Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【歯と爪】 ビル・S・バリンジャー

 01, 2010

◆◇◆誰が誰を殺したか?◆◇◆

ビル・S・バリンジャー(シリーズ外)
長編
創元推理文庫 2010.6


歯と爪【新版】
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書評

■あらすじ

ニューヨーク地方刑事裁判所で、奇妙な裁判が進行していた。お抱え運転手が殺された事件を審理していたのだが、肝心の遺体は見つからず、殺害現場と見られる地下室に焼け焦げた義歯と脛骨、右中指の先のほか血痕など若干の痕跡を残すのみ。“罪体”のない殺人事件を巡って、検事側と弁護側の烈しいやりとりが展開される。《サスペンス小説の魔術師》が仕掛ける、愛と復讐の物語!?

(創元推理文庫より)

■感想
  本作は、結末が袋綴じになっており、未開封なら代金を返却するという、返金保証が付けられています。
  作品に対する並々ならぬ自信を感じ、その大胆な試みに魅了されました。
  原書は、1955年に発表されましたが、当初から返金保証が付けられていたそうです。
  半世紀も前にこんな画期的な試みがなされていたとは驚きです。

  本作では、一見無関係に見える二つの物語を交互に語るという、カットバック手法が取られています。
  奇数章では、ニューヨーク地方刑事裁判所にて、アイシャム・レディックなる人物が殺害された件での裁判の様子が描かれ、
  偶数章では、リュウ・マウンテンという奇術師が、タリーという女性と出会い、人生を共に歩んでいく経緯が描かれています。

  始め、二つの物語に接点はありません。但し、不可解な点がいくつかあります。
  裁判では、被告人の名前が伏せられています。この人物は、リュウなのか、それとも他の人物なのか?
  また、タリーにも謎が多く、着の身着のままニューヨークへ渡ってきた理由は何なのか?
  重い小さな革鞄にはいったい何が入っているのか?
  そしてタリーを脅迫するグリーンリーフという男は何者なのか?

  袋綴じは、章の切れ目ではなく、途中のページで綴じられています。
  何でこんな中途半端な所で綴じられているのか不可解でしたが、開封してみて、その理由が分かりました。
  いきなり二つの物語の接点が出現したのです。

  ここで、リュウが奇数章で語られている殺人事件に関与していることが分かるのですが、
  では、被害者はいったい誰なのかという新たな謎が浮かび上がってきます。
  何故なら、この事件は、僅かな痕跡から被害者がアイシャム・レディックであると認定されているだけで、
  罪体のない殺人事件だからです。

  自分で自分の死体を処分し、罪をなすりつけようとした?(ありえない)
  殺すつもりが返り討ちに遭ってしまった?(ありえるけど、話としては面白くない)
  被害者と加害者が入れ替わっている?(ありえるけど、やっぱり変)
  とまあ、色々な考えが頭の中を駆け巡ったのですが、真相は全く予想もつかないものでした。

  最後にあっと驚くどんでん返しが!・・・という訳ではないのですが、
  少しずつジワジワと効いてくる感じです。
  多少、ご都合主義な部分もありますが、機転が利いていて、技ありな一冊だと思います。

  今回は「本が好き!」経由で東京創元社さまより本を頂きました。ありがとうございます。

■評価(5個が最高)

  ◆トリック度 267267267267
◆冷や汗度 404404404
◆満足度 ★★★★

■特におすすめ!

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Tag:ミステリー バリンジャー 叙述トリック

COMMENT 8

Sun
2010.08.01
18:49

viviandpiano

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プロットが

折原先生とか貫井先生とかを思い起こさせます。
なかなか凝った作品なんですね!

ところで、
返金を要求した人っているんでしょうか?
作品をそこまで読んだら誰でも続きが気になりますよね(^^;

Edit | Reply | 
Sun
2010.08.01
22:17

mokko

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これ、読みましたぁ~

文庫で読んだんですが、やはり袋とじされてましたよ
物語に入り込むまでに時間がかかったんですけど
中盤辺りから、結末が知りたくてページを捲ってました。
最後の方は、ドキドキしましたよぉ~
本当にジワジワ効いてくるって感じでした♪

Edit | Reply | 
Mon
2010.08.02
23:55

翠香

URL

viviandpianoさんへ

そうですね、凝りに凝ったというよりも、演出の上手さでしょうか。
カットバック手法を使ったり、袋綴じの効果もあると思います。

実際に返金要求した人がいたかどうかは分からないのですが、
やっぱり続きは気になりますよね~。
また袋綴じにしているのが、心理的に「見たい!」と思わせますよねw

袋綴じに注意がいきがちですけど、裁判での検事と弁護士の応酬とか、
リュウという男の半生とか小説としても見所があると思います(^^)

Edit | Reply | 
Tue
2010.08.03
00:04

翠香

URL

mokkoさんへ

mokkoさん、お帰りなさい(^^)
旅行記、密かに楽しませてもらっています♪

そうですね、始めの方は裁判の応酬と奇術師の恋ですものね。
でも私は法廷物も結構好きなので、始めから楽しめました♪

ある程度予測はついていたものの、
被害者が誰なのか、ずっと分からなくて・・・。
これはやられました(笑)

Edit | Reply | 
Tue
2012.08.14
23:51

鉛球猫

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いいね

読みましたバリンジャー。
驚くほどの大トリックという程でもないのですが
あの時代によく考えられたと思います。
カットバック手法のストーリーもしっかりしておもしろい。
ぜひ「煙で描いた肖像画」もどうぞ。

Edit | Reply | 
Wed
2012.08.15
22:28

翠香

URL

鉛球猫さんへ

鉛球猫さん、はじめまして(ですよね?)
さすがに返金保証するだけのことはありますよね。
並々ならぬ自信を感じます。
「煙で描いた肖像画」、チェックしておきますね。

Edit | Reply | 
Fri
2013.05.03
16:38

百物語ガール

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煙で描いた肖像画

『歯と爪』は読んでみたいと思いつつ、まだ読んでいないんですよねー。
そういえば、この作家で『煙で描いた肖像画』は読んだことありまして。
主人公が女性の軌跡を追っていくと、その女性の意外な素顔が現れるっていう展開のお話で、
設定やテイスト、もちろんラストも違いますけど、流れとしては宮部みゆきの『火車』にちょっと近い展開のお話なんです。

私、実はこういう展開のお話がすごく好きでして。
もしご存知でしたら、教えていただけるととっても嬉しいです。

Edit | Reply | 
Sat
2013.05.04
12:09

翠香

URL

百物語ガールさんへ

この作品、かなり面白かったですよ~。法廷ミステリも結構好きなので。
『煙で描いた肖像画』は知らなかったのですが、面白そうですね。チェックしておきます。

宮部作品は実はあまり読んでいなくて、『火車』も未読なんです。
でも評判はなかなか良いみたいですね。ぜひ読んでみたいです。

おっしゃるような展開の話、私も好きですが、あまり思いつかない(^^;)
ちょっと違うかもしれませんが、黒田研二さんの『ウェディング・ドレス』なんかどうでしょう?

Edit | Reply | 

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