毛髪再生

【街の灯】 北村薫

Categoryわたしのベッキーシリーズ
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◆◇◆影に徹する名探偵◆◇◆

わたしのベッキーシリーズ1
短編集
文芸春秋 2003.1
  文春文庫 2006.5

街の灯 (文春文庫)
街の灯 (文春文庫)
おすすめ平均
stars古き良き昭和の人々
stars時代考証の質が高い!
stars昭和7年にあった上流社会の空気と考え方
stars名家
stars雰囲気がいい

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■あらすじ

昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。
(文春文庫より)

■ヒロイン
 花村英子(女子学習院中期四年)
 別宮みつ子(英子付きの運転手)

■感想
 遅まきながら、北村薫先生、直木賞受賞おめでとうございます!!314
 受賞作【鷺と雪】は、『ベッキーさんシリーズ』の完結編ということなので、まずはシリーズ第1作の本作から読んでみました。・・・実はこれ、積読していたのですよね(^^;) 予定では『時と人シリーズ』を先に読むつもりでしたが、受賞記念ということで☆

 本作の時代設定は昭和7年。著者が初めて時代物に取り組んだ意欲作です。華族という身分制度が存在する時代であり、無声映画からトーキーへと変わる時代。そんな昭和初期の東京の街の様子や上流階級の人々の暮らしが、柔らかな文体を通して目に浮かんでくるようです。

 北村作品は、ほとんどが女性が主人公で、『円紫さんと私シリーズ』や【冬のオペラ】などで「わたし」という一人称で語られていますが、このシリーズでも同様の形を取っています。
 その「わたし」は、財閥系列の商事会社社長令嬢の花村英子
 そして、英子付きの運転手として花村家にやってきたのが、ベッキーさんこと別宮(べっく)みつ子
 現在では、職業としての女性運転手もそこそこ見られるようになりましたが、それでもまだ少数で、依然として男性の職業というイメージがあります。ましてや昭和初期の時代に女性運転手とは稀有な存在であったでしょう。英子の父は革新的な人なので、前例などに囚われなかったのですが、一方、英子を迎えに来た時に他の家の運転手たちに(英子のような上流階級のお嬢様は皆車で送迎されて通学しています)奇異の眼で見られることのないようにという心配りも忘れていません。
 しかし、このベッキーさん、車の運転のみならず、武術の心得もあり、射撃の腕も一流というスーパーウーマンなんです。本作ではベッキーさんの正体はまだ不明なのですが、次回作【玻璃の天】で明らかになるそうです。

 このシリーズが『ベッキーさんシリーズ』と呼ばれているせいか、てっきり探偵役はベッキーさんだと思っていたのですが、このシリーズはちょっと一ひねりありまして、実は謎を解いてみせるのは英子の役目です。といっても、英子が自力で真相にたどり着くのではなく、ベッキーさんのさりげないヒントから推理を組み立てているという感じですね。おそらくベッキーさんは全て分かっているのでしょう。使用人が主人に差し出がましい口を聞くことは許されなかった時代なので、年下の英子に対しても一歩下がって影に徹しているわけなのですが、世間知らずのお嬢様の英子を正しい道へ導く役割も担っているようです。自分が何不自由ない暮らしをしている一方で、貧しい人々がいる現実を目の当たりにし、「(貧しい家に住むことは)とても出来ない」という英子に対し、「《あのような家に住む者に幸福はない》と思うのも、失礼ながら、ひとつの傲慢だと思います」と諭すベッキーさん。毅然としていて素敵な女性です。
 ベッキーさんの活躍と英子の成長が今後の見所となりそうですね。392

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 女性の方72
  • 時代小説が好きな方
  • 円紫さんと私シリーズ』が好きな方
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北村薫ベッキー

2 Comments

viviandpiano  

いいな~

早速、ベッキーさんシリーズ読まれたのですね☆
私もなるべく早く読みたいな・・・
しかも、翠香さんの評価も高いみたいなので、
ますます期待が高まってきました(^^)

北村先生の書く女性たち、
本当にしっかりした考えの素敵な人ばっかりですよね。
この間、ペットのTV番組に出てたんですけど、
北村先生も、マジで紳士で素敵でした☆

2009/08/01 (Sat) 00:23 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

これ、文庫化されてすぐ買ったのに、ずっと積読しててf(^^;)
2作目以降はまだ文庫になっていないようなので、続きを読むのはしばらく先になりそう・・・。
ベッキーさんの正体が2作目で分かるそうなので、気になるんですけどね~

ベッキーさん、カッコいいのですよ!
宝塚の男役のように凛々しくて、英子のよきボディガードであり、人生の師でもあります。

北村先生って、鴻上さんに雰囲気似てませんか?
温和なお顔をされているので、こちらまで和んでしまいますよね(^^)

2009/08/01 (Sat) 22:57 | EDIT | REPLY |   

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