Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【儚い羊たちの祝宴】 米澤穂信

 02, 2011

◆◇◆毒をもって毒を制す◆◇◆

米澤穂信シリーズ外
短編集
新潮社2008.11
新潮文庫2011.7
2011新潮文庫の100冊対象本


■あらすじ

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。

(新潮文庫より)

■感想
 これは2011年新潮文庫の100冊対象本です。

 タイトルに惹かれてなんとなく気になっていた作品でしたが、先月、書店の新刊の棚で見つけて即買いしました。
 カバー装画もシックで素敵ですよね。
 米澤穂信さんといえば、古典部シリーズや小市民シリーズなど高校生が主人公となったちょっとビターな青春ミステリのイメージが強いですが、【犬はどこだ】【インシテミル】など色々な作風に果敢に挑戦している作家さんなのですよね。
 本作もまた今までとは全く違った雰囲気の作品で、あらすじに「暗黒ミステリ」とある通り、ブラック路線です(^^;)
 一歩間違えばホラーと呼んでもいいくらい。
 本作は5編からなる短編集で、いずれも若い女性の述懐形式で物語が進んでいきます。
 時代設定は戦後の昭和ぐらいで、レトロな雰囲気。
 各短編には上流階級の子女が集まる読書サークル「バベルの会」が共通項として述べられています。
 若い女性たちの甘美な憧れの的「バベルの会」。
 そのせいか、ぞくりとする怖さの中にもどこか上品さが漂う作品群となっています。

 それにしても米澤さんって読書家で博識な方なのですね。
 作中に和洋合わせてたくさんの古典作品について書かれています。
 原典を知っていればニヤリとできる箇所も多いはずなので、その点は自分の不勉強がちょっと残念orz
 逆に本作を読んで原典に当たってみるのが特に学生さんの夏休みの読書には有意義かなと思います。

 【身内に不幸がありまして】
 丹山吹子は、「バベルの会」の夏合宿を指折り数えて楽しみにしていた。
 しかし、夏合宿の二日前、屋敷で惨劇が起こり、参加は叶わなかった。
 そして翌年、翌々年も同日に惨劇が起こる。四年目にはついに・・・。

 述懐が別の人物に変わったとたん、ぞっとしました
 問題は動機なのですが、自分を律するのは大変だとはいえ、ここまでする必要があるのか疑問ですね。
 吹子の秘密の書棚にある本のテーマが分かればかなりの読書家です。(私は分からなかったorz)

 【北の館の罪人】
 妾腹の子・内名あまりは、母の死後、六綱家にやってきた。
 あまりは軟禁されている兄・早太郎の世話と監視をするよう言い渡される。
 あまりは早太郎から様々な買い物を頼まれるのだが・・・。

 ある分野に詳しい人なら買い物リストから早太郎が何をしようとしているのか分かるみたいです。
 この作品が一番人の悪意を感じますね。だからこそ最後のオチにはっとさせられます

 【山荘秘聞】
 屋島守子は辰野家の別荘「飛鶏館」の管理を任されていた。しかし、1年間誰も訪れがなかった。
 1年が過ぎた早春のこと、滑落した一人の登山者を助ける。翌朝、山岳部の仲間が彼を探しにやってきた。

 これ、早合点してものすごいホラーな展開を想像してしまったのですが、実はそれほど怖くありません。
 方法は正しくないけれど、守子の気持ちは分からないでもないですね。

 【玉野五十鈴の誉れ】
 小栗純香が15歳になったとき、玉野五十鈴が自分付きの使用人になった。
 純香は同い年の五十鈴のことが気に入り、五十鈴から色々なことを教えてもらう。
 しかし、伯父が殺人事件を起こし、純香は人殺しの血を引く者として部屋に閉じ込められ不遇な生活を強いられる。

 純香のお祖母さんの鬼女ぶりが凄い。純香を跡取りとして考えていたのに、伯父が人を殺したとたん、罪人扱い。
 いやはや(^^;)
 この作品、多少の痛みは伴ったものの、めでたしめでたしのように見えますが、実は・・・。忠実さが怖さをそそります。

 【儚い羊たちの晩餐】
 かつて「バベルの会」の読書会が行われたサンルームは荒れ果てていた。
 そこに置かれていた1冊の日記帳。そこには「バベルの会」が消滅した経緯が書かれていた。

 これまで「バベルの会」には単なる読書サークルではない何かがあると思いましたが、
 ここで「バベルの会」がどんな集まりなのかが分かります。そして何故消滅してしまったのかも・・・。
 この短編のタイトルが「祝宴」ではなく「晩餐」になっているのがミソ。こんな読書サークル、入りたくはないな~(^^;)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • 学生の方
  • ブラック路線が好きな方
  • 読書案内をお探しの方

テーマ読みは一応終わったのですが、気が付けば本作には「羊」がありますね。
米澤さんが2作になってしまうけど、羊はなかったので、テーマ読みに加えたいと思います。 

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Tag:米澤穂信 新潮文庫の100冊

COMMENT 2

Thu
2011.08.04
21:29

mokko

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オオーw(*゚o゚*)w

テーマ読みは終わったと思っていたのに
確かにタイトルに動物が入ってますぅ~
よかったぁ~
一人取り残されるのは寂しいなぁ~って思ってたから(^◇^;)

暗黒ミステリですかぁ~
まさにmokko好みじゃないですかぁ~
古典部シリーズの1作目で止まっていて、その続きも
小市民シリーズも全部積んでます( ̄▽ ̄;)ゞ
心して読まねば!
これもチェックです!

Edit | Reply | 
Sat
2011.08.06
00:24

翠香

URL

mokkoさんへ

別にテーマ読みを意識していたワケではなく、新刊が出たので買ったのですが、
気がつけば、羊がいるじゃないですか!
この作品における「羊」の意味はかなり重要なので、入れておきました。
ふふふ・・・怖いぞお(^^;)

小市民もビター風味なのだけど、これはもうブラック一色ですね。
夏の読書にピッタリではないでしょうか。
ぜひぜひチェックしてみてね♪

Edit | Reply | 

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