Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【犬はどこだ】 米澤穂信

 03, 2011

◆◇◆窮鼠、猫を噛む◆◇◆

紺屋S&Rシリーズ1
長編
東京創元社 2005.7
創元推理文庫 2008.2

4488451047犬はどこだ (創元推理文庫)
米澤 穂信
東京創元社 2008-02

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■あらすじ

開業にあたり調査事務所<紺屋S&R>が想定した業務内容は、ただ一種類。犬だ。犬捜しをするのだ。──それなのに舞い込んだ依頼は、失踪人捜しと古文書の解読。しかも調査の過程で、このふたつはなぜか微妙にクロスして・・・・・・いったいこの事件の全体像とは? 犬捜し専門(希望)、25歳の私立探偵、最初の事件。新世代ミステリの旗手が新境地に挑み喝采を浴びた私立探偵小説の傑作。

(創元推理文庫より)

■感想
テーマ読み特集【いきものがたり】第2弾は【犬はどこだ】です。

この物語の主人公・紺屋長一郎は、東京で銀行員として働いていたが、アトピー性皮膚炎を患い退職、
犬捜し専門の調査事務所「紺屋S&R(サーチ&レスキュー)」を立ち上げます。
しかし、立ち上げたばかりで、広告も出してなければ、電話帳にも載せていない。
ついでに名刺もまだ作っていない。(こういうのは前もって作っておくものじゃないのかな?)
そんな所へ依頼など来る筈がないのですが、友人の大南からの紹介で早々に2件の依頼が舞い込みます。
依頼内容は、犬捜しとはほど遠い失踪人捜しと古文書の解読。まあ人生そう上手くはいかないものです(^^;)
長一郎自身も社会復帰のリハビリを兼ねて始めたようなものなので、
この先ずっとこの仕事を続けていくつもりもない。だからどことなく無気力さが滲み出ている。
古典部シリーズの奉太郎が成人したらこんな感じでしょうか。

また長一郎とは対照的な人物として、高校の剣道部の後輩・半田平吉(通称ハンペー)が現れます。
ハンペーは探偵に憧れ、雇って欲しいと頼み込みます。しかも完全歩合制でいいという。
結局、なし崩し的にハンペーを雇うことに。ハンペーの担当は古文書の解読。
ハンペーが思い描くトレンチコート、ドライマティーニ、リボルバーという探偵のイメージからはほど遠く・・・。
ハンペー、ハードボイルド小説の読みすぎでは?(^^;)
長一郎とハンペーのずれた会話も笑わせます。
ハンペーは調査の途中で長一郎の担当に関わる重要なキーワードに触れているのですが、
気付かずに素通りしてしまうので、読んでいてもどかしくなります。
ハンペーは見た目はチャラくてちょっとアホっぽいのだけど、中身は意外とそうでもない。
ハンペーの能力は未だ未知数です(笑) 

一方、長一郎は、就職までは順調な人生を送っていたが、突然の挫折。
あまり挫折を経験していない人は打たれ弱いもの。
そんな長一郎に対し、周りの人々は暖かく見守っていることが分かります。
友人の大南、妹の梓、そして、チャットを介して何かとアドバイスをくれるGEN。
特にGENの果たす役割が大きいです。
米澤さんはデビュー前からネットに小説を発表していたそうで、さすがにネット社会には詳しいですね。
そういえば古典部シリーズでもチャットの場面がありましたね。
しかし、改めてネット社会の怖さを思い知らされました。
ブログやホームページなどネットに何か文章を載せている方は、自警を込めて読まれることをおススメします。
自分はまっとうなつもりでも、理不尽なことをする人はいますから。(by経験者)
理不尽なことをされた時にどう対処するかが大事です。この物語のような悲惨な結末にならないように・・・。

後味はあまりよくないのですが、最後の1行が効いてますね。思わずニヤリ。
さて、本作は一応シリーズものらしいです。今のところ続編はまだ出ていないようですが・・・。
今後は長一郎の希望通り、犬捜しの仕事が出来るのでしょうか。
それともハンペーが望む探偵らしい仕事が来るのでしょうか。楽しみに待ちたいですね。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • 探偵小説が好きな方
  • ブログ・HPなどで情報発信している方

■参考

  ◆その他犬がタイトルに付くミステリ◆

【迷犬ルパンの名推理】
辻真先
迷犬ルパンシリーズ
【名犬フーバーの事件簿】
笠原靖
名犬フーバーシリーズ
【ソロモンの犬】
道尾秀介
 
【黄泉路の犬】
近藤史恵
 

【月長石の魔犬】 
秋月涼介

第20回メフィスト賞受賞作
【犬の力】
ドン・ウィンズロウ
2010年度「このミス」海外編第1位
【死の猟犬】
アガサ・クリスティ
怪奇幻想短編集
【バスカヴィル家の犬】
コナン・ドイル
シャーロック・ホームズシリーズ

 

  ◆犬が作品に登場するミステリ◆

【賢者はベンチで思索する】
 近藤史恵
主人公・久里子の飼い犬のアンとトモが可愛い。
【螺旋階段のアリス】
 加納朋子
これも私立探偵もの。こちらは犬捜しがあります。
【センティメンタル・ブルー 蒼の四つの冒険】
 篠田真由美
蒼とガールフレンドを結びつけたのは、大きな犬でした。
【パーフェクト・ブルー】
 宮部みゆき
元警察犬・マサの一人称で語られています。ちょっとハードボイルドを気取っているのもいい。
【ゆきの山荘の惨劇─猫探偵正太郎登場─】
 柴田よしき
猫探偵正太郎シリーズ。正太郎の幼なじみ・チャウチャウ雑種のサスケが登場。

 

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Tag:米澤穂信 紺屋S&R

COMMENT 4

Fri
2011.06.03
07:39

mokko

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これは!

この作品、一度はチェックしたんですが、米澤さんは1冊読んでいるので
やめたんです。よかった(^◇^;)
最後方で翠香さんが紹介している「月長石の魔犬」にしました♪
メフィストって好きなのかも(○ ̄m ̄)

これも面白そうですねぇ~
続きそうなんですね。シリーズだと手を出さない方がいいのか・・・
ネット系のことも書かれているとか・・・
嫌な目には何度かあったことはありますが
友達は結構酷いことをされてる人が何人もいましたよ。
そういう意味でも興味深いですね♪

Edit | Reply | 
Sat
2011.06.04
17:42

翠香

URL

mokkoさんへ

「月長石の魔犬」、私も気になっているのですよ~。
mokkoさんのレビューを読んで面白そうだったら読んでみよう(^^)

この作品は、あまり続きそうな気配はないのだけど、
表紙に“1”と書いてあるので、“2”もあるのかなと。

皆大なり小なりネットの被害には遭っているのですね。
でも本作のようにエスカレートしてしまうと怖いv-399

あ、そうそう、ネット系の話といえば、
この間読んだ「ペルソナ探偵」ではチャットが使われていましたね。
会員がチャットで相談を持ちかけ、探偵役の人が解決するのですが、
最後、オフ会で会員同士が出会ったら怒涛の展開でした。
面白かったので、ぜひチェックしてみてね♪

Edit | Reply | 
Tue
2011.06.07
15:20

あかね

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おっ!

確かに「犬」~i-194この作品もありましたねi-178
忘れていたーi-240

なんとなく自分は米澤先生が描くキャラクタが(とくに古典部のような)好きなので、この作品でも、その魅力が全開なのかなi-189って思えたので、ぜひぜひ読んでみたいと思いますi-178

それにしても「犬」がらみの作品もけっこうありますねi-185
参考にしますi-1

Edit | Reply | 
Tue
2011.06.07
23:22

翠香

URL

あかねさんへ

これは米澤さんが初めて手掛けた職業モノらしいです。
主人公の長一郎は、どことなく奉太郎に似ていますね。
ビターテイストなのも米澤さんらしい。

おまけの作品リストは、毎回付けるわけではないので、
ご自分で色々探してみてください。
新しい作家さん、作品との出逢いもあって楽しいですよ(^^)

Edit | Reply | 

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