毛髪再生

【我らの罪を許したまえ】 ロマン・サルドゥ

Category海外ミステリ
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◆◇◆信じる者は救われる!?◆◇◆

ロマン・サルドゥ(シリーズ外)
長編
河出書房新社 2010.5

4309908624我らの罪を許したまえ
ロマン・サルドゥ 山口 羊子
河出書房新社 2010-05-14

by G-Tools

■あらすじ

1284年の冬、南フランスの司教区で、司教が何者かに惨殺される。シュケ助任司祭は殺人事件の真相を調べるため、謎に包まれた司教の過去を求めてパリに旅立つ。時を同じくして新しく着任した司祭アンノ・ギは、布教活動を立て直すため、呪われた村に潜入し、村人に正しい信仰をとりもどさせようとする。いっぽうローマ教皇庁には、不祥事を起こした息子を救うため、高名な騎士が現れる。別々に進行するこの3本の軸は、はたして何処につながっていくのか?中世の深い闇と幻想。古い裁判記録が語る、消された歴史とは何か・・・・・・。やがて読者は、予想もつかない恐ろしい結末へと導かれる。
(河出書房新社より)

■感想
  今回は、発行元のエンジン・ルーム様より直々にご依頼がありまして、本を頂きました。
  四六判の美しい装丁の本ですね。
  表紙の絵は、大浴場のようでありながら、何となく不気味な雰囲気を醸し出していますが、
  この絵は、15世紀のオランダの画家・ヒエロニムス・ボスによる『トンダロの幻視』という作品です。
  『トンダロの幻視の書』という文学作品をモチーフに描かれたものだと言われており、
  終末論的世界を表現したものだそうです。
  まさに本作のテーマにふさわしい表紙絵だと思います。

 本作は、中世のフランスとイタリアを舞台にした歴史ミステリーで、キリスト教の信仰がテーマとなっています。 
 フランスで60万部を売り上げたベストセラーで、現在世界18か国で発売中だそうです。
 しかし、ヨーロッパの国々と日本では受け入れ方が違うのではないかと思います。
 日本では、クリスマスにパーティをし、お正月になると神社に初詣、お葬式ではお坊さんにお経を上げてもらう、というように、信仰に対して確固たるものがないですよね。
 しばしば外国人からは、奇異に思われているようですが(^^;)
 私自身、キリスト教の知識は乏しく、馴染みの薄いテーマではありました。

 しかしながら、宗教が政治的に利用されるというのは、どこの国でも同じなのだなと思いました。
 「信じるものは救われる」とは、もっともらしく信心させる方便なのですよね。
 私の古い友人が某新興宗教に入っていて、セミナーのお誘いを「興味ないから」と断ったところ、
 「死んだら魂が漂っちゃうんだよ」と言われました(苦笑)。ある意味、脅迫ですよね(^^;)
 こんな擦れた現代人ではなく、純真な中世の村人たちならきっと信じてしまうだろうなぁ。

 ヨハネの黙示録には、キリストの受肉の千年紀に世界が終末を迎えることを預言していた。
 しかし、その預言された年になってもとりわけ何も起こらなかった。
 焦った神学者たちは、千年紀は、キリストの誕生や受難の年から数えるのではなく、
 ローマ教会が創立された325年を起点とするのだと説いた。
 詭弁を弄し、問題を先送りする、まるで政治家ですね(苦笑)
 そしてこの説を正当化するためにインチキしていただなんて、呆れるばかりです。

 領主とそのふたりの子供の遺体が小教区の川に流れ着き、
 その翌年にはドラガン司教区のアカン司教が黒装束の男に惨殺された──。
 この二つの謎を解くのが本作の主眼となりますが、ミステリー色は薄めです。
 どちらかというと、歴史ロマン小説の色合いが強いです。

 私は、中世ヨーロッパの歴史の知識がほとんどなかったため、大変勉強になりました。
 世界史を勉強している学生さんにとっても、その当時の時代背景を知る意味で一読の価値があると思います。

■評価(5個が最高)

  ◆トリック度 267
◆冷や汗度 404404404404
◆満足度 ★★★

■特におすすめ!

  • 世界史(特に中世西洋史)を学ばれている方
  • 歴史ロマン小説が好きな方
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ミステリー

2 Comments

viviandpiano  

歴史ロマンは

好きですけど、
キリスト教には詳しくないというか、
さほど思い入れはないので、
多分、翠香さんと同じような読後感になるんだろうな~。

私も知人に宗教勧誘されたことがあります(笑)
脳天気な私には、何を言っても通用しませんでしたけど。
脅迫は嫌ですよね~・・・

2010/07/07 (Wed) 23:42 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

やっぱり外国人を見ていると、信仰に対する意識が日本人とは違いますよね。
スポーツ選手でも試合中に十字を切ったり、「神に感謝します」という発言をしていたり。

あ~、私は「漂っている魂を見たことあるの?」と切り返してしまいました(^^;)
さすがに予期せぬ攻撃だったらしく、返答に困ってましたけど(苦笑)
これで友人1人を失ってしまったので、本当に残念なことでした。

2010/07/08 (Thu) 23:43 | EDIT | REPLY |   

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