【黒猫/モルグ街の殺人】 エドガー・アラン・ポー

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By翠香

◆◇◆世界最初の名探偵◆◇◆

C・オーギュスト・デュパンシリーズ1
短編集
光文社古典新訳文庫 2006.10

黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)
黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)小川 高義

おすすめ平均
stars「黒猫」の周りの短編
stars「生き埋め」というオブセッション
stars古臭いが面白い
stars優れた訳
stars無駄のない文体

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■あらすじ

推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。
(光文社古典新訳文庫より)

■感想
   エドガー・アラン・ポーの短編集。
   私が読んだ本は、光文社古典新訳文庫から出たもので、【黒猫】【モルグ街の殺人】の他、6編が収められています。
  以前、新潮文庫版の【シャーロック・ホームズの冒険】を読んで、読みにくさを痛感したのですが、
  本書に関しては、『新訳』と銘打っているだけあって、読みやすかったです。

   ポーは、80作ぐらいの短編を残しているそうですが、本書は、訳者の好みで【黒猫】を軸に8編の短編が選ばれたようです。
  自己との葛藤、何かを埋める(ていうか、人間ですね^^;)モチーフの作品が多く、推理小説とはいえない作品がほとんどなのですが、
   【モルグ街の殺人】は、世界最初の探偵、C・オーギュスト・デュパンが初登場する作品です。
  内容も、密室殺人を扱っており、推理小説の礎というべき作品です。

  【黒猫】
   語り手の「私」が、酒の魔力によって、次第に残虐性を帯びてゆく。
   いますよねー。お酒を飲むと人格が変わる人・・・。
   でも、何故ここまで猫に虐待するのかと胸が悪くなる思いでした。
  実は、この猫は、あるものの象徴的存在として描かれています。
  完全犯罪を実行した犯人は、自分の叡智を自慢したい欲望に駆られるのか、それとも罪の意識なのか・・・。

  【本能vs理性──黒い猫について】
   この作品は物語ではなく、エッセー風の小品となっています。
   ポーも猫を飼っていたのですね。猫好きのポーが何故【黒猫】のような作品が書けたのか不思議ですが・・・。

  【アモンティリャードの樽】
   ある男に侮辱され、復讐を決意し、その男を誘い出し、壁に埋めるお話。
   ひゃー356生きて壁に埋められるなんて、怖いですねぇ。399
  そいつ、いったいどんな侮辱をしたのやら・・・。確かに性格悪そうだったけど(^^;)

  【告げ口心臓】
   ある老人の「邪悪な眼」に怯え、殺害を決意し、床板の下に死体を埋めた男。
   この男と老人の関係がハッキリしないのですが、訳者の方は、親子と見ているようですね。
  オチは【黒猫】と似ていますね。

  【邪鬼】
   ちょっと前置きが長いのですが、『ひねくれ精神』について述べられています。
  そう、これが【黒猫】【告げ口心臓】に現れている自己破壊の衝動なのですね。
  ここでの語り手が「大丈夫、大丈夫、わざわざ白状する馬鹿じゃなし」と言ったとたん、「叫んでしまいたい欲求に駆られる」わけで。やれやれ(^^;)

  【ウィリアム・ウィルソン】
   語り手と同じ誕生日で同姓同名のウィリアム・ウィルソンは、事あるごとに対抗し、激しい苛立ちをおぼえるようになった。
   しかも背丈も同じで、顔かたちもよく似ていた──。
  寓話的なお話。きっとあなたにもウィリアム・ウィルソンがいますよ。

  【早すぎた埋葬】
   この物語の語り手は、仮死状態で埋葬された後に目覚めた時の恐怖について長々と語った後、実際に体験した恐怖を語ります。
   この当時、埋葬は、遺体を納めた棺を土に埋めていたのですね。
  確かに目覚めたら棺の中だったら怖いですよね。
  ここでのオチは他の作品には見られない意外なものでした。

  【モルグ街の殺人】
   C・オーギュスト・デュパン初登場作品。
  レスパネー夫人宅で夜中に悲鳴が聞こえたので、近隣の人々と警官が門扉を破って突入した。
  邸宅の4階は凄まじい状態だったが、人の気配はなかった。レスパネー嬢の遺体は煙突の中に押し込まれていた。夫人の遺体は、家の裏手で見つかった。
  推理小説の元祖とも言われる作品。元祖は密室モノだったのですね。だから密室ってミステリーの永遠のテーマなのかも。
  この作品の意外な犯人にはびっくりしました。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404404404

◆満足度

★★★

■特におすすめ!

  • 海外古典ミステリ初心者の方
  • 短編好きな方
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Comments 6

viviandpiano  

ミステリの祖

読まれたのですね~(^^)
今の完成され、エンターテインメントに溢れたミステリを読んでると、
なかなか堅苦しい感じがするのが難点ですけど、
この時代の物語は、普通の小説も堅苦しいですしね(^^;

この中では「黒猫」「早すぎた埋葬」「モルグ街の殺人」を読んだことがあります。
デュパンシリーズでは「マリー・ロジェの謎」が他に有名みたいですね。
「黄金虫」なんかは、バリバリの暗号ものだし、
ポーの作品群がミステリの起源だというのは間違いないでしょう。

「モルグ街」の犯人いついては、色んなミステリで触れられてて、
知ってるとニヤッとできます(笑)

2009/11/03 (Tue) 01:14 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

確かに堅苦しい感じはありましたね。
でも、書かれた当時は娯楽も少なかったでしょうから、
これでも充分に娯楽小説だったのかな~と思っています。

やっぱり基本を押さえておかないと、オマージュもパスティーシュも分かりませんからねぇ(^^;)
折りを見て少しずつ海外古典も読んでいきたいです。

viviandpianoさん、ポーも読んでいるのですね。さすが~。
暗号モノもあるのですか~楽しみ♪

2009/11/03 (Tue) 18:04 | EDIT | REPLY |   

nemurineko  

翠香さん今晩は

私は新潮社さんのほうの全集を読みましたよ、とにかくミステリーだけではなく
モダンホラーも書かれていてポーの才能の豊かさにはビックリさせられました~
特にモルグ街の殺人が発表されなかったらミステリーというジャンル事態
発生するのがかなり遅れていたかもしれませんね、それによりミステリー作家の
様相もかなり違ってきてたかも・・・この間みたタイムトラベル物の映画の
影響かな・・・(^^;
でもポーはそれほどの影響力を持った作家さんですね、古典ミステリーは
今のような便利グッズがないし警察側は科学捜査なんて無かった時代なので
発想の勝負というところが大好きなんです。

2012/03/31 (Sat) 22:46 | EDIT | REPLY |   

翠香  

nemurinekoさんへ

新潮社の翻訳って読み辛くないですか?
私は『シャーロックホームズの冒険』を新潮版で読んだのですが、
訳が古かったので、ものすごく読み辛くて(^^;)
でも最近は創元推理を中心に、新訳がどんどん出てきているので、
手を出しやすくなってきましたね。

今、私たちがたくさんのミステリが読めるのは、
突き詰めればポーのお蔭かもしれないですね。
でも私はホラーがちょっと苦手なので、
その流れはあまり受け継いでほしくなかったかな(笑)

2012/04/01 (Sun) 23:41 | EDIT | REPLY |   

nemurineko  

翠香さん今晩は

シャーロック・ホームズシリーズに関しては新潮社さんの翻訳は読みにくかったです(^^;
翻訳家の方が自分の解釈で行うか忠実に行うかにもよると思うけど
古典に関してはミステリーもSFも創元社さんが一番安定してますよね
私は極力創元社さんのほうで買いますよ、どうしても新潮社さんでしかな
い作品は新潮社さんで購入しますけど(^^;
私はホラーも大好きなのでポーさんの短編集は全部楽しめました(^^)

2012/04/05 (Thu) 23:25 | EDIT | REPLY |   

翠香  

nemurinekoさんへ

nemurinekoさんは海外古典をかなり読み込んでいるみたいですね。
実は私、海外ミステリが苦手で(登場人物の名前が覚えられなくて^^;)
以前は読むのを避けていたのです。
でも、オマージュ作品など元を知らないと楽しめないものもあるので、
少しずつ読むようになりました。
創元推理は、新訳が出て読みやすくなりましたが、
文字が小さくて、行間が狭いので、1ページに文字がぎっしりで
読み応えありますね(^^;)

2012/04/07 (Sat) 00:24 | EDIT | REPLY |   

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