【黄色い部屋の謎】 ガストン・ルルー

◆◇◆ベテランvs新鋭の推理対決◆◇◆

ジョゼフ・ルールタビーユシリーズ1
長編
創元推理文庫 1959
  中央公論社 1962
  創元推理文庫 1965
  旺文社文庫 1979.10
  集英社文庫 1998.10
  創元推理文庫 2000
  嶋中文庫 2005.2
  創元推理文庫【新版】 2008.1

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫)
黄色い部屋の謎 (創元推理文庫)Gaston Leroux

おすすめ平均
starsまさかこれを読んでいない人はいないよね……?
stars密室物の古典中の古典
starsフランスの推理小説
stars世界で最も有名な《密室》

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■あらすじ

フランス有数の頭脳、スタンガースン博士が住むグランディエ城の離れにある一室で、世にも恐ろしい惨劇は起きた。内部から完全に密閉された“黄色い部屋”から響く女性の悲鳴。ドアをこわして救援に駆けつけた者たちが目にしたのは、荒らされた室内と、血の海の中に倒れた博士の娘マチルドの姿だけ・・・・・・令嬢を襲った憎むべき犯人はどこへ消えたのか?この驚くべき密室の謎と、その後も続発する怪事件に叡智を持って挑むのは、弱冠18歳の新聞記者ルールタビーユ。密室ミステリの金字塔にして、世界ベストテンの上位に名を連ねる、名作中の名作。
(創元推理文庫より)

■感想
 【色付くミステリーseason2】、アンカーは、【黄色い部屋の謎】です。
 『密室ミステリの金字塔』『名作中の名作』と言われたら、やはり特集としては外せないでしょう。
 但し、黄色という色に関しては、あまり意味はありません。

  本作では、3つの消失トリックが描かれています。

  1つ目は、鍵を掛け、閂も下ろした完全密室で、被害者に重傷を負わせた犯人が消失してしまった、《黄色い部屋の謎》。
  2つ目は、T字の廊下の三方から犯人を追い詰めたのに、犯人が忽然と消えてしまった、《不可思議な廊下》。
 3つ目は、犯人を銃で撃ったはずなのに、死体は短刀で心臓を一突きされていた、《怪死体》。
 (3番目は、始めは死因が異なることが謎だったのですが、のちに死体は犯人のものではないと分かり、犯人の消失が謎となります。)

  1つ目の密室の謎は、ドアも窓も施錠された(窓には鉄格子まで嵌っている!)完全密室で、
  かつ《黄色い部屋》を出入りする怪しい人影はまったく目撃されていないという、『不可能犯罪』。
  ここまでガチガチの密室だと、どこかに抜け道があるのでは?と思ってしまいますが、
  この密室の謎を解くには、発想の転換が必要になってきます
  ただ、伏線に関してはフェアじゃないので、解くのはかなり難しいかも。
  解決の段になって、実はこんなのがありました~って言われても、そんなのあり?って感じです(^^;)
  現代の警察ならまず見逃すことはないでしょうね(苦笑)

  2つ目、3つ目の謎は、ついさっきまでそこにいた犯人が魔法のようにパッと消えてしまうので、
 現代ならこんな荒唐無稽な話は受け入れられないでしょうね。
 でも本作が書かれたのは、ドイルやルブランが活躍した時代とほぼ同時期で、
 それぞれが互いに作品に影響を受け合っていたようです。
 まあ、あまり堅苦しいことは言わずに、ルパンやホームズのエスプリを感じていただけたらと思います(^^)

  この作品のもうひとつの魅力は、二人の名探偵の推理対決があるところです。
  パリ警視庁の名探偵・フレデリック・ラルサンに、弱冠18歳の新聞記者・ジョゼフ・ルールタビーユが挑みます。
 経験に基づく証拠主体のラルサンか、論理主体のルールタビーユか──。
 このあたりも見所ですね(^^)

  なお、本作の続編として、【黒衣婦人の香り】があります。
  本作の中でもルールタビーユが「黒衣婦人の香り」と言う言葉を何度か口にしているのですが、具体的な説明はなされていません。
  本作の真相が全て明らかにされているらしく、本来なら上下巻のワンセットにして出すべきものでしょう。
  読む順番を間違えないようにご注意ください(^^;)

  また、作中でポウの【モルグ街の殺人】とドイルの【まだらの紐】について、ネタバレしているので、
 先に上記作品を読まれることをおすすめします。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267267267

◆冷や汗度

404404404

◆満足度

★★★★

■特におすすめ!

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Category: 海外ミステリ
Published on: Tue,  02 2010 23:46
  • Comment: 2
  • Trackback: 0

ガストン・ルルー ルールタビーユ

2 Comments

viviandpiano  

これは

うっすらと読んだ記憶もあるのですが、
正直まったく覚えていません(^^;
もしかしたら、ネタバレクイズ本でトリックだけばらされたのだろうか・・・

古典ミステリって、今の尺度で考えちゃいけない所もあるし、
あの時代にこのトリックを考え付くことのすごさみたいなものを、
感じますよね♪

2010/03/03 (Wed) 01:52 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

有名な作品なので、色々な所でトリックが取り上げられているのかもしれませんね。
ここでのトリックは、ちょっと無理あるな~と思うのですが、
書かれたのは、一世紀も前ですからねぇ。
当時、これだけたくさんのトリックを盛り込んで物語を構築するのは、なかなか大変な作業だったと思います。
こういった諸先輩たちの作品をお手本にして、現在活躍している推理作家さん達がいるわけですから、
感謝しなければいけませんね(^^)

2010/03/03 (Wed) 23:37 | EDIT | REPLY |   

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