毛髪再生

【王様のトリック】 吉村達也

Categoryや行の作家
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◆◇◆ハートの王はどこへ行った?◆◇◆

吉村達也(シリーズ外)
長編
ジョイ・ノベルス 2005.4
  双葉文庫 2010.12

4575513989王様のトリック (双葉文庫)
吉村 達也
双葉社 2010-12-15

by G-Tools

■あらすじ

雪に閉ざされた山奥の「奇巌城」。招待された老優・僧侶・英会話教師・推理作家・テニス選手の五人を待ち受けていたのは、真っ赤な部屋の壁に貼られた五枚のトランプと「王様のトリック」と題する死の宣告文!《これから殺人劇の幕が上がる。犯人はふたり。犠牲者の数は…未定》 犯人が複数という前代未聞の雪の密室。最初の犠牲者が出て、残された四人の心理ゲームがはじまった!『ドクターM殺人事件』を改題・全面改稿。

(双葉文庫より)

■感想
 初吉村達也作品です。タイトルに惹かれて読んでみました。
 本作は、ノベルス【ドクターM殺人事件】を、大幅に加筆・訂正し、改題して文庫化したものです。

 これもクローズド・サークルものです。本作は文字通り、吹雪の山荘で事件が起こります。
 出版社の編集長が新しいミステリーのアイデアを思いつき、ある人物に執筆を打診するところから始まるので、メタなのかなと思ったのですが、そうではありませんでした。
 なんとそのアイデア通りの事件が実際に起こるのです。
 大物政治家からの偽の招待状を受け取った人々が主に特急を利用して集まってくる様子は、クリスティの【そして誰もいなくなった】を彷彿とさせますね。
 ただ類似点はそこまでで、特にオマージュ作品ではないようです。
 また、招待された場所は、北アルプスの要塞『奇巌城』。これはルブランの小説に出てくる古城になぞらえて名付けられたもので、海外古典を意識していることが分かります。

 一見、王道バリバリのクローズド・サークルものですが、この作品が他とちょっと違うのが、犯人が2人だとあらかじめ明示されている点。
 集められたのがたった5人なので、犯人の割合が高く、恐怖を煽る効果はありますね。但し、犯人がバレやすいというデメリットも・・・。
 人数が多いとそれぞれの行動を把握しきれなくなるので、ごまかしが効き易いのですが、
 本作の場合、集められた5人、アイデア元の編集長、『奇巌城』の持ち主のイニシャルがいずれも“M”であるので、あまり人数を増やすのは難しいかもしれませんね。
 とにかく第3の殺人まで、上手く読者の目を欺いて欲しかったのですが、残念ながら第1の殺人で犯人が分かってしまった(^^;) さらに犯人の狙いも想像ついてしまった。
 しかし、本作は、犯人が分かってそれでおしまいではなく、イニシャル“M”の人々の意外な接点や、犯人が殺意を構築させた動機などが次第に明らかになっていくので、続きが気になり、読ませますね。
 ただ、ある人物に対しての動機が弱いかなと思いました。確かに気持ちを逆撫でする発言をしているけど、この理由で人を殺していたらきりがない。
 それなのに、この人物には拷問のような死を与えているのですよね。
 逆に殺意が特に深いと思われる人物には、とあるアクシデントがあり、あっさり切り替えてしまっている。ちょっとバランスが悪いように感じました。

 物語としては、社会問題も盛り込み、犯人の気持ちの揺れもリアルでよかったと思います。殺人を犯しても平常心でいられるはずないですものね。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

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吉村達也クローズド・サークル

2 Comments

viviandpiano  

クローズドサークル♪

いいですね~、ミステリの中でも人気のジャンルですもんね!
この作品は、読んだことがないんですけど、
吉村先生の作品はわりと正統派で、本格も意識しつつ書いてる感じですね。
文体もそんなに癖がないし、読みやすい作家だと思います。

限られた空間なり、範囲に犯人がいる。
そういう犯人当てやサスペンスは、私も大好きです☆

2011/01/23 (Sun) 16:36 | EDIT | REPLY |   

翠香  

viviandpianoさんへ

やっぱりクローズド・サークルは、本格ミステリの王道ですね。
ミステリ作家なら一度は手掛けてみたいジャンルでしょう。

私は吉村作品は本作が初めてだったのですが、
確かに癖がない文体で読みやすかったですね。
トリックに頼りすぎることなく、人間の心情を描いているところに好感を持ちました(^^)
氷室想介シリーズもぜひ読んでみたいです♪

2011/01/23 (Sun) 23:48 | EDIT | REPLY |   

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