【三月は深き紅の淵を】 恩田陸

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By翠香

◆◇◆幻の物語への憧憬◆◇◆

恩田陸(シリーズ外)
連作短編集
講談社ノベルス 1997.7
  講談社文庫 2001.7

三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
三月は深き紅の淵を (講談社文庫)
おすすめ平均
stars恩田陸の原点にして傑作。何度も読み返したい
stars恩田陸ファン向け
stars「物語」への飽くなき憧憬
stars作者の長い自己紹介のような
stars恩田陸初心者からマニアまで楽しめる作品

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■あらすじ

島巧一は趣味が読書という理由で、会社の会長の別宅に二泊三日の招待を受けた。彼を待ち受けていた好事家たちから聞かされたのは、その屋敷内にあるはずだが、十年以上探しても見つからない稀覯本『三月は深き紅の淵を』の話。たった一人にたった一晩だけ貸すことが許された本をめぐる珠玉のミステリー。
(講談社文庫より)

■感想
 この作品は初め、色特集で取り上げるつもりだったのですが、赤系色が多くなってしまったので、
 タイトルにある3月になったら読もうと思っていた作品です。
 本作は、4章からなる作品で、オムニバス形式になっています。
 そして、作品全体のテーマが幻の本『三月は深き紅の淵を』

 この『三月は深き紅の淵を』について、作中では以下のように説明されています。

  • 私家版で200部しか作られなかった
  • 作者は不明
  • その後、作者の代理人が回収し、出回っているのは70部ほど

 そして、本を配られた時の条件が以下の通り。

  • 作者を明かさないこと
  • コピーをとらないこと
  • 貸すのはたった一人に一晩だけ

 気になる本の内容ですが、四部構成で、概要は以下の通り。
   第1部『黒と茶の幻想』-風の話-
   四人の壮年の男女が、伝説の桜の樹を探しに行く話。
   第2部『冬の湖』-夜の話-
   失踪した恋人を、主人公の女性が恋人の親友と探す話。
   第3部『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』-血の話-
   海辺の避暑地に家族とやってきた少女が、生き別れになった腹違いの兄を探す話。
   第4部『鳩笛』-時の話-
   唯一の一人称。ある物語作家が小説を推敲している話。

 さて、ここで本作【三月は深き紅の淵を】の各章の概要をご紹介します。
   第一章 待っている人々
   会社員・鮫島巧一は、3月の連休に会長宅に招待された。
   そこには会長以下4人の老男女が待ち受けていた。
   屋敷のどこかに『三月』の本があるのだが、その行方を探してほしいのだという。
   第二章 出雲夜想曲
   編集者の隆子は、『三月』の作者を突き止め、友人の編集者・朱音とともに
   寝台列車で出雲までやってきた。
   しかし、目当ての人物は行方不明になっていて・・・。
   第三章 虹と雲と鳥と
   城址公園の崖下に2人の少女が折り重なるように死んでいた。
   実は、2人の少女は異母兄弟だった。そして彼女たちの父親は・・・。
   第四章 回転木馬
   ある物語作家が【三月は深き紅の淵を】を推敲している。
   途中出雲を旅する女性の話とファンタジックホラーな学園物語が細切れに挿入されている。

 お気付きでしょうか?本作と作中作はともに四部構成になっていますが、
 それぞれの内容も呼応しているのです。
 かなり作りこんだ作品ですね。
 第一章、第二章はなかなかいいかんじです。
 一言でいうと第一章は「ニヤリ」、第二章は「ドキリ」ですかね(笑)
 ところが、第三章以降になると訳が分からなくなってきます。
 第三章は『三月』の本は全く出てこないのです。
 最後まで読めば『三月』に繋がっていくことが分かるのですが・・・。
 第四章は意味不明(^^;)恩田作品は場面の切り替わりがよくあるそうなのですが、
 それらが最終的に結びつくことなく終わってしまっているのです。

  この作品、かなり評価が分かれているようですね。
 『三月』の実体が分からないから、作品への憧憬も増すと思うので、
 これでいいのかもしれないですが、
 私はどうも消化不良の感は否めませんでした。

■評価(5個が最高)

 

◆トリック度

267

◆冷や汗度

404404

◆満足度

★★

■特におすすめ!

  • 恩田陸ファンの方
  • 本が好きな方
  • ファンタジーが好きな方
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Comments 2

viviandpiano  

すごく

凝った作りのようですね。
メタな雰囲気が漂ってます(^^;
こういう実験的な作品って、評価分かれますよね。

私自身は、論理が通ってる作風が好きなんですけど、
新本格以降はわざと破綻している作品もあったりして、
本当にミステリはバラエティに富んでるな~と感心します。

2010/03/24 (Wed) 00:41 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

そうなんです。すごく凝っているのですよ。
しかもこの作品1作で閉じた世界ではなくて、
他の作品にも『三月』が出てくるみたいです。
『黒と茶の幻想』という作品もありますし。

私も論理的なものを好むので、どうにも説明がつかないと
消化不良ぎみになっちゃうのですが、
UFOもネッシーも存在がはっきりしないから、人々の興味をかきたてるので、
これはこれでありなのかなと思います。

一言でミステリーといっても本当に幅広いですよね!
私は古式ゆかしき名探偵が謎解きを披露するものが好きです♪
「名探偵 皆を集めて さてと言い」ですね(笑)

2010/03/24 (Wed) 23:59 | EDIT | REPLY |   

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