Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【闇色のソプラノ】 北森鴻

 15, 2011

◆◇◆夭折した童謡詩人を巡る悲劇の連環◆◇◆

北森鴻(シリーズ外)
長編
立風書房 1998.9
  文春文庫 2002.10

■あらすじ

夭折した童話詩人・樹来たか子の「秋ノ聲」に書かれた<しゃぼろん、しゃぼろん>という不思議な擬音の正体は? たか子の詩に魅せられた女子大生、郷土史家、刑事、末期癌に冒された男、医師、そしてたか子の遺児・静弥が神無き地・遠誉野に集まり、戦慄の事件が幕を開ける。驚愕の長篇本格ミステリー。
(文春文庫より)

■感想
 【音楽とミステリ】第7弾は、【闇色のソプラノ】です。
 北森作品は香菜里屋シリーズしか読んだことがなかったので、ノンシリーズはこれが初めてです。
 しかも香菜里屋シリーズは短編集なので、長編作品を読むのも初ですね。

 物語の舞台は、架空の都市・東京郊外にある遠誉野市。
 市内にある大学の文学部学生・桂城真夜子は男友達の部屋で1冊の古い同人誌を見つける。
 真夜子は、そこに掲載されていた詩に魅せられ、作者・樹来たか子を卒論のテーマに選ぶ。
 真夜子は図書館での資料集めの折、郷土史研究家の殿村と知り合う。
 そして同じ遠誉野市にたか子の遺児・静弥がいることを知る。
 また同じようにたか子の詩に魅せられた末期癌患者の弓沢は、たか子の生家のある山口を訪れたが、
 帰京後まもなく病院を抜け出し、何者かに刺殺される。
 さらに静弥の友人・高梨がひき逃げに遭う。しかし2つの事件とも静弥にはアリバイがあった。
 その後、静弥と静弥の担当医師・櫟(くぬぎ)の元に「2-1=3」と書かれた謎の葉書が届く。
 葉書の差出人は誰か?数式は何を意味するのか?

 樹来たか子のモデルは、童謡詩人・金子みすゞだそうです。
 奇しくも今年「こだまでしょうか」の詩で一躍脚光を浴びましたね。
 天性の才能に恵まれながら、夫に詩作を禁じられ、離婚問題のトラブルなどがあり、自殺。
 たか子の生涯はみすゞのそれをなぞったものでした。
 しかし、たか子の死は自殺ではなく、夫に殺されたのだと唱える者がありました。
 土地の実力者であるたか子の伯父が事実をもみ消した形跡も・・・。

 たか子の死の真相については、二転三転するので、翻弄されましたが、結果はだいたい予想通りでした。
 でもこれが真相だとどうしても腑に落ちない点があるのです。
 ネタバレになってしまうので言えないのですが・・・。
 一方、弓沢と高梨を殺した犯人と、謎の葉書の差出人についてはまったく予想外でした。

 真夜子の知的好奇心によって、偶然が偶然を呼び、
 思い込みと勘違いによって大いなる悲劇を生んでしまいました。
 好奇心を持つこと自体は悪い事ではないのに、何だかやりきれない気持ちになりました。

 殿村は、遠誉野の土地の由来について、「とよの」の音が「常世」(とこよ)と似ていることから
 黄泉の国伝説に結び付けて民俗学的アプローチをしています。
 架空の地名であるのに説得力があってとても興味深い内容でした。
 北森さんは民俗学が好きでよく調べているからこそ、虚構の中でもまことしやかに書けるのでしょう。
 民俗学がテーマとなった蓮丈那智シリーズもぜひ読んでみたいです(^^)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度

■特におすすめ!

  • 民俗学に興味がある方
  • 文学部の学生の方

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Tag:北森鴻

COMMENT 2

Sat
2011.12.17
22:24

mokko

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実は・・・

これは最初に候補に選んだ作品だったんですよぉ~
積んでたので・・・
だけど、他にピックアップした作品が始めての作家ばかりだったので
今回は全部、初めての作家さんにそろえようと思って
外したんですよぉ~(^◇^;)
ナチ先生っぽい作品になってるのかな?
これは読むのが楽しみになりました(o^o^o)
蓮丈那智シリーズはオススメですよ♪
ちなみに蓮丈那智シリーズの「狂笑面」と、冬狐堂シリーズの
「狐闇」は対になってます。
んで、狐闇には北森オールスターズが総出演してますよ♪
いつか是非♪

Edit | Reply | 
Sun
2011.12.18
00:12

翠香

URL

mokkoさんへ

そうだったのですか!じゃあこれも被っていたかもしれなかったのですね~
私は反対に他の候補を外したら数が足りなくなっちゃったので、
急きょ発掘したのですよ。
でも初見の作家さんで全部揃えるというこだわりは凄いなぁ。

この作品は、全体的に陰鬱な雰囲気なので、万人受けはしないですね。
香菜里屋シリーズとは随分雰囲気が違います。

蓮丈那智シリーズは、実は揃えてあるのですよ♪
今年は読む機会がなかったけれど、
民俗学も好きなので、来年には絶対読もうと思ってます(^^)

Edit | Reply | 

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