Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【ガラスの麒麟】 加納朋子

 17, 2011

◆◇◆儚く・冷たく・美しく◆◇◆

加納朋子(シリーズ外)
連作短編集
講談社ノベルス 1997.8
講談社文庫 2000.6
20第48回日本推理作家協会賞受賞作。

■あらすじ

「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」。通り魔に襲われた十七歳の女子高生安藤麻衣子。美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に隠されていた心の闇から紡ぎ出される六つの物語。少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。
(講談社文庫より)

■感想
 テーマ読み特集【いきものがたり】第8弾は【ガラスの麒麟】です。
 麒麟・・・難しい漢字ですね~。キリンです。(川島じゃないよ~w)

 加納作品のノンシリーズを初めて読みましたが、今まで読んだ日常の謎モノとは雰囲気が随分違いますね。
 なにしろいきなり殺人事件が起こってしまいますから。冒頭の通り魔に襲われるシーンは怖いです。

 本作は6編からなる連作短編集です。殺された安藤麻衣子という女子高生の話を根底にし、
 それぞれの短編で異なった人々にスポットが当たった話となっています。
 そして各短編で探偵的役割を果たしているのが、高校の養護教諭(つまり保健室の先生)の神野菜生子先生。
 神野先生は高校生たち(時に同僚教師)の心理カウンセラー的な役割も担っています。


 【ガラスの麒麟】
 安藤麻衣子が殺された直後から、麻衣子の友人・直子に異変が起きた。
 麻衣子の霊が乗り移ったかのような言動をとるようになったのだ。

 いきなり憑依モノ?と身構えたのですが、合理的な解釈がつけられてホッとしました。
 それでも依然として『犯人』の存在が脅威です。

 【三月の兎】
 今度は麻衣子の担任・小幡先生がメインのお話。
 小幡先生達二年の担任全員が授業中にもかかわらず校長に呼び出された。
 老婦人とぶつかった拍子に時価100万円相当の壺を壊してしまったが、
 謝りもせずに行ってしまった生徒が二年の中にいるという。

 おばあさんがそんな高価な壺を持ち歩くなんて眉唾だなぁと思っていたらやっぱりね(^^;)
 ここでの推理は論理的でいいですね。ラストは感動的でした。

 【ダックスフントの憂鬱】
 高志は幼なじみの美弥から飼い猫が大怪我をしたことを知らされる。
 刃物ですっぱり切られたような傷で、近所の子猫も同じ被害に遭っていた。

 高志の両親はいたずら好きで面白い家族ですね。当人は迷惑しているみたいだけど(笑)
 高志と美弥は青春してるな~と微笑ましかったけれど、犯人の悪意にはぞっとします。

 【鏡の国のペンギン】
 校内に安藤麻衣子の幽霊が出るという噂が広まった。噂の発端はトイレの壁に書かれた落書きらしい。
 誰が何の為にそんな落書きを書いたのか・・・?

 再びスリリングな展開に手に汗握ります。これも推理は論理的なのですが、読者にはアンフェアですね(^^;)

 【闇夜の鴉】
 山内伸也は窪田由利枝にプロポーズした。しかし、由利枝は自分は人を殺しているから結婚できないという。
 この直前、由利枝の元に悪意に満ちた手紙が届いていた。
 差出人は、由利枝の高校の後輩で死んだはずの安藤麻衣子だった・・・。

 死んだはずの人間から手紙が届く・・・いやあオカルトですねぇ。
 どんなトリックかと思いきや・・・確かにその現象は経験ありますね。ラストが素敵です。

 【お終いのネメゲトサウルス】
 野間は麻衣子の作った童話に自分のイラストをつけて出版しようとしていた。
 怪手紙の件で麻衣子の母親を訪ねようとしていた神野先生を見つけ、仲介を頼む。
 しかし、神野先生は麻衣子を殺した犯人に心当たりがあるようで・・・。

 これまでの5編では神野先生は探偵役を務めてきたのですが、
 神野先生自身も悲しい過去を引き摺る一人の女性だったことが分かります。
 大団円を迎え、明るい未来を感じさせるラストで良かったと思います。

 それぞれの短編のタイトルに動物が入っているので、テーマ読みにピッタリでした(^^)
 各短編に登場する人々は無関係なように見えて、安藤麻衣子や神野先生、直子、野間などの共通の人々で繋がっています。そして最終話で各短編のピースが全て集結し、あたかも一つの長編作品のようにまとめられているところはさすがに上手いですね。
 ただ、犯人像がいまひとつはっきりしないですね。5編までは犯人は蛇のように執念深い人物という印象をもっていたのですが、最終話で明らかにされる犯人にはそんな感じはしなかったのですよね(^^;)
 また、麻衣子が犯人に対して取った言動も理解できない。一応作中で解釈されてはいるのですが、う~ん・・・ちょっと消化不良気味です。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • サスペンスが好きな方

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Tag:加納朋子 日本推理作家協会賞

COMMENT 2

Mon
2011.07.18
21:12

mokko

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これが!

被ったのですねぇ~
目次を見た途端に、テーマ読みにピッタリだぁ~って思いました。
各章のタイトルが全部動物の名前入りって珍しいですよねぇ~
それぞれの話が面白かったから、良しとしますが
最後がアレっていうのはちょっとね(^◇^;)
犯人とか探偵が、いきなり出てきた時はビックリしましたよ。

Edit | Reply | 
Mon
2011.07.18
23:50

翠香

URL

mokkoさんへ

そうなんですよね。
最後はハッピーエンドできれいに纏められているので、読後感はいいのですが、
犯人がね・・・何か違う~と思いましたよ(^^;)
mokkoさんのレビューに探偵がいきなり出てきたとあったので、
神野先生以外の探偵役がいたのかと思ってしまった(^^;)
この探偵って、必要かなぁ?

Edit | Reply | 

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