【相棒season7】 第17話

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By翠香

 ああまたしても1週遅れ・・・。相棒は一話完結なのがいいですねw では第17話です。

■放送日時
  2009年3月4日 テレビ朝日 21:00~21:54 第17話 「天才たちの最期」

■GUEST CAST
  柘植瑛子   ・・・黒川芽以
  堀江恵一   ・・・三上市朗
  城戸幸四郎 ・・・中島久之
  五十嵐孝介 ・・・西沢利明
  安原慎一   ・・・三浦涼介
                   ほか

【シーン1】トリオ・ザ・捜一、右京に丸投げ

  一人の女性が警視庁の受付にやってきた。
  女性「すみません、あの2日前、東都芸術大学の詩の朗読会で亡くなった安原さんのことなんですけど・・・」
  受付嬢「は?」
  女性「警察は自殺って発表しましたけど、おかしいと思うんです。安原さんは自殺なんてしません。担当された刑事さんに会わせてもらえませんか?」
  受付嬢「お名前は?」
  女性「柘植瑛子です」
  ちょうど通りかかったトリオ・ザ・捜一、遠巻きに瑛子の様子を見ていたが、瑛子は3人に気付き、近寄ってくる。「あなたたち、現場にいた刑事さん!お願いします。もう一度・・・」頭を下げる。
  伊丹「落ち着いてください。あれは自殺だと」
  瑛子「安原くんは自殺なんてしません!ちゃんと調べてください!」
  芹沢「状況からみて他殺の可能性はないと、判断したんです」
  伊丹「どうぞお引き取りください」3人はその場を立ち去ろうとする。
  向こうから右京が出勤してくる。
  瑛子「書きますよ!私、出版社の人間です。警察の対応の杜撰さを書きます」
  伊丹、辟易した表情を浮かべていたが、右京の存在に気付き、破顔する。「これは警部殿~」
  右京「おはようございます」
  伊丹「どうぞ、こちらへ」瑛子の前に右京を連れて行き、「この方、警部さんですが」
  瑛子「警部?」
  右京「杉下です」
  伊丹「私どもより上の人間です。これより杉下が、あなたのお話を懇切丁寧にお聞きします。では、失礼」
  三浦「では、警部殿、あとよろしくお願いします」
  芹沢「ちっす」
  トリオ・ザ・捜一、瑛子を右京に押し付けて逃げるように立ち去る。右京、事態を把握できず、キョトンとする。

 381翠香コメント:芹沢~!先週の恩義を忘れたのか~!ちっすじゃないよ、芹沢~~!

【シーン2】朗読会発表中での服毒死

  右京、特命係で瑛子の話を聞くことに。
  右京「アールグレイのデルガモットオレンジは心を落ち着かせます。どうぞ」カップを瑛子の前に置く。
  瑛子、立ち上がり「あの、時創舎という小さな出版社で編集アシスタントをやっています、柘植瑛子です」名刺を渡す。
  右京「亡くなった安原慎一さんとのご関係は?」
  瑛子「私の初めての担当作家さんでした。・・・城戸幸四郎ってご存知ですか?」
  右京「日本を代表する詩人の一人と認識していますが?」
  瑛子「ええそうです」
  右京「どうぞ」瑛子に椅子を勧める。
  瑛子「城戸先生は詩人としての活動の他、東都芸術大学で准教授として、詩を教えてるんです。安原くんはそのゼミの学生で、ランボーの再来と言われるほどの才能の持ち主でした。(冊子を右京に差し出し)これ見てください」
  右京「(冊子の表紙を見て)詩壇の救世主、ですか」
  瑛子「詩集はなかなか売れないし、親しんでもらいにくい。でも安原くんは、飛びぬけた才能に加え、アイドル並みのルックスも備えています。彼の存在が詩を広める起爆剤となるかもしれない、詩壇はそんな期待をしていました」
  右京、冊子の中の写真で安原と握手をしている年配の男性を指差し「こちらは?」
  瑛子「詩壇の重鎮、五十嵐孝介です。五十嵐先生は彼を自宅に引き取ってまで、世界に通用する詩人に育てようとしていたんです」
  右京「安原さんが亡くなったときの状況を順を追って話していただけますか?」
  瑛子「その日は、城戸幸四郎ゼミの学生たちによる、卒業朗読会でした」
  安原は、自分の詩を書いた巻物を手に「これで詩の世界を変えてみせる、少しも怖くない」と自信を漲らせていた。
  瑛子「安原くんは、来月、ウチの出版社から初めての詩集を出すことになってました。学生時代に編んだ全ての作品を入れる、それが作品のコンセプトでした。それで私と社長の堀江とで安原くんの学生最後の作品を観にいったんです」
  右京「観に?」
 瑛子「あ、詩の朗読会はただ詩を詠むだけじゃなくて、テーマにあわせた演出がされます。演劇みたいなものです。・・・この日のテーマは水でした。水をイメージしたテープが敷き詰められ、その中央で詩を発表するんです」
 舞台に立った安原、巻物広げると表情を変え、後ろを振り返った。しかし、そのまま詩の朗読を始める。
   水に書いた物語
   祈りとともに吐く息は静かに舞い上がった
   それは闇にたなびく天の川となる
 舞台は暗転する。数十秒後、再び明るくなると、安原は紙コップの水を飲み干す。
   私はこの名を水に書こう
 その直後、安原は苦しみだす。紙コップの水に毒が入っていたらしい。しかし、事前に誰かが毒を入れた形跡はなく、安原自身が毒を入れたと警察は判断した。
 瑛子は暗転の間に誰かが毒を入れたのだと主張した。しかし、暗転の時間は数十秒しかなく、毒を仕込むのは難しいと思われた。
 また、五十嵐の話では安原は詩作に悩んでいたという。

【シーン3】蓄光テープを目印に毒を仕込んだ?

  右京、現場の遺留品を調べに鑑識課にやってくる。
 安原の持っていた巻物は白紙だった。捜査一課は自殺と断定したようだが、米沢は気になることがあるという。会場には紙吹雪に紛れて三角形の蓄光テープがいくつか貼られていたのだ。蓄光テープは舞台上のテーブルから客席に向かって貼られていた。これならば暗転の時に毒を仕込むのも可能ではないか?

  事件の検証をすべく、朗読会の会場にやってきた右京と米沢。瑛子も立ち会うことになった。
  右京、合図して会場の照明を消してもらう。米沢が秒数をカウントする。たった7秒ほどで毒を入れることは可能だった。
  瑛子「杉下さん、これで証明出来ましたよね。暗転中に毒を入れることは可能。そうですよね?」
  右京「確かに可能ですね」
  米沢「しかし、若干足音が気になりますな。誰かに気付かれたのでは?」
  瑛子「暗転の時に、そこにあったスモークマシンから煙が出たんです。火事だと勘違いした人もいて、場内はかなりざわついていました。だから気付かれなかったとしても不思議じゃないです」
  米沢「なるほど~。毒を入れた人物が自分の動きを悟られないように、その騒ぎも仕組んだとすれば?」
  瑛子「きっとそうですよ。(右京の方を向き)これは殺人です」
 右京「(客席の方へ歩きながら)毒を入れることができる可能性があるのは、この辺りに座ってた方。どなたが座っていらっしゃったか、お分かりですか?」
 瑛子「五十嵐孝介先生と、城戸幸四郎先生です」

  右京、東都芸術大学を訪れる。
  ゼミの学生に話を聞く。安原は最近様子がおかしかったという。約束を平気で破ったり、急に怒ったり泣いたりと情緒不安定のようだった。
  その後、城戸幸四郎に会う。
  右京「今回の朗読会、安原さんは紙に書いた詩を詠み上げたそうですね」
  城戸「巻物状の和紙に朗読用の詩を書いて、それを詠み上げていました」
  右京「しかし、安原さんの巻物は白紙でした」
  城戸「暗記をしていたのでしょう」
  右京「だとすると、何故安原さんは白紙の巻物を開いたのでしょう?」
  城戸「さあ・・・そこまでは」

【シーン4】7年前の女流詩人の自殺を真似た?

  右京、時創舎を訪れる。
  ちょうど安原の詩を編集する作業を進めていた。
  右京は、安原直筆の詩を拝見し、和紙の感触を確かめる。
  堀江「天才詩人の名にふさわしい詩です。そんな彼の作品を世に送り出すのが、私たちに出来る供養です」
  瑛子「社長、安原くん、やっぱり殺されたんですよ。五十嵐先生か城戸先生なら毒を入れられるんです」
  堀江「めったなことを言うんじゃない」
  右京「五十嵐先生ですが、安原さんを自宅に住まわせていたそうですね」
  堀江「ええ。安原君の後見人でしたから。五十嵐先生はもうじき文化勲章を受けるらしいです。(瑛子の方を向き)僕は彼は自殺だと思う」
  瑛子「社長まで、そんな・・・」
  堀江「安原君が詩作を始めるきっかけとなった女流詩人が7年前に自殺してるんだ。今回の彼の死はその時とそっくりなんだ」
  右京「7年前に、自殺を?」
  堀江「ええ。梅津朋美という詩人です。彼女も朗読会の席で毒を飲んで・・・」
  右京「よろしければ、詳しくお聞かせ願えませんか?」
  堀江「私が話したということは内密にしていただけますか?」
  右京「もちろんです」
 堀江「7年前、梅津朋美は詩壇の賞を総なめにして、天才詩人の名をほしいままにしていました。大手出版社からの出版も決まり、まさに詩人として羽ばたこうとしていたときでした──」
 朋美の書いた詩は、3ヶ月前、五十嵐孝介が朗読会で発表したものと同じものだった。
 堀江「五十嵐先生が詩壇の重鎮だったことから、トラブルを避けたい出版社は、朋美さんが盗作をしたと一方的に決め付けた。朋美さんは盗作詩人のレッテルを貼られてしまった。そして・・・朋美さんは最後まで潔白を主張し、朗読会の席で自殺をしました」
 右京「(顔をしかめて)痛ましいことですねぇ。安原さんが詩作を始めるきっかけになったのは、亡くなられた梅津朋美さんだったと、先程おっしゃっていたのは?」
 堀江「ええ。安原君は両親を早くに亡くし、とある教会に併設された児童施設で育ったんです。その教会のシスターがある1篇の詩を彼に詠ませた。その詩が朋美さんの詩だったんです」
 右京「どのような詩だったのでしょう?」
 堀江「生きることは暗闇を迷うこと だけどそれは光がある場所へたどり着くための道」
 瑛子「あ、それ安原君から聞いたことがあります」
 堀江「安原君はその詩に感動して、朋美さんに手紙を書いたそうです。安原君の悩みを知った朋美さんは、彼に詩を書くことを勧めました」
 右京「つまり、梅津朋美さんは安原さんを詩の世界に導いた恩人だったわけですねぇ。安原さんは梅津朋美さんがどのような亡くなり方をしたのかご存知だったのでしょうか?」
 堀江「知っていたのかもしれません。それで、同じような方法で」

【シーン5】付箋だらけの部屋

  右京、五十嵐の自宅を訪れる。
  右京「五十嵐先生は安原さんの後見人でいらっしゃいました」
  五十嵐「才能がある文筆家は誰かが支援しなければなりません」
  右京「ご自宅の一室に住まわせて、詩人として育てる、なかなか出来ることではありません」
  五十嵐「本当に自殺が残念でならない。正直、まだ信じられません」
  安原の住んでいた部屋を見せてもらう。部屋中付箋だらけであった。
  右京「(付箋を指差し)これは?」
  五十嵐「安原君はいつもメモと鉛筆を持って考えていました。彼は朗読会のテーマ・水のための詩を生み出すのに苦しんでいました。なかなか分かってもらえないと思いますが、詩人にとって言葉が生まれないことは、どれほど苦しいことか・・・。(付箋の1つをつかみ)『水が乾いていく恐怖』、詩には作者の心の叫びが出てしまうものなんです」
  しかし、付箋には詩のフレーズだけでなく、人との約束や覚書、自分が育った施設への道順を書いたものまであった。
  そして、安原の机の引き出しには、買い置きの歯ブラシや糊などが大量に入っていた。
  右京は、半紙に書いた詩の原稿を見て、手触りを確かめる。原稿には所々三角形のシールが貼られていて、添削されていたようだ。
  右京、帰り際に「あ、最後にひとつだけ219。五十嵐先生は、7年前に自殺なさった梅津朋美さんをご存知ですよねぇ?先生の詩を盗作したとして、詩壇から追放された詩人です。・・・お忘れでしょうか?」
  五十嵐「なぜ、いまさらそんなことを?」
  右京「安原さんも同じような形の自殺を選びました。偶然でしょうか?」
 五十嵐「盗作を訴えたのは私ではありませんよ。あれは周りが勝手に騒いだんです」

  喫茶店で落ち合った右京と瑛子。
  瑛子は安原の詩集のゲラのコピーを持参した。追加原稿を含め、後は印刷所に回すだけだという。
  追加原稿というのは、安原が朗読会で詠んだ最後の詩のことだった。
  右京「安原さんは、この詩で何かを訴えたかったのかもしれませんね」
  瑛子「私もそれをずっと考えてました。社長は安原くんが即興の詩を思いついたんだと言ってましたけど、でもあのときの安原くん、新しい詩を思いついた顔じゃなかったんです。・・・なんというか、どこか不安げで・・・。きっと巻物に書いた詩を思い出しでいたんです」
  右京「つまり、巻物を何者かが白紙にすり替えたと?」
  瑛子「だとすると、事前に詩の内容を把握できる人間は限られています。城戸先生、ゼミの学生たち、あ、一緒に住んでいた五十嵐先生だって・・・」
  右京「しかし、城戸先生はご存じなかったとおっしゃってましたよ?」
  瑛子「嘘をついている可能性もあるんじゃないですか?」
  右京「確かに。ところで、瑛子さんに入手していただきたいものがあるのですが」

【シーン6】消えた作品ノート

  右京、再び東都芸術大学の城戸幸四郎を訪ねる。
  城戸と安原の不仲は学生たちにもよく知られていた。安原は城戸を厳しく非難していた。詩を書けない詩人など詩人とは言えないと。
  城戸「私は、詩を書けないわけじゃありませんが・・・」
  右京「皆さん、おっしゃってました。城戸先生がひとたび詩作を始めれば、安原さんに勝るとも劣らぬ素晴らしいものを生み出すと」
  右京、学生から借りてきた城戸の添削テープを見せ「先生は学生の詩を添削されるときに、いつもこのように三角に切ったテープをお使いになるそうですね」
  城戸「学生たちの中には木の板に詩を書くものもいます。テープであれば何に詩が書かれていても添削可能ですから」
  三角にするのは矢印の代わりになるからだという。

  右京、時創舎を訪れる。
  堀江に梅津朋美の原稿を見せてもらう。盗作が疑われた詩は、安原が朗読会で詠んだ詩と同じだった。
  そこへ瑛子が外から帰ってくる。右京に頼まれて7年前に五十嵐が朗読会で詠んだ詩を入手したのだ。
  瑛子「まったく同じです。安原君は7年前に朋美さんが盗作したとされる五十嵐先生の詩を詠んでいたんですね。しかも五十嵐先生の目の前で。やっぱりこれ、何かのメッセージですよ」
  安原は、この詩で詩の世界を変えてみせると言っていた。
  右京「何かを告発したかった。・・・そもそも何故安原さんは、梅津朋美さんに因縁のある五十嵐先生の自宅に住もうとしたのでしょうね?」
  堀江「7年前の真相を突き止めるためだとしたら?」
  右京「はい?」
  堀江は7年前、梅津朋美との打ち合わせで、朋美から『少女と毒薬』という題で詩を書いていることを聞いていた。作品ノートにまとめてあるので、あとは和紙に清書するだけだと言っていた。しかし、彼女の死後、いくら探しても作品ノートは出てこなかったのだという。
  瑛子「誰かが朋美さんのノートを盗んだってことですよね?安原君は五十嵐先生だと思った。それでノートを見つけるために五十嵐先生の家に下宿したんですよ」
  右京「なるほど。もしそのノートに五十嵐先生の詠んだ『水に書いた物語』が書かれていたら、盗作したのは、五十嵐先生の方ということになりますね」

  右京が時創舎を出たところで携帯が鳴る。米沢からだった。
  安原が服毒した毒の入手経路が分かった。インターネットの闇ルートだった。購入記録を辿ると、城戸幸四郎の准教授室のパソコンからであった。

  右京、城戸幸四郎の詩集を調べる。その中に、『少女と毒薬』という題の詩があった・・・。 

【シーン7】偽りの詩人

  城戸の自宅で取調べをする捜査一課。
  朗読会の会場に貼られていた蓄光テープは城戸が貼ったのかと問い詰めるが、城戸は否定する。
  そこへ右京が入ってくる。「ちょっと失礼。開いてたもので」
  城戸「何ですか、こんな大勢で」
  三浦「警部殿、いま取り込み中、ってかどうしたんですか?」
  右京「申し訳ありません。探し物をしていまして」
  伊丹「警部殿!毒の件はこちらに任せてもらえませんか?」
  右京「もちろん、毒の件はお任せします。城戸先生、実はあるノートを探していましてねぇ」
  城戸、表情を変える。顔をそらすと、右京が回りこんで「ノート、探させて頂いてもかまいませんか?」
  城戸「ノートって何のことですか?」しらを切ろうとしたが、ずっと右京が視線を逸らさずにいるのに耐えられなくなり、「どうぞ」
  右京「では、お部屋を拝見されていただきます」そう言って、書斎を見渡すと、机の上にノートが置いてあるのに気付いた。しかし、わざと気付かぬ振りをして、隣の部屋を見に行く。
 城戸は、その隙にタバコを取りにいくふりをして、書斎へ入り、あわててノートをどこかに隠そうとする。そこへ、襖が開いて右京が現れた。城戸は驚愕し、ノートを体の後ろに隠す。
 右京「あ、そのノート、僕が探していたノートのようですね」
 右京、ノートのページをめくりながら「これが何かは、あなたが一番ご存知のはずですねぇ。」
 右京は、『少女と毒薬』の詩のページを開き、城戸の詩集と見比べてみる。まったく同じものであった。
 芹沢「あのー、どういうことですか?」
 右京「五十嵐孝介氏が7年前に朗読会で詠んだ詩、そして、この7年の間に(城戸を指して)あなたが発表した詩、それらのほとんどがこの作品ノートから引用されています。このノートは盗作の疑いをかけられ、潔白を訴えながら無念の死を遂げた梅津朋美さんの作品ノートです。(城戸の方を向き)説明していただけますね」
 城戸「7年前、私は、東都芸大の講師として働いていました」
 城戸は、五十嵐から助教授の椅子をチラつかされ、朗読会用の詩を一篇頼まれた。
 城戸「言葉をくれ、そんなことを平気で言う五十嵐孝介には失望しました。しかし、五十嵐は詩壇の重鎮です。逆らえば詩人としての道は閉ざされてしまう」
 伊丹「だったら何であんたが作った詩を渡さなかった?」
 城戸「詩人にとって言葉は命です。それを渡すのはどうしても抵抗がありました。それで、つい・・・」
 城戸は、朋美が落としていったノートをたまたま拾ったのだった。
  城戸「若いからちやほやされているだけだ。ノートを見るまではそう思っていました。・・・心が震えました。負けたと思いました。彼女こそが天才詩人だと」
  右京「そしてその詩を五十嵐孝介氏に渡した」
 城戸「盗作騒動になれば、梅津朋美が負けるのは分かっていました。そうなれば彼女は詩壇から追放される。・・・(溜息をつき)でも、まさか自殺をするなんて・・・」
 右京「ひとつ、よろしいですか?219盗作の証拠となる梅津朋美さんの作品ノートを、あなたは何故ずっと持っていたのでしょう?」
 城戸「何度も何度も捨てようと思いました。でもどうしても捨てられなかった。ノートに残された言葉から詩を作っている限り、私は日本を代表する詩人でいられた。でも、喜びは一瞬、あとは地獄の苦しみ。自分の才能のなさを思い知り、苦しくて・・・」がっくりと肩を落とし、しゃがみこむ。
 右京「あなたの卑劣な行動で、2人の若い詩人が命を縮めることになりました。あなたは2人の苦しみを考えませんでしたか!」怒りにふるえる右京。

  右京、五十嵐の自宅を訪れる。
  右京「城戸先生は学校を辞め、詩壇からも離れるそうです」
  五十嵐「城戸が、彼女の詩を盗んだとは・・・。知らなかったんだ・・・」
  右京「あなたの文化勲章内定にも傷が付いてしまいましたね。詩人としての名声も、これまで、ということになりますね。・・・先生にお借りしたいものがあるのですが」

  381翠香コメント:トリオ・ザ・捜一、右京さんに丸投げしたくせに、今度は邪魔者扱いですか!

【シーン8】安原の抱えていた病気

  右京、朗読会の会場に堀江を呼び出す。
  堀江は、今度出版する安原の詩集本をもってきた。しかし、現場が再現されていることにとまどいを感じていた。「聞きたいことがあるんですよね?」
  右京「まず、ご報告ですが、五十嵐先生と城戸先生が7年前の盗作をお認めになりました」
  堀江「あの2人が、認めたんですか!」
  右京「梅津朋美さんの作品ノートが、城戸先生の部屋から見つかったんです!」
  堀江「やっぱり・・・幻のノートなんかじゃなかったんだ。安原君はそのために殺されたんですね?」
  右京「気に掛かることが1つありましてね」
 右京はゼミの学生から、安原が平気で約束を破ったり、情緒不安定であることを聞いていた。
 右京「そして大量の歯ブラシ。育った施設への行き方を記したメモ。もの忘れがひどくなる。そのためにメモを多用する。購入したことを忘れて日用品を大量に買いためる。これらの症状から推察される病気が1つあります。若年性アルツハイマー。堀江さん、あなたはそのことを知ってましたね?決定的だったのは、このメモです。聖マリア児童園、ここは安原さんが育った施設です。そこへの行き方が詳細に記してあるのは、おかしいと思いました。安原さんは今でもこの施設を度々訪れていました。そこでシスターからお話を伺ってきました」
 シスターは、安原は堀江のことだけは信頼して病気のことも話していたと言っていた。
 堀江「しかし、病気のことと今回の事件は関係ないでしょう」
 右京「いいえ、あります。安原さんは最初から自殺するつもりでした。ですが、ただ命を絶つのではなく、尊敬する梅津朋美さんの作品ノートから言葉を盗んだ人間に復讐しようとしたんです。つまり、安原さんは7年前の盗作事件が元で自分は殺された、警察がそう考えるように仕組んで自殺をしたんです」
 堀江「そんな・・・安原君の自作自演であったという証拠は?」
 右京「白紙の巻物です。最初に触れたとき違和感がありました。あなたの会社を訪ねたときに、その謎が解けました。和紙は通常凹凸の少ない方を表にします。しかし、安原さんはそれを逆にして使っていました。あの白紙の巻物も凹凸の大きい方が表になっていました。表裏逆に使っていたのは安原さんだけ。つまり、あの白紙の巻物は、安原さんご自身が用意したものなんです。安原さんは、ご自分が自殺ではなく、他殺だと思わせる仕掛けをし、その容疑が城戸先生に向くようにしたんです。まず安原さんは、城戸先生のパソコンからインターネットにアクセスし、硝酸化合物の毒物を入手しました。蓄光テープを城戸先生のくせである三角形に切って貼り、そしてあの日、暗転の最中、安原さんは自ら毒を入れました。(一冊の本を取り出し)4年前に城戸先生が刊行した詩集です。この中には、あなたがいつか話してくれた梅津朋美さんの作品ノートの構想そのままの詩がいくつも載っています。出版社は時創舎、あなたの出版社です。当時あなたは一人で全てを担当していました。あなたはこの詩集を手がけたとき、城戸先生が7年前の盗作事件に絡んでいること、その証拠となる、梅津朋美さんの作品ノートを持っていることに気付いたはずです」
 堀江「ええ。しかし、問い詰めた途端、ノートを処分されてしまうかもしれないでしょう」
 右京「仰るとおり。安原さんは何故こんな手の込んだことをしたのでしょう?堂々と告発できるものをあえて城戸先生に疑いが向くように仕掛けた。あなたの仰るとおり、作品ノートを処分されてしまっては立証できなくなってしまいますからねぇ。(うなずき)あなたの思惑通りです。あなたは安原さんが病気を苦に自殺しようとしていることを知ったとき、城戸先生が梅津朋美さんの作品ノートを奪い、その言葉を五十嵐先生に渡したことを話しました。7年前の盗作事件の被害者は梅津朋美さんだけではありません。もう一人いたんです。担当出版社として、全ての責任を押し付けられ、当時いた出版社を退職に追いやられた、堀江さん、あなたですよ。あなたが何をたくらんでいたのか、あなたのお持ちになった本が全てを物語っています」

【シーン9】人の命を有効利用

  瑛子、そっと2階席の入り口から現れ、右京の話を聞いていたが、「社長!」そう叫ぶと、2人の元へ階段を駆け下りてくる。
  瑛子「私、安原君の最後の作品が朋美さんのものだと分かったとき、それを抜くために急いで印刷会社に行ったんです。入れたはずの『水に書いた物語』がそこにはありませんでした」
  瑛子が印刷会社に変更の電話を入れたあとに、堀江からの電話で変更はなしでそのまま進めてくれと指示していた。
  瑛子「社長が電話したのは、あの詩が安原君のものでないと分かる前でした」
  右京「あなたはあの詩が梅津朋美さんの詩であることを知っていたにもかかわらず、知らないふりをしました。何故、そのような嘘をついたのでしょう?それはあなたが、安原さんの抗議の自殺を利用して、この詩集を成功させようとしたからです。おそらくこの本は、詩集としては異例の成功を収めることになるでしょう。そしてあなたは出版人として、高い評価を得、同時にかつてあなたの首を切った出版社を見返すことができる」
  瑛子「社長、どうして止めなかったんですか!人の命を何だと思っているんですか!」
  堀江「止めても無駄だったんだよ」
  安原の決心は固かった。堀江はそれならば最後に朋美の名誉を回復して欲しいと頼んだ。城戸が朋美のノートを奪い、五十嵐に詩を渡し、盗作していたことを伝えた。
  堀江「安原はほっといても自殺したんだ。だったらその命を少しぐらい役立ててもいいじゃないか」
 右京「安原さんの部屋には、梅津朋美さんからの手紙が何通もありました。安原さんを導く言葉で溢れています。安原さんもまた、命がけで詩を作りました。安原さんが自ら命を絶った事を肯定するつもりはありません。しかしそれが彼の詩人としての人生の決着だったのでしょう。いずれあなたには自殺幇助で捜査がなされると思いますが、安原さんの純粋な思い、その死までも利用するなど決して許されることではありません!(怒りに震えながら)人として最も恥ずべき行為ですよ!」

【シーン10】生きていた証を残す役目

  右京と瑛子、道を歩きながら。
  右京「安原さんは詩集の印税を全て教会に寄付する手続きをしていたそうですねぇ」
  瑛子、うつむき加減で「ええ」
  右京「どうかなさいましたか?」
  瑛子「社長が安原君と朋美さんの原稿を託していきました。でも私はまだ・・・」
  右京「生きることは暗闇を迷うこと。だけどそれは光がある場所へたどり着くための道」にっこりする。
  瑛子も笑顔になり「2人の人生を支えた朋美さんの言葉ですね」
  右京「2人の若い詩人が生きていた証を残してあげてください。それができるのはあなたしかいません」
  瑛子、頷く。

■総評
  今回、印象的だったのは、瑛子のひたむきさですね。警視庁に直談判に行くとはなかなか気合入ってます。しかも刑事を脅迫するとは・・・。
 それに比べて、城戸先生はなんとも情けなかったですね・・・。若い女性の詩を自分の作品として発表するなんて・・・。だから安原くんのような若造にナメられるのですよ。
 いずれにしても、盗作なんて最低の行為です。私もこのブログの記事をパクられたことがあるので・・・。
 しかし、1つ分からないのが、アルツハイマーの安原くんが何故、朋美さんの詩を暗記できたかという点。頭にメモが出来ないから、部屋中が付箋だらけなのに・・・。

■参考
 
テレビ朝日|相棒7
  相棒season7公式ホームページです。

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