【回想のシャーロック・ホームズ】 アーサー・コナン・ドイル

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By翠香

◆◇◆ホームズの宿敵登場!◆◇◆

シャーロック・ホームズシリーズ4
短編集
創元推理文庫 2010.7

回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】 (創元推理文庫)
回想のシャーロック・ホームズ【新訳版】 (創元推理文庫)

■あらすじ

レースの本命馬が失踪し、調教師の死体が発見された。犯人は厩舎情報をさぐりにきた男なのか? 錯綜した情報から事実のみを取り出し、推理を重ねる名探偵ホームズの手法が光る「<シルヴァー・ブレーズ>号の失踪」。探偵業のきっかけとなった怪事件「<グロリア・スコット>号の悲劇」、宿敵モリアーティー教授登場の「最後の事件」など、11の逸品を収録するシリーズ第2短編集。
(創元推理文庫より)

■感想
 このところ創元推理文庫から続々と刊行されている海外古典ミステリの新訳。
 今回は、シャーロック・ホームズシリーズの第2短編集【回想のシャーロック・ホームズです。
 本作は、シリーズとしては4作目にあたり、11編の短編が収められています。
 第1短編集の【シャーロック・ホームズの冒険】では、依頼人がシャーロック・ホームズの元へ訪れて、捜査に乗り出すという形式をとっていましたが、
 今回は、ホームズが過去に解決した事件を語ったり、ワトソンがホームズの事件簿を回想したりする形式をとるものが増えてきました。
 また、ホームズの家族構成や、友人関係も明らかになってきました。
 作品の中には、過去の作品の焼き直しのようなものも見受けられ、ホームズのプライベートな部分を描写することによって、マンネリ感をなくしたかったのかもしれませんね。
 では以下に各短編について、あらすじと簡単な感想を述べたいと思います。

 【<シルヴァー・ブレーズ>号の失踪】
  レースの本命馬が失踪し、調教師の死体が発見された。犯人は事件当夜に厩舎情報を探りにきた男なのか?
  伏線もきちんと張ってあり、犯人も意外性があり、良く出来た作品だと思います。
  ドイル自身もホームズものとしては最上位に位置すると自負する作品なのですが、
  競馬のルールでミスを犯していて、当時の書評で叩かれたらしいです(^^;)
  まあ、ホームズの茶目っ気が過ぎたということで(笑)

 【黄色い顔】
  マンローは、妻から100ポンド用立てて欲しいと頼まれる。しかし使い道は明かそうとしない。その後、妻はマンローに隠れて夜中に家を抜け出したりという不審な行動が目立つようになる。
  これは珍しくホームズの失敗談が描かれています。
  それまで推理マシンのようなホームズでしたが、このあたりから人間味が出てきましたね。
 お話もなーんだという結論でしたが、心温まるラストでした(^^)

 【株式仲買店員】
  好条件に釣られて採用の決まっていた会社への転職をキャンセルし、別の怪しげな会社に入ることになった男がバーミンガムに連れ出され、手間仕事を押し付けられる。
  これは『冒険』に収録されている【赤毛組合】と同じような話ですね。
  初出は雑誌連載なので、ひょっとして締め切りが迫っていて、いい案が浮かばなかったとか?
  【赤毛組合】の方がインパクトがあって面白かったですね(^^;)

 【<グロリア・スコット>号の悲劇】
  ホームズが手がけた最初の事件の回想録。
  ホームズが大学生の頃、友人宅に招待された折、友人の父の元へ怪しげな船乗りが訪ねてきた。
  父親は何か弱みを握られているのか、その男を執事に抜擢し、勝手な振る舞いを黙認してきたのだが・・・。
  暗号ものですが、暗号はそれほど重大な役割を担っていません。
  事件の背景となる、過去の経緯が語られるのは、【緋色の研究】と似た作風ですね。

 【マズグレーヴ家の儀式書】
  ホームズの掌中の珠、逸品中の逸品という事件。
  ホームズの学友は、父の死後マズグレーヴ家の主となったが、執事が夜中にこっそりマズグレーヴ家の儀式書を盗み見ていたため、解雇を言い渡す。
  その後、執事が行方不明になり、執事が袖にしたメイドも姿を消してしまった。
  これも暗号もの。こういう宝探しのようなものはワクワクしますね。最後にはとんでもないものがありましたが・・・。

 【ライゲートの大地主】
  ホームズは働きすぎから病に倒れ、ワトソンの旧友・ヘイター大佐のいるライゲートへ療養に訪れた。
  折りしも近隣の邸では、盗難事件と殺人事件が続けざまに発生する。
  ホームズは事件にのめり込むタイプなので、時に体を壊すこともあるのですね。
  しかし、ホームズの行くところ事件あり。おちおち休んでもいられません(^^;)
  ここでの犯人は始めから怪しかったですね。

 【背の曲がった男】
  バークリー大佐が殺害された。直前、夫人と激しく口論する声が聞こえていたが、部屋の鍵は何者かに持ち去られていた。
 ここでホームズは【緋色の研究】に登場した<ベイカー街少年隊>の手助けを得て事件に当たります。
 短編で<ベイカー街少年隊>が登場するのは本編のみだそうです。
 乱歩の少年探偵団はこれをモデルにしたのでしょうね。

 【寄留患者】
  独立開業したいが、資金がないと悩む青年医師の元へ見知らぬ紳士が資金援助を申し出た。
  その紳士も寄留患者として医院に起居していたが、不可解な行動をとるロシア人親子が現れ・・・。
 おいしい話には裏があるという点では、【赤毛組合】に通ずるところがありますが、
 話が荒唐無稽でない分、無理のない展開になっていますね。
 やっぱり1人だけ甘い汁を吸うと恨みを買うものです。

 【ギリシア語通訳】
  ギリシア語通訳のメラスは、何者かに連れ去られ、囚われ人の通訳をさせられた。
  メラスは機転を利かせて、囚われ人から状況を聞きだすが、そこへある女性が現れ・・・。
  なんとホームズには7歳年上の兄がいたのですね!
  しかも兄の方がホームズよりも観察力・推理力に優れているというから驚きです。
  何気に某ソフトウェアメーカーと名前が似ているのですが(^^;)
  しかし、メラスさんにちゃんと護衛をつけるべきだったのでは?

 【海軍条約事件】
  ワトソンの友人のフェルプスは、外務省におり、秘密条約の写しを作成するという任務を託された。
  ところが、用務員にコーヒーを頼んでもなかなか来ないので、様子を見に行ったが、その隙に原本が盗まれていた。
  秘密文書を出しっぱなしで席を離れるとは、ちょっと管理が甘いです、フェルプスさん。
  ここでは伏線がきちんと張られていますね。なるほど~と思いました。
  犯人を罠にかけるやり口は、なかなか心憎い演出です。
 最後も茶目っ気たっぷり。ちょっと薬が効きすぎましたが(^^;)

 【最後の事件】
  ついに宿敵・モリアーティが登場!
  大都会にはびこる悪の半数、発覚していない犯罪のほとんどすべてがモリアーティの仕業だというのに、
  今まで全く影すらなかったですよね(^^;)
  ホームズと同等の頭脳を持つ宿敵を登場させたのに、すぐさまホームズもろとも葬ってしまった唐突さ。
  ファンが納得するはずはないでしょう。
 次作シャーロック・ホームズの生還】で再びホームズに会えるのを楽しみにしたいと思います。

  今回は「本が好き!」経由で東京創元社さまより本を頂きました。ありがとうございます。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

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Comments 2

viviandpiano  

ホームズ!

着々と読まれていますね♪
もう翠香さんも、すっかり古典もバッチリですよね☆
やっぱり今ほど精密な設定ではないですけど、
なんだかワクワクするような何かを持ってるのが古典。
ミステリの歴史を体験できる感じですよね☆

私はやっぱり銀星号(ジルバー・ブレーズというのですね)が、
馬好きな子供としては興味をそそられました。

新訳も、気になります♪

2010/08/25 (Wed) 00:43 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

春に映画を観て、やっぱり原作を知っている方がより楽しめるかな~と感じました。
影の黒幕ってモリアーティのことか~って映画を観た後に気付いて・・・トホホ。

古典、バッチリなんてとてもとても・・・(^^;)
とりあえず、クリスティ、クイーン、ルブランあたりはおさえておきたいですね~。

馬好きな子供?・・・そうか、viviandpianoさんはジュブナイル版で読んだのですね!
私もシルバー・ブレーズ号は好きな話です(^^)

2010/08/25 (Wed) 23:46 | EDIT | REPLY |   

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