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【配達あかずきん-成風堂書店事件メモ】 大崎梢

Category成風堂シリーズ
 8  0

◆◇◆本格書店ミステリ◆◇◆

成風堂シリーズ1
短編集
東京創元社 2006.5
創元推理文庫 2009.3

配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
配達あかずきん―成風堂書店事件メモ (創元推理文庫)
おすすめ平均
starsつかみが良いですね
stars泣きたいほどさわやかな読後感
starsほどほどの本好き
starsさらっとしすぎて物足りない感じ
stars登場人物への感情移入がしづらい

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■あらすじ

「いいよんさんわん」──近所に住む老人から託されたという謎の探求書リスト。コミック『あさきゆめみし』を購入後失踪した母を捜しに来た女性。配達したばかりの雑誌に挟まれていた盗撮写真・・・・・・。駅ビルの六階にある書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の鋭いアルバイト・多絵が、さまざまな謎に取り組んでいく。本邦初の本格書店ミステリ、シリーズ第一弾!
(創元推理文庫より)

■感想
 大崎梢さんのデビュー作です。大崎さんは、ご自身が13年間書店員として働いていた経験を元にこの短編集を書き上げたようです。
 なるほど私たちが客として外側から見ているだけでは分からない、細やかな書店業務が描写されています。本が好きなので、漠然と書店員に憧れていたこともあったのですが、なかなか大変そうですね(^^;)

 分野としては、『日常の謎』ものとなります。しっかり者の書店員・木下杏子と、勘の鋭い大学3年生のアルバイト・多絵が主人公。でも謎解きは専ら多絵の担当です。
 この成風堂シリーズは、本作の他、【晩夏に捧ぐ】【サイン会はいかが?】の3作が上梓されています。本屋さんネタでよくここまで引っ張れるなぁと感心していたら、【平台がおまちかね】という別のシリーズもあるのだとか。いやはや。

 「本は図書館より書店で」という方には「なるほど~」と思うポイントが多いと思いますよ(^^)

 【パンダは囁く】
 杏子のもとに、ある中年男性が相談にやってきた。近所の一人暮らしの老人から本をリクエストされたのだが、それが何の本なのか分からず困っているという。
 その男のメモには『あのじゅうさにーち いいよんさんわん ああさぶろうに』とまるで呪文のような文字が並んでいた。これらはいったい何を意味するのか?

 書籍ならではの暗号もの。手近な本で確認して、なるほどと思いました。でもお話は本の特定だけでは終わらず、意外な展開に。最後のオチも洒落てます(^^)

 【標野にて 君が袖振る】
 成風堂の常連客の婦人が行方不明に!手掛かりは失踪前、彼女が購入した書籍のレシート。年配の女性にはそぐわない『あさきゆめみし』を購入していたらしい。
 その女性の息子は若くして事故で亡くなっていたのだが、まさに光源氏を地で行くようなプレイボーイだったというが・・・。

 これは現代から王朝文学の世界に誘われてしまいますね~。かつて国文学を専攻していた私にはどストライクでした(笑)

 【配達あかずきん】
 博美が配達を受け持った美容院でトラブルが起こっていた。常連客が楽しみにしていた雑誌を開くと、自分の盗撮写真と、サインペンで殴り書きの文字が。
 そして翌週、配達に出かけた博美は駅の階段で何者かに突き落とされる。

 タイトルに似合わず、目に見えない悪意を感じる作品です。ちょっとした行き違いからあわや悲劇の展開にハラハラしました。でも「バーバー・ハーレム」ちょっと見てみたい。344

 【六冊目のメッセージ】
 先日まで病院に入院していたという女性が訪れた。入院中、母親が本を差し入れていたのだが、その際、成風堂の男性店員に本を見立ててもらったのだという。
 5冊のラインナップを聞いた杏子は頭を抱える。ウチにそんな気の利いた書店員はいない。しかし、彼女の母親はまちがいなく成風堂で本を買ったのだという。

 これは心温まるお話でしたね。なんとなく北村薫さんの【空飛ぶ馬】を思い起こしました。素敵なシンクロが起こったみたいですね(^^)

 【ディスプレイ・リプレイ】
 出版社主催のディスプレイコンテストに成風堂も参加することになった。アニメにもなった人気漫画の販促フェアで、アルバイトの夕紀が大学の友人2人に手伝いを頼み、飾り付けを担当した。
 しかし、ディスプレイを完成させた翌朝、黒いスプレーで目茶苦茶にされてしまった。折りしもこの漫画には盗作疑惑が湧き上がっていた・・・。

 盗作の真偽も確かめず、闇雲に中傷に便乗してしまう、昨今の社会問題を盛り込んだ重いテーマですが、最後に爽やかに纏められているので、気持ちよく読み終えることが出来ました。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 女性の方72
  • 本屋さんが好きな方
  • 書店員の経験がある方
  • 日常の謎ものが好きな方
  • 古典文学が好きな方
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大崎梢成風堂

8 Comments

viviandpiano  

面白そうですね♪

本屋さんって、私の憧れの場所なので、
そこが舞台になってるのは嬉しいかも☆

日常の謎系も、最近結構ハマっていて、
肩に力が入らなくて済む分、
忙しい時期の読書には向いてるかな~と思ったりしています。

2009/11/14 (Sat) 01:18 | EDIT | REPLY |   

きっし~  

No title

私も読みました。米澤穂信さんの「日常の謎ミステリ」の本屋さんバージョンって感じで楽しめましたね~^^

2009/11/14 (Sat) 15:41 | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

本屋さん好きには楽しい一冊だと思います(^^)
作家名とか作品名が実名でバシバシ出てくるんですよ~。
viviandpianoさんが好きなあの作家さんの名前も・・・!

やっぱり忙しい時は軽めの本がいいですよね☆
私もここのところ軽めの本が続いているので、
そろそろトリックバリバリの本格物を読みたいと思っているのですが(笑)
今読み始めた本も軽めですが、
第1章はピアノが題材になっているので、viviandpianoさんも気に入るかも。
読み終わったらご紹介しますので、楽しみに待っていてくださいね~♪

2009/11/15 (Sun) 00:17 | EDIT | REPLY |   

翠香  

きっし~さんへ

本屋さん好きなら楽しめる要素がたくさんありますよね。
米澤穂信さんといえば、近々長編を読む予定です☆

2009/11/15 (Sun) 00:20 | EDIT | REPLY |   

のぽねこ  

オススメ度高いですよね☆

ブログの方にコメントくださり、ありがとうございました。
「日常の謎」もののミステリはいろいろあって、どれも斬新な方向性を持っていますが、このシリーズは本屋が舞台ということで、本好きのツボをついてきますね(笑)
なかには重たい話もありますが、基本的にはあたたかい気持ちになれる物語で、安心しながら読めました。
「パンダは囁く」では、確認してしまいますよね(笑) 目の付け所が良いですよね。
コメントのタイトルにもさせていただきましたが、面白いミステリを読みたいという方に、安心して紹介できる作品だと思います。

別の記事へのご感想になってしまい恐縮ですが、今後(来年)は、あらためてブログ企画もされるということで、そちらも楽しみにしていますね。

2009/11/15 (Sun) 14:51 | EDIT | REPLY |   

翠香  

のぽねこさんへ

いえいえ、こちらこそ、のぽねこさんのブログ、毎日見ているのですが、なかなかコメントできず申し訳ないです。
この作品、本好き、特に本屋さん好きにはツボですよね~♪
短編同士の繋がりがあまりないので、その点では、加納朋子さん、北森鴻さんの方が上手いなとは思いますが、
女の子目線で書かれているので、共感できるポイントが多いですよね(^^)
「パンダ」確認してしまいました(笑) パンダ以外でも皆同じなんですね。新たな発見でした。

ブログ企画、先送りになっていますが、来年には実現しようと思います。
開始するときに告知しますので、のぽねこさんの意見もぜひ聞かせてくださいね!

2009/11/15 (Sun) 17:53 | EDIT | REPLY |   

牛くんの母  

はじめまして。
これ、面白かったですね。
これが気に入ったのなら、「平台がおまちかね」もおすすめですよ!

2009/11/22 (Sun) 22:17 | EDIT | REPLY |   

翠香  

牛くんの母さんへ

はじめまして!コメントありがとうございます(^^)
「平台~」は別シリーズの作品ですよね。
本屋さんは大好きなので、本屋さんネタのこの作品も気になっています。

2009/11/22 (Sun) 23:29 | EDIT | REPLY |   

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