【相棒season7】 第15話

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By翠香

■放送日時
  2009年2月18日 テレビ朝日 21:00~21:54 第15話 「密愛」

■GUEST CAST
  宇佐美悦子 ・・・岸惠子
  榊敏郎    ・・・国広富之
                   ほか

【シーン1】憧れの恩師との再会

  男、苦しみ悶える。女、その光景を目の当たりにし、戦き、嘆き泣き崩れる──。

  右京、大学時代の恩師の住む山荘へやって来る。焼却炉の脇に、ハーブティの瓶を見つける。匂いを嗅ぎ、一掴みハンカチの中に包んだ。
  悦子「杉下くーん」
  右京「ああ、猿など出そうですね」
  悦子「鹿も出るわよ」
  右京「東京とは空気が違います」
  悦子「そう。ここに住んだらもう都会暮らしは無理ね。・・・コーヒーでいい?あいにくねぇ紅茶切らしてるの」
  右京「ハーブティでも歓迎ですが」
  悦子「ハーブティ?」
  右京「ええ。ハーブティ」
  悦子「(ちょっと困った表情で)ごめんなさいね。コーヒーしかないの」
  右京「ああ・・・ではコーヒーで」
  ひとしきり大学時代の思い出話をする2人。当時、悦子は男子学生の憧れの的だった。教職を退いた後は、フランス文学の翻訳家として成功していた。雑誌にも『今、最も輝いている人たち』というタイトルで紹介されていた。
  悦子「ふふ、成功している女性の代表ですって。私、好きに生きているだけなのに」
  右京「僕の方こそ先生が覚えてくださっているとは思いませんでした」
  悦子「あら、忘れるものですか。あなたほど面倒な学生はいなかったのよ
  右京「おやおや」
  悦子「だって試験の度に私の採点に猛抗議してきて」
  右京「正当な抗議です。先生の採点はあまりに厳格でした」
  悦子「根に持ってるんだ」
  右京「何しろ僕が唯一落とした単位が先生のフランス文学でしたからねぇ」
  悦子「フランス文学をあなた、苦手だったんでしょう?」
  右京「(身を乗り出し)お言葉ですが、僕は決して苦手だったわけでは」
  悦子「わははは、ムキになるところが昔とおんなじ」
  右京「おほほほっムキになどなっていませんよ」
  悦子はフランス語の1フレーズを言い、「訳してごらんなさい。授業で何度もやったはずよ」
  右京「(しばらく考えていたが)やりましたかね?授業で」
  悦子「ふふふふ。相性が悪いのよ。あなたとフランス文学は。愛だの恋だの語っている文学、あなたには不向きでしょ?」
  右京「確かに男女の情愛ほど知性や理論が通用しない分野はありません。僕自身も結婚が上手くいきませんでしたし(遠い目)」
  悦子「だいたい結婚なんてシステムがナンセンスなのよ。・・・余談はこれくらいにして、本題に入りましょうか。手紙に書いたとおりよ」
  右京「現場を見せていただけますか?」
  悦子「もちろん」

  翠香コメント:右京さんが「難しい人」なのは、学生の頃からのようですね(笑)しかし、先生の前では、右京さんもまだまだ若造のようで。   

【シーン2】使用人が服毒自殺

  悦子「物置や書庫として使っていたのを住めるようにしたの。中はあのときのまま。手をつけてないわ」
  使用人・榊敏郎の遺体は荼毘に付されていて、位牌も置かれていた。
  悦子は庭掃除を頼もうとして、窓から中を覗いたら、榊が床に倒れているのを発見したのだという。窓もドアも鍵が掛かっていて開かなかったため、救急隊を呼んで窓ガラスを割って中に入ったのだ。
  警察は、服毒自殺と断定した。テーブルの上には小さな茶色の小瓶が置かれていた。猛毒らしい。
  右京は、遺骨の側に置かれていた運転免許証を手に取り、「榊敏郎。先生が雇われていた使用人なんですね?」
  悦子「そういうことにしてるけど、うーん、どういう人か、実は私もよく知らないの。本人は天涯孤独って言ってたけどね」
  右京「よく知りもしない人物に離れを貸すことになったいきさつは?」
  悦子「はぁ、成り行きね。社会福祉と思うことにしたの」
  悦子が山荘への道を歩いていると、草陰に隠れて震えている榊を見つけた。あまりに死にそうな風情だったので、自宅に連れて帰った。
  悦子「東京で奥さんと2人で慎ましく商売をしていた小市民。お人よしが災いして、知人の保証人欄に判子を押しちゃった。店も取られて、奥さん心労で病死。やけになって夜逃げをしたけど、つかまってリンチ。東京へ連れ戻されるところを逃げ出して、で、森の中で力尽きた。やっかいなことになったなぁと思ったけど、別荘管理に男手が出来たと思うことにしたわけ。そのうちに街に出て買い物なんかもしてくるようになったから、精神的にも立ち直ってきているのかなぁと思ってたんだけどねぇ」
 榊の遺体は荼毘には付したが、まさか廃品回収というわけにもいかず、右京に近親者を探して欲しいのだという。
 右京「わかりました。探してみましょう」免許証を上着のポケットにしまう。
 悦子「免許証だけで大丈夫なの?」
 右京「いちおう、プロですから
 悦子「今度は用意しておくわね。紅茶」
 右京「どうせなら、ハーブティが。先生特製の」
 右京は、焼却炉の脇に捨ててあったハーブティの瓶を手に取り、「悦子ブレンドハーブティ。ですよね?どんなお味だったのか、紅茶好きとしましては・・・」
 悦子「では、ちゃんと用意しておくわ」
 右京「ああ、楽しみが増えました。では(一礼する)」

【シーン3】犯人からの挑戦状

  二日後──。
  悦子に黙って山荘にやってきた右京は、離れを物色する。ベッドの上のクッションの下に悦子が訳したフランス詩集の本があった。
  悦子「警部さん。不法侵入じゃないの」
  右京「鍵が開いてたものですから」
  悦子「免許証だけでは調べがつかなかったわけね?」
  右京、榊の免許証を遺骨の側に返し、「榊敏郎。本人の言うとおり、近親者はいません。奥さんは1年前に病死。営んだ店も人手に渡っています」
  悦子「じゃあ、あなたは何を探していたの?」
  右京「ちょっとした試みです。色々と調べているうちに1つの考察をしてみたくなりまして。すなわち、榊敏郎は本当に自殺だったのであろうか」
  悦子「(右京の顔を覗き込み)はぁ?」
  右京「長野県警に立ち寄って、捜査資料を見せてもらいました。確かに自殺と解釈するのが最も自然です。しかし、別の可能性を考えてみるのも、面白そうです」
  悦子「殺されたっていうの?」
  右京は、榊が経営していた店の向かいにあるふとん店に聞き込みをしていた。すると、榊は自殺するような玉じゃない。あれは羊の皮を被った悪党だと言っていた。
  悦子「でも、もし殺されたのだとしたら、いったいどうやったのよ?」
  右京「例えば、犯人は榊さんの顔見知り。毒の保管場所を知っており、気付かれぬように持ち出す。毒は急須でも茶葉でもなく湯飲みに直接混入されていますから、榊さんの目を盗んでお茶を淹れるふりをし・・・」
  悦子「都合良過ぎない?」
  右京「ありえなくはありません」
  悦子「この小瓶にはね、榊さんの指紋しか残ってなかったのよ」
  右京「手袋をしていたか、あるいは殺害後、犯人が自分の指紋をきれいに拭き、死んだ榊さんの指紋を付け」
  悦子「ふふふふ、はははは、あなたねぇ、ちゃんと捜査資料読んだの?この部屋はねぇ」
  右京「密室」
  悦子「そう。この窓も、それからそのドアもちゃんと中側からしか掛からない鍵が掛かっていたのよ。あなたの説だと犯人はいったいどうやって逃げたの?」
  右京「(眼鏡のレンズを拭きながら)そうなのです。長野県警が自殺と結論付けた決定的要因もそれだったようです」
  悦子「あっさりゲームオーバーよ」
  右京「もし、見つかったとしたらどうでしょう?犯人の施した密室トリックの証拠です。方法は色々と考えられます。例えば・・・猿14
  悦子「猿?」
  右京「犯人が猿を使ったとしたらどうでしょう?小さな穴から小猿を忍び込ませ、鍵を掛けて戻ってくるように仕込んだ。あるいは、リス」
  悦子「リス?」
  右京「リスの好きな食べ物を鍵の部分に仕掛け、リスが食べると鍵がカチャ!と掛かるような。あるいは、氷」
  悦子「ちょっとあなた、本気なの?」
  右京「何がしかの仕掛けを施したのならば、必ず痕跡はあるはずです」
  悦子「でもねぇ、日が経っているのよ。それにそんなに頭のいい犯人だったら、そんな痕跡はとっくの昔に消し去っているわよ」
  右京「手がかりは全て残したままですからねぇ。そのような人物は大抵、あまりにあっけなく計画が成功するとかえって物足りなさを感じ」
  悦子「そして、もっと手強い相手を捜し求める」
  右京「(悦子の正面を向き)僕は挑戦状を受け取ったと解釈しています」
  悦子「受けて立つのね」
  右京「試験の採点について抗議しにいく度に先生はいつもちゃんと受けてたってくださいましたからね」
  悦子「あなたが来るとね、面倒な代わりにちょっと胸が騒いだものよ」
  右京「ではもう少し調べさせていただいてもよろしいでしょうか?」
  悦子「まあどうぞ。ごゆっくり、警部さん」
  2人は顔を見合わせてにっこりと微笑むと、悦子は離れを出て行く。
  悦子「うふふふ。可愛い子」

  381翠香コメント:50男に向かって「可愛い子」とは参りましたねぇ。でも確かに必死になって推理している右京さん、ちょっと可愛かったです。一人でクスクス笑っちゃいました。398

【シーン4】榊は盗聴されていた

  右京、悦子の部屋でハーブティをいただく。
  右京「う~ん、ローズヒップがベースでしょうか?」
  悦子「それと、ラベンダーとレモングラスが少し。これが悦子ブレンドよ」
  右京「高貴でありながら、官能的。実に先生らしい味です」
  悦子「ふふふふ。・・・で、猿かリスの痕跡は見つかったの?」
  右京「残念ながら、何一つ」
  悦子「ああ~。で、降参ってわけ?」
  右京「豪語しておいてお恥ずかしい」
  悦子「う~ん、がっかりだわ。期待してたのよ」
  右京「ですが、せめて僕なりの推理と想像でひとつの物語をこしらえることはできました。こんなもの(フランス詩集の本)やこんなもの(万年筆)を手がかりに」
  悦子「面白いわ。聞かせて」
  右京「本は先生の持ち物ですよね?」
  悦子「そうよ。もともと私の書庫だったって言ったでしょ?」
  右京「しかし、この本はベッドの上のクッションの下にありました。これ(万年筆)はどう解釈なさいますか?」
  悦子「万年筆と呼ばれる筆記用具ね」
  右京、万年筆の軸を回して外す。悦子はわずかに下を向いていた。中から出てきたのは──。
  右京「盗聴器です」
  悦子「盗聴器?」
  右京「榊さんは何者かに盗聴されていたようです」
  悦子「よく気がついたわねぇ」
  右京「品のよい万年筆が異質でしたから。この万年筆を榊さんに与えた人物がいるはずです」
  悦子「それが犯人!」

【シーン5】キャテリーヌとジュリアンの愛の物語

  右京「そのヒントを与えてくれるのが、このフランス詩集です。角を折ってあるページがたくさんあるのですが、先生が折ったわけではありません」
  悦子「どうして?」
  右京「折ってあるページには全てフランス語の原詩の上に鉛筆でカタカナ発音が書き込まれています。先生であるわけがない。発音を書き込むのは何のためでしょう?」
 悦子「口に出して読むためだわね」
 右京「そして折ってあるページに書かれている詩は全て愛の告白の詩ばかり。つまり、榊さんはフランス語で愛の告白をしていたのではないでしょうか」
 悦子「(失笑し)似合わなそう」
 右京「相手は当然、フランス語に堪能な女性ということになるでしょうねぇ」
  その女性を仮にキャテリーヌと名付けることにする。
 悦子「キャテリーヌはどんな女性?」
 右京「聡明で冷静な大人の女性です。榊さんよりは大分年上ですが、すれ違う学生がみな振り向いた若き日の美貌は衰えておりません」
 悦子「この際、榊も止めてジュリアンにしましょう。ジュリアンの愛の告白をキャテリーヌはどんな風に受け止めたの?」
 右京「ジュリアンはキャテリーヌの眼鏡にかなう男性ではまるでありませんから、相手にしなかったでしょうねぇ。始めのうちは」
 悦子「始めのうちは?」
 右京「なにせ(詩集の書き込みを見せ)これだけの回数です。押しの一手ということもあります」
 悦子「キャテリーヌともあろう女性がそれはどうかしらね」
 右京「カタカナの発音表記、訂正して書き直している箇所もたくさんあるのですが、これらは何を物語るのでしょう。・・・キャテリーヌとジュリアンの距離は徐々に近付き、やがてキャテリーヌはジュリアンの入れてくれるハーブティに心酔します」
 悦子「ハーブティ?」
 右京「その名を悦子ブレンドといいます。あ、こちらの(悦子が淹れてくれたハーブティを指し)悦子ブレンドではなく、(自分のコートのポケットから小さな包みを取り出し)これが本物の悦子ブレンドです」
 悦子「はぁ?」
 右京、ポットを拝借し、本物の悦子ブレンドを淹れる。「実は2日前お邪魔したときに捨ててあった瓶の中にあったハーブを一つまみ拝借しましてね。ウチの鑑識に分析してもらったんです。その内容と同じものを専門店で作っていただきました。これが本物の悦子ブレンド。あ、ちなみに捨ててあった瓶に書かれたフランス語ですが、スペルが間違っていました。当然先生の書いたものではないでしょう。ともかく悦子ブレンドは、榊さんが、もといジュリアンがキャテリーヌのためにこしらえたものなのでしょう。だからキャテリーヌはそのブレンドの内容を知らないのです。ちなみに本物の悦子ブレンドは、カモミール、ローズマリー、セージ、マリーゴールドです。さ、どうぞ」悦子の前に、カップを置く。
 悦子が一口飲む。右京「いかかです?」
 悦子「あなたはどうだったの?」
 右京「パンチが効いています」217
 悦子「不味いっていったら」
 右京「ハーブを多種雑多に混ぜすぎているかもしれません」
 悦子「そうなのよ。味も香りもごっちゃで分かりやしない」
 右京「しかし、この個性的な味をキャテリーヌは気に入った。ジュリアンの淹れてくれるハーブティを2人で楽しむのがキャテリーヌの至福のとき。キャテリーヌはジュリアンの愛を受け入れたと見て良いでしょう。いえ、受け入れたどころか、キャテリーヌの方がより激しくジュリアンを求めていくようになりました」

【シーン6】ジュリアンの愛は本物?

  右京「恋の炎は女性を嫉妬と言う疑心に狂わせます。キャテリーヌはジュリアンが本当に自分を愛してくれているかどうか、ジュリアンの本心がどうしても気になりました」
  悦子「待って」
  右京「はい?」
  悦子「ちょっと飛躍しすぎじゃない?冷静で頭のいい大人の女性なんでしょ?キャテリーヌっていうのは。ちょっとした遊び相手というなら分かるけど、疑心を持つほどジュリアンに心を奪われていくなんて考えられないわよ。しかも盗聴器を仕掛けるなんてそんなストーカーじみたことを」
  右京「そうですねぇ」
  悦子「リアリティの欠如」
  右京「ここがこの物語の弱いところです」
  悦子「ストーリーを都合よく運ぶために、人物像を歪めてはいけないの」
  右京「分かりました。ではキャテリーヌという女性の人物像をもう少し掘り下げてみましょう。・・・キャテリーヌはフランス文学の研究者で知性と気品に溢れ、かつて教鞭を執っていた大学の学生たちからは男女問わず憧れの的でした。恋人は有名俳優などど噂が飛び交っていたものです」
  悦子「どこから湧くのかしらね、そんなリアリティのない噂」
  右京「そこなんです。こういうのはどうでしょうねぇ。リアリティのない噂が湧くのは現実の恋をしているにおいが感じられないからなんです。もしかするとキャテリーヌは恋多き女ではなく、現実の恋など唯の一度もしたことのない、いわばウブな乙女だったとしたら」
  悦子「ウブな乙女って、あなたが言うと妙に淫靡だわね
  右京「何か恋ができない理由があるのだとしたら」
  悦子の表情が曇る。
 右京「キャテリーヌには身体的なコンプレックスがあったのではないでしょうか。あるいは青春時代に一度や二度は踏み出そうとしたのかもしれません。しかし、受け入れられなかった。そう考えると愛だの恋だのといったフランス文学に傾倒していったのは、虚構の世界でしかそれを経験することができないから。そんな悲しい理由からかもしれません。しかし、人生の黄昏を迎えて出会った男性は違いました。ジュリアンの熱い想いはキャテリーヌの永久凍土と化した心を一気に溶かしました。夢にまでみた愛の日々。失われし青春の獲得。人生最良の季節。しかし、幸せを感じれば感じるほど不安になっていきました。今まで男に愛されなかった自分が、こんなに愛されるはずがない。人生最初で最後の恋。ストーカー的情念を抱いたとしても不思議ではありますまい。・・・これなら飛躍は解消されるんじゃないでしょうか?」

【シーン7】ジュリアンの本性を知ってしまったキャテリーヌは・・・。

  悦子「・・・キャテリーヌは盗聴器で何を聞いたのかしら」
  右京「知ってしまったのでしょう。羊の皮を被った悪党の本性を。・・・宝飾店の向かいでふとん店を営む物見高い夫人はこう言いました」
  『ずーっと怪しいと思ってたんだよ。あれはね、あの男がやったんだよ。始めからそれが目的で結婚したのよ。私はこの目で見たんだから』
  榊が奥さんの飲み物に何か液体を混入していたのを、ふとん店の夫人は何度も目撃していた。
  右京「妻は徐々に体調を崩し、ある日、発作を起こしました。姿を消していた榊が次に現れたのは、とある別荘地。成功した女性として、雑誌などに取り沙汰されている、次のターゲットの元。キャテリーヌがジュリアンの本性と計画を知った経緯は、空想に委ねるしかありません」
  悦子「ある日、偶然街で見かけたのよ。きっと」
  悦子は榊が人相の悪い男と会っているのを目撃し、盗聴器の音声を聞いた。すると、榊は悦子を騙して結婚し、悦子に毒を飲ませて殺そうとしているのだと知ってしまった。
  悦子「キャテリーヌはようやく気付いた。毎日飲ませてくれるハーブティの味も香りも分かりゃしない雑多なブレンドの意味は、毒の混入をごまかすためのものだったって」
  悦子は、榊が隠し持っていた毒を湯飲みの中に混入し、榊は何の疑いもなくそれを飲み、もがき苦しみだした──。

  381翠香コメント:外から見える位置で毒の混入をするでしょうかねぇ?随分ずさんな気がするのですが・・・。

【シーン8】密室トリックの解明

  悦子「殺されて当然の男よねジュリアンは。・・・それで?」
  右京「はい?」
  悦子「続き。この物語の続きよ」
  右京「これで終わりです」
  悦子「まだ謎が解明されてないわ。キャテリーヌはどうやって密室を作ったのよ?」
  右京「密室トリックなど、推理小説の世界の話ですよ
  悦子「でも現実に密室だったのよ」
  右京「密室に見せることが出来る可能性があるのは唯一人、榊さんです。もはや自分は助からないと悟った彼が、薄れ行く意識の中で最後にとった行動は」
  悦子「榊がどうしてそんなことをするの」
  右京「自殺にみせかけるため。あなたに罪を着せないため。当然、あなたはご自分の体を案じて検査を受けましたよね?・・・彼はあなたに毒を飲ませてはいなかった」
 右京「確かに最初は財産を騙し取るために近付いたのでしょう。しかし、あなたと接するうちに、彼は変わった。演技であったはずのあなたへの愛は真実のものに。彼の最期の思いは最愛の人に罪を着せないこと」
 悦子「そんなことってあるかしら。自分の命を奪おうとする相手を庇うなんて」
 右京「男女の愛においては、どんな信じがたいことも起こり得るのではないでしょうか。聡明で冷静な女性でさえ、激情に駆られて我を失ってしまうのですから。(悦子ブレンドハーブティの袋を手に取り)ハーブにはそれぞれ特有の効果があります。カモミールは頭痛・不眠など。そして、カモミール、ローズマリー、セージ、マリーゴールドこれら全てに共通する効能が1つ。美肌効果です。彼がかかさずあなたに飲ませていた、味も香りも分からない雑多なブレンドの意味は、毒をごまかすためのものではなく、ただひたすらに恋人を思う愛の結晶。・・・物語は以上です」

【シーン9】単位はおあずけ

  悦子「どうしたらいいのかしら、私は」
  右京「今、お話したことはあくまで僕の推理と空想で紡いだ物語です。しかし、もし事実ならばキャテリーヌは自首するべきです。恋人の命を奪ったのですから」
  悦子「その恋人が命を懸けて守ってくれた秘密を、大事にしてはいけないかしら」
  右京「では何故、僕をお呼びになったのでしょう?完全犯罪を成し遂げたと僕にでっち上げて欲しかった?いいえ、違います。先生の本心は良心の呵責に苛まれ、真実が闇に葬られてしまうことに罪悪感を感じているからです。違いますか?・・・そうそう、先日の出題の回答を。死者達が戻ってこなかったからには、いまさら何を生者たちは知りたいのか。確かに授業でやったのを思い出しました。そしてジャン・タルデューの詩はこう続くはずです」
  死者たちがもはや黙っていられないからには生者たちも沈黙を守ってよいものか?
  右京「先生ご自身、沈黙を破る決意はすでに出来ているのではありませんか?」右京はコートに袖を通すと、部屋を出て行く。
  悦子は、震える手でティーカップを抱え「ごめんなさい・・・許して・・・ごめんなさい」
 そして、悦子が家の外に出て行くと、右京が待っていた。
 悦子「待っていてくれたの?」
 右京「エスコートを」
 悦子「メルシー」
 右京「こちらこそ。取り損ねていた単位をいただけたのですから」
 悦子「単位?はは、残念ながら単位は差し上げられないわ」
 右京「はい?僕のレポートは赤点でしたか?」
 悦子「大きな減点があったのよ。私もやっと今気付いたんだけど、私の本心はね、良心の呵責でも、罪悪感でもないの。私があなたを呼んだのは、誰かに知って欲しかったのよ。私がこんなに愛されたということ。この年になるまで生まれてはじめて、それも自分の命を懸けてまでの愛を私、貰ったのよ。そのことをたった一人にでもいい、知っていてほしかったの。あなたったら男女の愛に関しては、やっぱり落第
 右京「はぁ~そうでしたか~。参りましょうか」
 悦子「そうね」

■総評
  今回はかなり異色作でしたね。新聞のラテ欄に3人の名前しかなく、スカスカで妙に目立っていたのですが、そういうことかと納得しました。全編を通し、右京さんと悦子さんの会話でしたものね。
 岸惠子さんの流暢なフランス語が聞き取れず、適当に誤魔化している箇所がありますが、ご容赦ください(笑)
 愛は人を狂わせるのでしょうか。それでもそこまで愛されていたことを確認できた悦子さんは幸せだったのでしょうか。
 悲しいお話だったけれど、どこかフランス映画を観ているようなおしゃれな雰囲気が漂っていた作品でしたね。
 次回は、芹沢さんが右京さんの相棒を務めるみたいですね。楽しみ~。

■参考
 
テレビ朝日|相棒7
  相棒season7公式ホームページです。

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Comments 4

COCO2  

No title

いやー、今回は大物登場で、面白かったですね。岸恵子さんって決してうまい女優さんじゃないと思うんだけど、やっぱり貫禄。右京さんを「かわいい」と言って様になる女性は、なかなかいません。
一方、国広富之さん、実はずっと国広さんとわかりませんでした。時は流れる…

2009/02/27 (Fri) 00:19 | EDIT | REPLY |   

翠香  

右京さんもタジタジ(笑)

COCO2さん、コメントありがとうございます。
ホント、悦子さんの「かわいい子」には参りましたよ(^^;)
すっかりオジサマの右京さんですが、悦子さんから見ればかわいい教え子なんですねぇ。
国広さんはひげを生やしていたせいか、かつてのさわやかな雰囲気とは一変してましたね。
でも男性的魅力はありましたよね。だからこそ悦子さんも惹かれたのでしょうね。

2009/02/27 (Fri) 23:21 | EDIT | REPLY |   

すー☆  

とっても素的なお話でしたね♪

>外から見える位置で毒の混入をするでしょうかねぇ?随分ずさんな気がするのですが・・・。

↑確かにそうですね。
だけど僕はもう雰囲気に飲まれてしまってそんな風にミステリーを見る感覚を失くしてしまって、まったくスルーしてました。
見終わったあとも感動してしばらくポーっとしてました。
そんなんで、その日はブログにも書いてしまいました。
さぞかし面倒だったと想像のつく学生時代の右京さんを見てみたいって思いました(^^ゞ

2009/03/27 (Fri) 13:42 | EDIT | REPLY |   

翠香  

すー☆さんへ

相棒って、どちらかというと社会派の骨太な作品が多いのですが、
これは、フランス映画を観ているような、おしゃれな雰囲気でしたね。
相棒の脚本を手掛けている方は何人かいるようですが、
脚本家の個性によって、随分変わるものなんですね。

右京さんの採点の抗議、そりゃあもうしつこかったでしょうねぇ(^^;)
右京さんは好きだけど、もし右京さんが上司だったら、嫌だ~w
泣きながら特命係を辞めてますよ、きっと(笑)

2009/03/27 (Fri) 23:49 | EDIT | REPLY |   

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