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【凶笑面-蓮丈那智フィールドファイル1】 北森鴻

 20, 2012

◆◇◆民俗学と本格推理が融合した知的ミステリ◆◇◆

蓮丈那智フィールドファイルシリーズ1
短編集
新潮社 2000.5
  新潮文庫 2003.2


■あらすじ

《異端の民俗学者》蓮丈那智。彼女の研究室に一通の調査依頼が届いた。ある寒村で死者が相次いでいるという。それも禍々しい笑いを浮かべた木造りの「面」を、村人が手に入れてから──(表題作)。暗き伝承は時を超えて甦り、封じられた怨念は新たな供物を求めて浮遊する・・・・・・。那智の端正な顔立ちが妖しさを増す時、怪事件の全貌が明らかになる。本邦初、民俗学ミステリー。全五編。
(新潮文庫より)

■感想
以前読んだアンソロジー【紅い悪夢の夏―本格短編ベスト・セレクション】の中に
このシリーズの短編が載っていて、ずっと読みたいと思っていました。

本作は、蓮丈那智フィールドファイルシリーズの第1作です。
メインキャラは、私立東敬大学助教授の蓮丈那智とその助手・内藤三國。
那智は、短い髪を整髪料できっちりまとめ、端正な顔立ちですらりとした長身という宝塚の男役のような容姿もさることなら、
寸鉄人を刺すような物言いのため、異端扱いされているという、良くも悪くも目立つ存在なんですね(^^;)
そんな那智のことを内藤は憧憬と畏怖の対象としてとらえています。
そして、那智が何かを感じ取ったとき、内藤のことを独特のイントネーションで「ミクニ」を呼ぶ。
このときの内藤のゾクゾク感がこちらにも伝わってきます(笑)

ここに書かれている民間伝承や風習などはフィクションなのだけど、
民俗学としての見解は本物なので、とても興味深かったです。
北森さんはこの本を書かれるにあたって、たくさんの資料を参考にしています。
大変だっただろうと推察しますが、きっと民俗学が好きだからここまで出来たのでしょうね。

本作は5編からなる短編集です。
1編が60ページほどなので、書いた労力を考えると申し訳ないぐらいさらりと読めてしまいました(笑)


【鬼封会】
那智の講義を受講している学生・都築から鬼封会のビデオが送られてきた。
しかし、那智と内藤が調査に出向いた矢先、都築が殺害されてしまう。
都築はストーカーをしていたというのだが・・・。

鬼封会の祭祀と殺人事件が上手くリンクしていますね。
目的のためなら手段を選ばない人もいる。この犯人はちょっと痛かった・・・。
それにしても那智先生の試験はなかなか難問ですね(^^;)

【凶笑面】
骨董屋の阿久津から長野県H村にある谷山家で見つかった面についての調査依頼を受けた。
しかし那智の手がなかなか空かなかったため、先に民俗学者の甲山が調査をしていた。
谷山家に調査に入って三日目、倉の中で阿久津の死体が発見された。

ここでは日本の伝統芸能と宗教の起源、民間伝承など様々な知識が駆使されています。
殺人は許されないけど、阿久津は自業自得でもあり、同情の余地なし(^^;)
内藤君、あわやポストを奪われるか!?(笑)

【不帰屋】
護屋菊恵という女性から民俗調査の依頼を受け、東北へとやってきた那智と内藤。
離屋に案内され、そこが不浄の間であったことを証明してほしいという。
しかし、その離屋で菊恵本人が死亡した。
昨夜は雪が降っていたため、地面には発見者の往復の足跡のみが残されていた。

おお、雪の密室ですねぇ。でも実はもっとすごい密室があるのですよ。
そんなところにもし閉じ込められたら・・・空恐ろしくなりました。
タイトルからも分かる通り、一度入ったら帰れないということなのですね。怖い

【双死神】
内藤の元に弓削という若者から、自分が偶然に発見した未発掘の遺跡について調査依頼の手紙が届いた。
内藤は単身遺跡がある中国地方に出向く。
ところが宿屋で≪狐≫と名乗る謎の女性から身辺に気をつけろと言われる。
後日、遺跡の崩落事故が起こり、弓削が死亡しているのが発見された。

ここまで来ると短編のパターンが見えてきますね。調査依頼してきた人物が死亡するという(^^;)
先の≪狐≫を名乗る女性は、「冬狐堂」シリーズのキャラ・宇佐見陶子だそうです。
そういえば三軒茶屋のビアバーも登場していましたね。北森鴻ファンにはうれしい趣向(^^)
冬狐堂シリーズ第2作『狐闇』では、北森鴻オールスターズの競演があるそうです。楽しみ♪

【邪宗仏】
那智の元へ、山口県波田村から二通のレポートが届いていた。
波田村には秘仏があり、それは両腕がない仏像だという。
那智は内藤を伴い波田村を訪れたが、レポートを書いた一人が奇しくも両腕を切断され殺されていた。

この短編のみアンソロジーで先に読んでいました。犯人を特定する手法は論理的でよかったです。
ただ、両腕を切断した本当の理由は、専門的すぎて一般の人には分からないですね(^^;)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267
◆冷や汗度404404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • 民俗学に興味がある方
  • 香菜里屋シリーズ、冬狐堂シリーズを読んだことのある方
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Tag:北森鴻 蓮丈那智

COMMENT 4

Sat
2012.01.21
21:38

コースケ

URL

こんばんは

このシリーズ大好きです。
最新文庫「写楽・考」まで読みました。
本当に練りに練られていて、見事という他ないですよね。

北森さんが急逝されてしまい、
全てのシリーズが終了となってしまったのですが、
この蓮丈那智シリーズはこの前なんと書店で
新作を見かけました。
北森さんの急逝を受け、そのプロットを
パートナーである方が受け継いで書かれたとか。

改めてシリーズを読み直してみたいと思いました。

Edit | Reply | 
Sat
2012.01.21
22:35

mokko

URL

о(ж>▽<)y ☆

読書メーターのお気に入りありがとでした♪

とうとう読みましたねぇ~
このシリーズも大好きなんですぅ~(o^o^o)
狐闇を読む前に、「孔雀狂想曲」も読んでくださいね♪
この店主も出てきますから♪

Edit | Reply | 
Sun
2012.01.22
00:05

翠香

URL

コースケさんへ

コースケさん、こんばんは。
このシリーズ、那智先生のカッコ良さが際立ってますよね。
かっこいい女性が活躍するお話って大好きなんです(^^)
民俗学の薀蓄も面白かったのですが、意外と本格推理ですよね。

北森さんがお亡くなりになり、もう続きは読めないのだなと思っていたのですが、
遺志を受け継いだ方がいらっしゃるのですね。
那智シリーズの新作、探してみますね。
情報ありがとうございました。

Edit | Reply | 
Sun
2012.01.22
00:17

翠香

URL

mokkoさんへ

こちらこそ、お気に入りありがとうございます(^^)
今年から始めたばかりでまだ使い方がよく分からないので、色々教えてください。

那智先生、かっこいいですね~
気に入りました♪
「孔雀狂想曲」(これ、テーマ読みの「いきもの」と「音楽」と両方いけますね♪)、
mokkoさんのレビューを読みました。
これも面白そうですね。
今度、探してみます♪

Edit | Reply | 

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