毛髪再生

【冬のオペラ】 北村薫

Category北村薫
 4  0

◆◇◆完全無欠な名探偵◆◇◆

巫弓彦シリーズ1
短編集
中央公論社 1993.9
  C★NOVELS BIBLIOTHEQUE 1996.10
  中公文庫 2000.2
  角川文庫 2002.5

冬のオペラ (中公文庫)
冬のオペラ (中公文庫)北村 薫

おすすめ平均
stars「名探偵」として生きる
stars「名探偵」とは
stars子供向けの推理小説?
stars探偵・巫弓彦が光る
stars円紫シリーズもよいけれど

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■あらすじ

名探偵はなるのではない、存在であり意志である──勤め先の二階に事務所を構えた名探偵巫弓彦に出会ったわたし・姫宮あゆみは、“真実が見えてしまう”彼の記録者を志願した・・・・・・。猛暑の下町、雨の上野、雪の京都で二人が遭遇した、哀しくも残酷な三つの事件。
(中公文庫より)

■ヒロイン
 姫宮あゆみ(姫宮不動産事務職)

■感想
 季節276に合ったタイトルなので、選んでみました。
 探偵が40歳前後の男性、ワトソン役(=記録係)が18,9歳の女の子とくれば、『円紫さんと私』を想起しますよね。確かに似ているところがあり、物語は『わたし』こと姫宮あゆみの一人称で進んでいきます。
 しかし、北村さん、またもや風変わりな探偵さんを創り出しましたよ。
 巫(かんなぎ)弓彦──自称・名探偵。といっても、勝手に名探偵だと思い込んでいるわけではなく、「名探偵は存在であり意志である」として、『名探偵事務所』を設立。人知を超えた難事件のみを扱い、身元調査などの一般の探偵業は行わないという徹底ぶり。
 今まで、作品を通してたくさんの名探偵に出会いましたが、自分が名探偵であるという自覚と意志を持っているキャラクターはあまりいないですね。自分はその気はないのに、事件の方からおいでおいでをされて仕方なく、というパターンが多いような・・・。
 しかしながら、『名探偵』で生計を立てられるはずもなく、アルバイトで食い繋いでいるという状況。ここまでストイックに名探偵であろうとしながらも、どこか飄々とした不思議な方なのです。

 本作は、3篇からなる連作短編集です。前2作は60ページぐらいの短編でいわゆる日常の謎を扱っていて、さらりと読めます。最後の表題作【冬のオペラ】は、短編というよりは中編ぐらいのボリュームで、内容も殺人事件を扱っています。かつて私の頭の中には北村さんといえば日常の謎という図式が出来上がっていたのですが、実は本格推理に対する並々ならぬこだわりがある方で、かの有名な「ワセダミステリクラブ」出身だったそうです。まさに表題作は北村さんの真骨頂と言える作品ですね。

 ところで、巫弓彦シリーズと銘打ったものの、続編は出ていない模様。さらに難事件に対峙して活躍してほしいのですけどね~。

 【三角の水】
 あゆみの会社の先輩・佐伯の妹がスパイの濡れ衣を着せられているという。北村さんって国語の先生だったのに、ここでのトリックは『ガリレオ』みたいでしたよ。でも、最後が後味悪かったですね。

 【蘭と韋駄天】
 何かにつけライバル視している仁科さんと小見山さん。ある日、仁科さんが手に入れた春蘭の変種が消えてしまった。犯人は小見山さんだと思われたが、彼女にはアリバイがあった・・・。
 種明かしはなーんだというようなものですが、意外とこういうことってあるのかも。

  【冬のオペラ】
 あゆみは先の蘭事件で知り合った椿さんと再会する。しかし、椿さんの大学の教授が殺されてしまった。教授が死ぬ間際に抱え込んだ2冊の本が犯人を指し示していた──。
 始めは全く分からなかったのですが、巫名探偵の話を聞くうちに表題の意味に気付きました。トリックもさることながら、様々な人間の欲望と悲しみにあふれた作品でした。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 本格ミステリーが好きな方
  • フランス文学が好きな方
  • 蘭が好きな方
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北村薫巫弓彦

4 Comments

viviandpiano  

私も読みました♪

題名が、ちょっと「冬のソナタ」に似てますけど(^^;
でも、面白い本でしたよね。
なんとも言えない空気感があって、
優しいけど、寂しいような、そんな読後感でした。

私も続編が読みたいな~と思っていたのですけど、
もしたくさんの事件を巫探偵が解決したとしたら、
「孤高の名探偵」という設定に反するから、
きっと北村先生は書かないのじゃないかな~・・・

探偵の自覚と言えば、
京極夏彦先生の京極堂シリーズに出てくる榎木津も。
翠香さんは京極作品は?

2009/01/24 (Sat) 01:02 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

「冬のソナタ」!確かに似てますね。あと「冬のリヴィエラ」とか。・・・ってこれは森進一だったw
千秋さんシリーズはほのぼのとして良かったけれど、これはちょっと毒を伴うというか、また違った雰囲気の作品ですね。巫名探偵は、いつも正しい人でしたね。

続編、出ませんかねぇ。やはり。
神出鬼没のフリーアルバイターも楽しみだったりするのですけど(笑)

京極作品は興味はあるのですけど、魑魅魍魎が苦手なのと、本のボリュームに圧倒されてしまって、未だ手付かずなんです(^^;) でも分冊版も出ているので、読んでみようかなーとは思っているのですが。
なにか京極作品でおススメはありますか?

2009/01/25 (Sun) 01:11 | EDIT | REPLY |   

viviandpiano  

京極本

タイトルとか表紙は、妖怪でおどろおどろしいけど、
京極堂シリーズの主人公の京極堂は論理の人なので、
作品自体には、妖怪とかは全く出てきません(笑)
とにかくキャラクターが、とても面白いのですよ。
だから、キャラにハマれば、全部読みたくなると思います。
「魍魎の匣」が面白いけど、バラバラ殺人なので、
ちょっとだけグロいところもあるかもしれません。

時代物が嫌いでなければ、「巷説百物語」も面白いです。
ちょっと必殺仕事人みたいな感じなんですよ。

という私も、最初に「姑獲鳥の夏」を読んだときは、
こんなの許せない~!!と思いました(^^;

2009/01/26 (Mon) 00:12 | EDIT | REPLY |   

翠香  

おすすめありがとうございます!

viviandpianoさん、京極作品のおススメありがとうございます~。

> 作品自体には、妖怪とかは全く出てきません(笑)
そうだったんですか!これはとんだ思い違いをしてましたね(^^;)

「魍魎の匣」は映画にもなりましたよね。
面白そうな感じではあったのですが、グロいのは、う~んどうだろう??

> 時代物が嫌いでなければ、「巷説百物語」も面白いです。
> ちょっと必殺仕事人みたいな感じなんですよ。
必殺仕事人!実は必殺シリーズ大好きなんですよ~。
ヒガシの同心姿が凛々しくて素敵v-238・・・って脱線してしまいましたね(汗)

viviandpianoさんのレビューも参考にさせていただきますね♪

2009/01/26 (Mon) 22:00 | EDIT | REPLY |   

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