京都市
 群馬県碓氷郡松井田町
 千葉県柏市
 東京都品川区

■ヒロイン
 池本美雪(大学3年生)

■感想
 この作品のタイトル【皇女の霊柩】を見て、【斎王の葬列】と似ているな、と思いました。それもそのはず、斎王というのは、天皇に代わって伊勢神宮の神に仕えるために、宮中から派遣される皇女のことですから。但し、本作の『皇女』とは、皇女和宮のことを指しています。
 和宮については、ちょうど今NHKの大河ドラマで『篤姫』をやっているので、ご存知の方も多いと思いますが、婚約者である有栖川宮熾仁親王との仲を引き裂かれるようにして、十四代将軍・家茂に嫁ぎましたが、家茂の死、そして幕府滅亡という憂き目に会い、江戸城を終われるように上洛した帰途の箱根路で病死した、悲劇の皇女です。
 この和宮の柩を発掘調査した際に、柩の中に長袴の直垂に立烏帽子姿の男が写っていた『幻の湿板写真』があったことや、和宮降嫁の際、道中の不慮を予測して、柩が用意されていたなど興味深い話が飛び出します。もう一つの柩の話は、内田先生の創作らしいです。でも、高貴な方への配慮として、本当にあったかもしれませんね。これらの話をモチーフにして、様々な人間の欲望や愛憎などが絡んできます。

 内田先生の作品は、書かれた当時の流行語などを取り入れていることがよくあるのですが、「アッシー君」だとか「ビョーキ」など一昔前の流行語が出てきて、時代を感じましたね(笑)

 しかし、島崎藤村の名作『夜明け前』の書き出しがパクリだったのには、ちょっとショックでした。小説の冒頭って作品の顔みたいなものなのに・・・。

 今回のトリックは盲点をついていて、しかも旅情ミステリーらしいものだったし、内容的にも満足度が高かったのですが、誰々が誰々の婿養子だとかの人物関係がちょっとややこしかったのと、犯人の意外性がなかったので、をひとつ減らしました。

 今回のヒロインの池本美雪は、ハッキリ浅見に告白しているのですが、浅見のほうも愛しく思っていたにもかかわらず、何故か抑制が働いてしまって、心にもないことを言ってしまうのですよね・・・。シリーズを存続させるための悲しい性なのでしょうか?(^^;)やはり、浅見の恋人は、『愛しいソアラ嬢』125のようで・・・。390

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 皇女和宮に興味がある方
  • 人類学に興味がある方
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Category: 浅見光彦
Published on: Wed,  05 2008 21:46
  • Comment: 1
  • Trackback: 0

浅見光彦 内田康夫

1 Comments

すくね  

題名が美しくていいですね!

この作品は大好きです。悲劇の皇女・和宮の謎と現代の事件が重なり合っているところとかは、初期の内田作品っぽくていいと思うんですけどね~。

 私的には、被害者の女性が怖かったんですよ(>_<) 前に紹介いただいた『華の下にて』に続いて、私を女性恐怖症にした一作であります(苦笑。

 でも、このレビューを見て思いましたけど、「アッシー君」とか「ビョーキ」と書かれていたというのは時代を感じます・・・。この頃は自分も学生でのんびりしていたな~(ため息。

 翠香さんも仰っていましたが、ヒロインに告白されてかわす光彦はすごいです。 実際にそんなシチュエーションがあったら、普通の男ならまず不可能と思われますが(^^
 そういえば、光彦は一生独身と内田先生が宣言されたそうですし、密かに須美ちゃんと結婚するという最終回がないかな~と思っていたのですが、無理そうですね。

 では、大分寒くなってきましたし、翠香さんもお風邪等ひかぬようにご留意下さいね!

2008/11/25 (Tue) 23:47 | EDIT | REPLY |   

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