【ウェディング・ドレス】 黒田研二

◆◇◆母が遺したメッセージとは?◆◇◆

黒田研二(シリーズ外)
長編
講談社ノベルス 2000.6
  講談社文庫 2008.2
20第16回メフィスト賞受賞作

ウェディング・ドレス (講談社文庫)
ウェディング・ドレス (講談社文庫)黒田 研二

おすすめ平均
starsどう単純にするか
starsうまいんだけど。。
stars全ての真実が明かされる終盤は読み応えがあった
starsよく書き込まれたミステリー
stars面白かった

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■あらすじ

婚式当日、何者かに襲われた祥子。婚約者のユウ君と手分けをしながら、祥子は真犯人を目指した。鍵となったのは、あるビデオに関わる猟奇殺人と、母が遺したウェディング・ドレス。そしてユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成する。全編に謎と伏線が鏤められた第16回メフィスト賞受賞作。
(講談社文庫より)

■感想
 黒田研二氏のデビュー作で、第16回メフィスト賞受賞作です。
 ずっと読みたいと思っていた作品で、時節柄ピッタリなタイトルだったので選んでみたのですが、プロローグでエログロな黒魔術の儀式のシーンがあり、びっくり
 内容はその手の話ではないのですが、実は後々このシーンが重要な意味を持ってきます

 この作品は、奇数章は祥子(さちこ)という女性の視点で、偶数章はユウ君という男性の視点で物語は進行していきます。
 始めは単に視点が切り替わっているだけに見えていたのが、徐々に両者にズレが生じてくるのが分かります。
 祥子の章では、結婚式当日、ユウ君が交通事故に遭って死んでしまうのに、ユウ君の章では、ユウ君は事故になど遭っておらず、教会へやってきたところ、祥子が行方をくらましてしまうのです。
 まるでパラレルワールドに陥ってしまったかのような錯誤感。作中でも祥子がパラレルワールドについて語る意味深なシーンも。

 しかし、この作品はSF小説ではなく、ミステリなので、もちろんトリックが存在します。
 ミステリも多少読み慣れてくると、なんとなくトリックは分かるのですが、それでもなお消えない違和感。
 というのも、この作品、大小様々なトリックが複雑に張りめぐらされているのです。読めば読むほど訳が分からなくなり、頭がグルグル(@_@)
 それが、終盤に差し掛かったところから、今までバラバラだったピースが見事にはまっていくように、謎が次々に明らかになっていく様は圧巻でした。
 伏線はフェアというか、割と分かりやすいかな。それなのに見落としてしまったのもチラホラありorz

 密室トリックもあるのですが、こちらはちょっとお粗末。絶対犯人バレますよね(もはや密室ではないですね^^;)
 祥子の母の手作りのウェディングドレスが無残に引き裂かれ・・・という、目を覆いたくなるような酷いシーンがある一方、ファンタジーっぽい要素もあり。

 黒田作品は、【カンニング少女】しか読んでいなかったのですが、なるほど全く異なる作風なのですね。本作のような叙述的でトリッキーな作風が黒田氏のお得意のようです。
 デビュー作らしく、まだ荒削りで色々詰め込みすぎな感もありますが、さすがメフィスト賞受賞作だけのことはありますね。
 ちなみに黒田氏の第2作【ペルソナ探偵】では本作で活躍した少年が再登場しているそうです。こちらもそのうち読んでみたいですね(^^)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • トリッキーな作品が好きな方
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Category: 黒田研二
Published on: Mon,  21 2010 23:09
  • Comment: 6
  • Trackback: 0

黒田研二 メフィスト賞

6 Comments

viviandpiano  

面白そう☆

めちゃめちゃ凝った設定みたいですね。
こういう気合いの入ったプロットは、
やっぱりじっくりと時間をかけて読みたいかも♪

メフィスト賞って、
かなり思い切った作品が多いですよね。
そういう意味では、ありふれた賞じゃなくて、
存在価値も高いと思います。
(だからこそ、合わないのもあるかもしれないけど)

2010/06/22 (Tue) 01:24 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

そうなんです。読むのに時間掛かりました。
大枠のトリックはすぐに分かったのですが、それでも辻褄が合わなくて、
読むのを止めて考えたり、前に戻って読み返したり(^^;)
久々に頭をフル回転した読書でした(笑)

メフィスト賞受賞作はそれほど読んでいないので、よく分かりませんが、
何といっても第1回は『すべてがFになる』ですものね。
レベルの高い作品が多いのでしょうね。

2010/06/23 (Wed) 00:04 | EDIT | REPLY |   

あかね  

こんばんわ♪

翠香さんのこの間の「カンニング少女」のレビューを読んで、黒田作品気になっておりましたがi-1デビュー作・・・パラレルワールド???
なんだか、タイトルからは想像がつかない、すごい展開の話だったんだと、、、びっくりしてしまいましたi-189

でも・・・・おもしろそうi-178(西澤先生でエログロに対しては鍛えられたと思うので・・・笑)ぜひぜひ読んでみたいっi-185です♪

そして、今の時期に合わせてこの本を選ぶ~i-194というのが、さすがi-237翠香さんi-185そのセンス良さ・・・見習いたいなi-189

2010/06/23 (Wed) 20:49 | EDIT | REPLY |   

翠香  

あかねさんへ

エログロは最初の方だけで、それほどでもありません。
6月に読もうと思っていた作品なのだけど、
主人公の女性が酷い目に遭ってしまうので、
かえってまずかったかな?と思ってしまいました(^^;)
でもハッピーエンドだったので、まあいいか(笑)

黒田作品はトリッキーなものが多いようなので、色々読んでみたいです♪
記事中に触れた『ペルソナ探偵』や、ふたり探偵シリーズも面白そう☆

2010/06/24 (Thu) 00:15 | EDIT | REPLY |   

百物語ガール  

こんにちは

翠香さんにススめられた、『ウェディング・ドレス』。
読みました。

章毎に二人の視点が変わるのが妙に読みやすく、かつ面白くって結構一気読み状態でした。
翠香さんも書いてますけど、確かに伏線はわかりやすいんですけど。でも、頭こんがらがりますよねー(笑)

そういえば、お話のテイストもトリック(というか展開)も全然違うんですけど。
この本、途中まで読んでいて、泡坂妻夫の『湖底のまつり』と、クリストファー・プリーストの『魔法』がしきりに思い出されたんですけど、どうでしょう?
ま、最後まで読んじゃうと違っちゃうんですけどね。

私は、どうも講談社系のミステリって意外なくらい知らないみたいで。
前の『十角館』も含め、とっても楽しませてもらいました。
また色々参考にさせてもらいまーす。

2013/05/19 (Sun) 17:38 | EDIT | REPLY |   

翠香  

百物語ガールさんへ

読みましたか。一気読みとは凄いですね。
私は結構時間掛けて読んだ記憶が・・・頭がついていけなくて(^^;)
黒田作品は、ちょっと変わったものが多いですね。
『ペルソナ探偵』もなかなか面白かったです(^^)

泡坂妻夫作品、結局未読のままお亡くなりになったことが心残りで・・・。
トリッキーな作品が多いようなので、何か読んでみたいですね。

講談社系のミステリというと、いわゆる新本格派ですかね?
私も疎い方だったのですけど、少しずつ強化しているところです。
館ものは、やっぱりミステリの王道なので、わくわくしますね(笑)

2013/05/19 (Sun) 23:48 | EDIT | REPLY |   

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