【はちまん】 内田康夫

◆◇◆天誅を下せ◆◇◆

浅見光彦シリーズ78
長編
角川書店 1999.1
カドカワ・エンタテインメント 2001.2
  角川文庫 2002.9
  文春文庫 2009.5

はちまん〈上〉 (角川文庫)
はちまん〈上〉 (角川文庫)
はちまん〈下〉 (角川文庫)
はちまん〈下〉 (角川文庫)

■あらすじ

 長野県中野市の小内八幡神社、その名に惹かれて立ち寄ったフリーカメラマンの小内美由紀は、全国の八幡神社を巡礼している飯島という老人に出会う。だが、不可解な言葉を残して美由紀と別れた老人は、秋田県で死体となって発見された。
浅見光彦は、日本各地の美しい風景と混乱の戦後史の中に、この元文部官僚の軌跡をたどることになるが・・・・・・。この国のありかたを問う著者が壮大な思いをこめて紡ぐ巨編。

(角川文庫上巻より)

 

■テーマ
 八幡信仰
 サッカー228くじ問題

■舞台
 長野県中野市
 石川県金沢市
 秋田県由利郡金浦町
          象潟町
          仁賀保町
 高知県高知市
      室戸市
      安芸市
 熊本県鹿本郡鹿央町
 広島県呉市
 兵庫県神戸市
      川西市

■ヒロイン
 小内美由紀(25歳・フリーカメラマン)
■感想
 上下巻の大作。しかし、タイトルは大作に似合わず、ひらがななので、柔らかい感じがしますね。浅見光彦シリーズでひらがなのみのタイトルはこれが初めてです。
 ちなみに「はちまん」は「八万」ではなくて、「八幡」。全国に「八幡」と名の付く神社は一番多いのだとか。言われてみると確かにたくさんありそうですね。私は関東在住なので、やはり「鶴岡八幡宮」を思い浮かべます。

 大作のせいか、物語の進み具合はゆっくりで、上巻では浅見の登場はあまり多くありません。そもそも文庫版(角川文庫)で、147ページ目にしてようやく浅見登場ですからねぇ(^^;)
 しかも、始めの方は政界がらみの話が中心なので、どうもこの手の話が苦手な私は読書ペースがなかなか上がらず・・・。でも、浅見が登場するやいなや文字通り東奔西走の活躍をするので、読書ペースは一気にup!現金ですね~(笑)

 今回のヒロインは、フリーの女性カメラマン212小内美由紀。浅見と同じように、『旅と歴史』から仕事を貰っています。二人は取材を通して知り合い、ロマンスに発展か?─と思いきや、美由紀には婚約者がいたのでした。
 ところが、この婚約者の松浦、いまどき珍しい堅物というか、自己抑制が強いタイプというか・・・。美由紀をホテルの部屋に残したまま帰ってしまったのはヒドイですね。ひょっとして、ホ○なのでは?なんて疑ってしまいました(^^;)
 それはともかく、正義感が強過ぎてちょっと危なっかしいなぁ、と思っていたら、やはり・・・。しかもその原因を作ったのが浅見。またしても浅見の軽率な行動が悲劇をもたらしてしまいました。390
 「またしても」というのは、実は【崇徳伝説殺人事件】でも、浅見の不用意な行動によって、一人の女性を死に追いやってしまったからなんです。
 何故他人の耳がある所で電話を掛けたのか、何故松浦に注意するよう、言っておかなかったのか、大いに疑問の残るところです。

 私は、浅見光彦シリーズは本格推理だと思っているのですが、今回初めて「これって推理小説?」と思いました。というのも、始めから読者には犯人が明らかになっているのです。もちろん動機も。それを浅見がどう推理していくかが読ませ所だとは思うのですが、犯人が齟齬をきたすとか、意外な動機が判明するということもないので、倒叙ミステリのようなドキドキ感もないのですよね。事件の幕切れも自然の力によるものだったし・・・。
 まあ、大物が犯人である場合、成敗しきれずに消化不良で終わることが多いので、それなりにスカッとはしたのですけどね~。でもあの秘書父子がかわいそう・・・。409

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404404

◆満足度

★★

■特におすすめ!

  • 社会派志向の方
  • 古代史に興味がある方
関連記事
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ランキングに参加しています。バナーをクリックして応援お願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

Category: 浅見光彦
Published on: Tue,  30 2009 21:54
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

浅見光彦 内田康夫

2 Comments

viviandpiano  

これは

社会派ミステリーなのではないかと思います。
実はこの作品、新聞小説として連載されているときに読んだのですが、
その当時はサッカーくじ問題が静かに進行していて、
それに対する警鐘だったのではないかと思います。
こんな時期に、こんな小説書いていいのか!?と心配したものです。
浅見光彦シリーズでは、ちょっと異色な作品だと思いますが、
すごく印象に残っています。

2009/07/01 (Wed) 02:53 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

この作品は、地方紙に連載されていたようですね。
viviandpianoさんも読まれていたのですね!
内田先生は社会問題を題材に書かれることが多いのですが、
かなり辛口なので、「こんなこと書いて大丈夫??」と別の意味でドキドキさせられます(笑)
実はサッカーくじ問題をテーマに盛り込んだのは、連載の途中からのようです(^^;)
登場人物の口を借りて、内田先生の考えが反映されておりますが、
浅見光彦のキャラによって堅苦しくなり過ぎずに救われている気がしますね。

2009/07/01 (Wed) 23:54 | EDIT | REPLY |   

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

Post a comment