【夏のレプリカ-REPLACEABLE SUMMER-】 森博嗣

◆◇◆萌絵の涙の訳は・・・。◆◇◆

犀川創平S&Mシリーズ)7
長編
講談社ノベルス 1998.1
  講談社文庫 2000.11

夏のレプリカ―REPLACEABLE SUMMER (講談社文庫)
夏のレプリカ―REPLACEABLE SUMMER (講談社文庫)森 博嗣

おすすめ平均
stars最後のオチは・・・
stars素敵で哀しい懐かしい物語
stars犀川先生の存在は偉大ですね…
starsすべては夢の中で起こったように。
stars名前が逆さまなことに気づいた?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

■あらすじ

大学大学院生の簑沢杜萌は、夏休みに帰省した実家で仮面の誘拐者に捕らえられた。杜萌も別の場所に拉致されていた家族も無事だったが、実家にいたはずの兄だけが、どこかへ消えてしまった。眩い光、朦朧とする意識、夏の日に起こった事件に隠された過去とは?『幻惑の死と使途』と同時期に起った事件を描く。
(講談社文庫より)

■ヒロイン
 西之園萌絵(22歳・N大工学部建築学科4年)
 簑沢杜萌(22歳・T大学大学院生)

■感想
 S&Mシリーズとしては、かなり異色作。萌絵の親友の杜萌中心に話が展開していくので、犀川の登場が少なく、文庫版でp200でやっと登場します。
 本作は、【幻惑の死と使途】と同時期に発生したお話で、【幻惑の死と使途】が奇数章のみで構成されているのに対し、本作は偶数章のみで構成されています。そのため、2冊を1章ごとに交互に読もうとする人もいるようですが、混乱するだけなので、あまりおすすめしません。犀川先生のように、マルチタスクで考えられるのなら大丈夫だと思いますが・・・。読む順番も、【幻惑の死と使途】【夏のレプリカ】の方がいいと思います。

 実はこの2つの作品には共通のテーマがあります。それは、『名前』です。それぞれの作品に、『名前』という言葉が象徴的に使われています。いくつかあげてみますと、

・「・・・一度でも、私の名を叫べば、どんな密室からも抜け出してみせよう。私は、必ずや脱出する。それが、私の名前だからだ」(【幻惑の死と使途】p161)※ページ数は文庫版のページ数です。以下同じ。
・「ものには、すべて名前がある」(【幻惑の死と使途】p415)
・「・・・どんな法律も人格を裁くことはできない。名前を裁くんだよ」(【幻惑の死と使途】p511)
・簑沢杜萌という名前は、一人の人間を示す。一体のボディを示す。だが、それは決して一つの人格ではない。(【夏のレプリカ】p242)
・兄の名前、素生・・・・・・、その名前の中に、杜萌の失った一部が溶け込んでいる。(【夏のレプリカ】p294)
・(そうか、ここでは名前を逆さまにしなくてはいけないんだわ。忘れていた・・・・・・)(【夏のレプリカ】p429)
    

 つまり、『名前』が2つの作品の謎を解く鍵なのです。ここまで分かっていたのに、本作ではまんまと騙されました(^^;)

 萌絵の夢の中で、仮面舞踏会をしているシーンがあるのですが、時期柄、浅田真央ちゃんのフリープログラムを連想してしまいました。(あっ、織田選手のSPもそうでしたね)
 しかし、犀川先生の『能面のような真っ白の仮面』って、犬神家のスケキヨみたい・・・。でも、このシーン、意外と侮れませんよ。

 今回、萌絵は自力で真相にたどり着きます。でも、こういうことで分かるというのが、萌絵らしいというか、なんというか・・・。凡人には理解できない感覚ですね(^^;)

 最後に森センセイはまたひとつ謎を提示したまま、物語を終えています。詮索しない方がいいということなのかな?

 

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ

関連記事
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ランキングに参加しています。バナーをクリックして応援お願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

Category: 犀川創平(S&Mシリーズ)
Published on: Fri,  26 2008 22:49
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

犀川創平 西之園萌絵 森博嗣 S&Mシリーズ

2 Comments

FLIP  

今度はちゃんと読みます

前作と対になっているのは、以前読んだときも知ってはいたはずなのに……何となく「おお~! 話繋がってるや!」ってな感じであっさり読んでしまった記憶があります。
また、しばらくしたら書評を書くために再読しますので、その時こそきちんと読み込んでみます~。

2008/12/29 (Mon) 18:05 | EDIT | REPLY |   

翠香  

FLIPさんへ

この2作の間には色々な仕掛けが施されていることが分かりますよね。
いきなり1章ごとに交互に読むと、話がごっちゃになってしまって混乱するだけですが、
前作を読んだ後に、比較しながら本作を読んでみるのも面白いかもしれませんね。

2008/12/30 (Tue) 21:07 | EDIT | REPLY |   

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

Post a comment