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【千年の黙(しじま)-異本源氏物語】 森谷明子

Category森谷明子
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◆◇◆源氏物語の幻の巻は何故消えたのか?◆◇◆

王朝推理絵巻シリーズ1
中編集
東京創元社 2003.10
  創元推理文庫 2009.6
20第13回鮎川哲也賞受賞作

千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)
千年の黙 異本源氏物語 (創元推理文庫)
おすすめ平均
stars源氏物語と猫
stars創元推理文庫らしい快作

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■あらすじ

帝ご寵愛の猫はどこへ消えた?出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車に繋いでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが──。気鋭が紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた絢爛たる王朝推理絵巻。鮎川哲也賞受賞作。
(創元推理文庫より)

■感想
お正月を迎えると、日本的なものに触れる機会が増えるので、バタ臭いものよりは・・・と思い、本作を選んでみました。

本作は、森谷明子さんのデビュー作で、第13回鮎川哲也賞受賞作です。
王朝推理絵巻』と銘打たれていて、なんと紫式部が探偵役!?
学生時代に文学部に籍を置き、推理小説好きの私には、まさにうってつけ(笑)

時は平安時代、藤原道長が摂関政治を行い、隆盛を極めていた時代です。ちょうど同じ頃、紫式部がかの『源氏物語』を執筆して、都中の大ブームとなりました。
本作は、源氏物語に秘められた謎を軸に、ちょっとしたエピソードを加味した作品となっています。内容は三部構成になっていますが、メインは第二部の【かかやく日の宮】ですね。

本文は、もちろん現代語で書かれていますが、その当時の役職名や調度品など耳慣れない言葉が多く出てきますので、多少の読みにくさはあると思います。
和歌や文などは、雰囲気を出すためか、その当時の言葉で書かれていますが、本文に訳がつけられていますので、ご心配なく(^^)

先に紫式部が探偵役と述べましたが、その当時の女性はほとんど出歩かないので、床に這いつくばって・・・なんてことはありません。
かといって、安楽椅子探偵に徹しているわけでもなくて、お付の女房(お仕えしている女性のことです)の説明では埒があかなくて、自分でその場所に出向いたりしています。
ミステリーとしては、日常の謎モノになりますね。とりわけ驚くようなトリックはありませんが、平安時代の人々の暮らしぶりが垣間見れたり、恋のかけひきがあったりと、楽しめる作品だと思います。

 

【上にさぶらふ御猫】
帝ご寵愛の猫が消えた!清少納言が、確かに牛車に繋いでおいたはずなのに、いつのまにかいなくなってしまったのだ。左大臣・藤原道長が指令を出し、都中の大捜索が始まる──。
いやはや、たかが猫一匹283の大捜索。この猫、命婦という役職までついた、大変なお猫様でございます(^^;)
香子(紫式部のこと)付きの女童、おてんば娘のあてきが、左大臣付きの童・岩丸に思いを寄せる様子がほほえましい410。昔読んだ『なんて素敵にジャパネスク』を思い出しましたよ(^^) 
香子は、車の中に白い菊の花が散っていたという話から消えた猫の謎を解きます。

【かかやく日の宮】
第1部から6年後。阿手木(成人したあてき)は、友人の小侍従のお仕えする堀川院に物怪(もののけ)39が出没するという話を聞く。香子は、堀川院に出向き、物怪の正体を突き止める。
小侍従は、源氏物語の作者である香子にかねてよりの疑問を問いただすが──。
源氏物語には、欠落した巻があるという学説があり、ここでは『かかやく日の宮』の帖の存在を前提にして、なぜ喪失したのかを推理する形になっています。先の物怪騒動がヒントになっているのも上手いですね。
このお話はフィクションですが、現実にこういうこともありうるかも。なかなか興味深いお話でした。

【雲隠】
源氏物語の『雲隠』の巻は、光源氏の死を意図していて、題名だけで本文がありません。
しかし、このお話では、香子は一度本文を書きながら、自ら無きものにしてしまいます。
『かかやく日の宮』を闇に葬り去ったものへの復讐・・・痛快でしたね。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

  • 女性の方72
  • 源氏物語が好きな方
  • 『なんて素敵にジャパネスク』や『あさきゆめみし』の愛読者の方
  • 文学部(王朝文学専攻)の学生の方
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森谷明子王朝推理絵巻

2 Comments

viviandpiano  

面白そう!

源氏物語は興味あるのでぜひ読みたいです☆
と言いながら、源氏物語、全部読んでないのです(^^;
不真面目文学部生でしたから(笑)

変わりだね探偵って好きです☆
萩原朔太郎と乱歩の出てくる歌野晶午「死体を買う男」とか、
夏目漱石&ホームズが出てくる島田荘司「漱石と倫敦ミイラ殺人事件」とかも、
もはや文体だけでキャーキャー言って楽しみました(笑)

2010/01/16 (Sat) 03:24 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

私も源氏物語は、読んでいない巻の方が多いですよ(^^;)
話のおおまかな筋は、『あさきゆめみし』を読んで知っているという・・・(汗)
欠落した巻があるという説も初耳でして・・・はーもっと勉強しておけばよかった(苦笑)
あ、本作は源氏物語に精通していなくても充分楽しめますので、大丈夫です(^^)

『死体を買う男』って、萩原朔太郎&乱歩なんですね。面白そう。
この手の変わり種って、いろいろ出ていますよね。
基を知らないと楽しめないかなと思って、なかなか手が出せないのですが・・・。
ミステリー一つ読むのも教養が必要だなぁ(しみじみ)

2010/01/16 (Sat) 18:35 | EDIT | REPLY |   

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