Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

ミステリ小説・ドラマ・映画のレビューと、フィギュアスケートに関する話題について。ド素人なので初心者にも分かりやすく、楽しくを心掛けていきたいです。

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【螢坂】 北森鴻

 22, 2011

◆◇◆記憶の中で生き続ける◆◇◆

工藤哲也(香菜里屋)シリーズ3
短編集
講談社 2004.9
  講談社文庫 2007.9


■あらすじ

「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた思いを知ることになる(表題作)。マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。
(講談社文庫より)

■感想
 テーマ読み特集【いきものがたり】も最後となりました。アンカーは【螢坂】です。
 本作は、香菜里屋シリーズ第3作です。
 第2作【桜宵】桜特集で取り上げましたが、今回もまたテーマ読みに加えました。
 蛍の持つ幻想的で儚いイメージからこれをラストに決めていました。
 収録されている5編の短編も、儚さや喪失感がテーマになっているように感じました。
 相変わらず工藤マスターの絶品料理と冴えた推理も健在です(^^)


 【螢坂】
 有坂は戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れ、16年ぶりに三軒茶屋に戻ってきた。
 ふらりと立ち寄った香菜里屋で奈津実の友人と再会し、自分が嵌められていた事実を知り、驚愕する。

 戦場カメラマンと聞いて、つい帽子を被ったゆっくりしゃべるあの人を思い浮かべてしまった(^^;)
 一旗挙げたいと思う気持ちは分かるけど、やはり戦場に赴くには並々ならぬ覚悟が必要だと思います。
 若かりし有坂にはその覚悟はなかったのですね。でも奈津実も有坂を待っていてあげられなかったのかな・・・。

 【猫に恩返し】
 三軒茶屋で小さなタウン誌を発行している仲河は、鳥柾に居ついた黒猫のゴン太の話を脚色して「三茶夜噺」として掲載した。ある時、鳥柾の親父と常連客の間で、ゴン太の顕彰碑を作る話が持ち上がり、仲河のタウン誌で募金を集めてほしいという。話はかなり眉唾なのだが・・・。

 作中作にモデルの店があり、その話にも実はモデルがあったと状況は目まぐるしく変わっていくのですが、最後に思いがけない展開になります。やり方は少々荒っぽいですが、読後感はいいですね。
 香菜里屋のタンシチュー、食べてみたい!

 【雪待人】
 南原は9年前まで三軒茶屋で金物屋を営んでいた。当時、駅前を中心とした再開発計画があり、南原の店も計画区域内に入っていたのだが、立原美昌堂という画材屋が立ち退きを拒んだため、軌道修正されてしまい、南原の店は閉店に追い込まれた。その立原美昌堂が近く店を閉めるのだという。

 非凡な才能を持った人ほど凡人には計り知れない苦悩があるのかもしれませんね。
 切ないお話なのですが、これには毒も併せ持っていて・・・。一人のセンチメンタリズムの為に払った犠牲は大きい。
 ところで工藤さんの待っている人って誰でしょう?気になります。

 【双貌】
 柏木は専門学校を出て15年勤めた印刷会社が左前になったため、退職した。
 自分の技術があればすぐに転職先は決まると高をくくっていたが、どこも断られてばかり。
 そんな折、ある路上生活者に出会う。しかし、その人物からは悪臭は発せられていなかった。
 実は路上生活者のふりをしているだけなのでは?柏木はこれをネタに小説を書くのだが・・・。

 これはまたメタな設定ですね。珍しくサスペンス仕立てねと思ったら、あ~騙された~(笑)
 これは毒もなく、読後感はいいですね。

 【孤拳】
 真澄は幻の焼酎「孤拳」を探し求めて香菜里屋へやってきた。常連客に聞いてみたが、誰も知らないという。
 真澄にとって孤拳は脩治との思い出の酒だった。

 これは切ないですね。でも素敵なお話なので、5編の中で一番好きです。
 作中に出てくる脩治という男性が北森さんとイメージがダブってしまい、うるうるしてしまいました。
 ──香菜里屋はどうして香菜里屋なのだろう──。
 常連客の間で議論された名前の由来は第4作で明らかにされるようです。
 でも第4作でこのシリーズは終わりなんですよね。読みたいような読みたくないような複雑な心境です。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • ビール275・カクテル272が好きな方!
  • グルメ嗜好271な方
  • 気軽に読めるミステリーをお探しの方

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Tag:香菜里屋 北森鴻

COMMENT 2

Sat
2011.07.23
10:21

mokko

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( ̄O ̄;アッ!

蛍は有りでしたかぁ~
虫ってことで、外してましたぁ~(゚O゚;
北森作品は、新しい作品がもう読めないってことで
手元にはあるんだけど、読むのを躊躇してしまうんですよね・・・
と、言いながらもmokkoも北森作品を1冊チョイスしてます。

香菜里屋・・・
あぁ~いうお店があったら、本当にいいのになぁ~
なんか切なくなってしまいます。゜゜(>ヘ<)゜ ゜。

っていうか、特集のラスト作品なのですね・・・
寄り道してる場合ではなかったです(^◇^;)
mokkoはまだまだ続きます<(_ _)>

Edit | Reply | 
Sat
2011.07.23
23:41

翠香

URL

mokkoさんへ

一応、追記に虫もOKって書いたのですが(^^;)
これがmokkoさんと被ると思っていたのですよね。そっかあ外してたのか(笑)
この作品、シリーズ3作の中で一番良かったです。
でも次でシリーズ終わりなんですよね。
本は先日買ったのですが、もったいなくて読めないな~v-356
とりあえず北森作品は、ノンシリーズか別のシリーズ作品を読もうかな。
残っている作品を大事に読もうと思います。

香菜里屋・・・いいですよね~(^^)マスターの絶品料理食べてみたい♪

テーマ読みは今回は9作エントリーしました。
途中割り込みも入ったけれど、ほぼ予定通りです。
mokkoさんのエントリー、楽しみにしていますね♪

Edit | Reply | 

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