Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【写本室(スクリプトリウム)の迷宮】 後藤均

 16, 2012

◆◇◆知の迷宮への招待状◆◇◆

後藤均(シリーズ外)
長編
東京創元社 2002
  創元推理文庫 2005.2
20第12回鮎川哲也賞受賞作


■あらすじ

大学教授にして推理作家の富井に託されたのは、著名な画家・星野が遺した手記だった。──終戦直後のドイツ。星野は迷い込んだ城館で催される推理ゲームに参加したが、現実に殺人事件が起きる!推理合戦の果てに到達した驚愕の解答とは?さらに手記には大いなる秘密が隠されているという。富井は全ての謎を解き、星野の挑戦を退けることが出来るのか?第十二回鮎川哲也賞受賞作。
(創元推理文庫より)

■感想
テーマ読み【迷宮】、第6弾は【写本室の迷宮】です。
初めましての作家さん。
本作は、第12回鮎川哲也賞受賞作だそうです。

大学教授にして推理作家という二足のわらじを履く富井は、
チューリッヒの画廊に飾られていた絵に引き込まれ、店内へ入る。
すると、画廊の女主人から、絵の作者─星野泰夫の手記を託される。
いつかこの絵を見て店の中に入ってくる日本人に渡してほしいと言付かっていたのだという。

そしてこの後、星野泰夫の手記へと移ります。
手記は2分冊になっており、
第二次世界大戦終結の年に、南ドイツの城館で遭遇した事件の顛末が語られています。

星野は、雪の中で車が立ち往生してしまい、小さな城館を見つけて駆け込んだ。
その城館には、数人の多国籍の人々がおり、同じように雪の中で道に迷ったという日本人もいた。
この会合は、毎年輪番で自作の推理小説を持ち寄り、推理比べをしているのだという。
もし誰も犯人を当てられなかった場合は、その作品は出版の運びとなるのだ。
星野ともう一人の日本人も飛び入りで推理ゲームに参加することに。

ここで手記・壱が終了。
いよいよお題の推理小説となるのですが、タイトルが『イギリス靴の謎』。
まるでエラリー・クイーンの作品のようではないですか!
ちゃんと「読者への挑戦」まで付いています。

・・・と煽っておいて恐縮なのですが、
いつもなら、無謀と知りつつも挑戦を受けてみる私も、今回はまるでそんな気が起こらなかった。
なんというか、ヘンテコな作品なんですよ。
しかも設問は、殺人犯と動機を尋ねています。普通、トリックを解かせるのでは?動機って・・・。
mokkoさんじゃないけど、「この謎、無理!」って思いましたもの。
結局、解かないで正解でした。真面目に取り組んだ方、ご愁傷様です(笑)

ここで、手記・弐に入る前にちょっとしたサプライズが!
なかなか読者を楽しませてくれますねぇ。

手記・弐に入ると、城館内で殺人事件が発生します。
館で殺人事件・・・ミステリの王道ですねぇ。
しかも、この事件が『イギリス靴の謎』の解答と関わりがある事が分かり、
集まった「名探偵」たちが次々と推理を展開していきます。
もちろんその中には名探偵に化けた犯人もいるわけで。
ここでの謎が解きほぐされていく過程は面白かったですね(^^)

さて、手記の最後には星野からの挑戦状が付いています。
謎の言葉を読み解き、3月31日午後3時にある場所へ行けば、「迷宮の使者」に会えるという。
何だかRPGっぽくなってきた(^^;)
しかし、これを読み解くには、中世ヨーロッパの宗教史からアーサー王伝説、
はたまた天草四郎と多岐にわたるので、なかなか容易ではない。

しかも、しかもですよ、
散々手記とヘンテコな推理小説を読まされ、謎の言葉を読み解いて迷宮の使者に会いに来たというのに、
この結末ですかぁ?
アリアドネの糸を手繰って、迷宮の出口にたどり着いたと思ったら、別の迷宮の入り口だったという(^^;)
という訳で、次なる迷宮は次回作『グーテンベルクの黄昏』に持ち越しだそうです。
全く売りが上手いなぁ。
最近はやりの連ドラの解決編を映画で!というのと似てますね(^^;)

構成としても凝っていて面白いし、
ミステリファンを楽しませる仕掛けもいろいろあってよかったのですが、
あれもこれもと欲張り過ぎた感じですね。
賞に応募する意気込みは伝わってきますが、ミステリフルコース、お腹いっぱいです(^^;)
薀蓄も難解で、ちょっとついていけなくなりました。
もう少しこなれてくれば、良質なミステリの書き手になれるかも。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267267267
◆冷や汗度404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • ミステリマニアの方(初心者向けではありません)
  • シャーロキアンの方
  • 中世ヨーロッパの宗教史に詳しい方

◆テーマ読み迷宮◆
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Tag:後藤均 鮎川哲也賞

COMMENT 2

Wed
2012.07.18
11:17

miroku

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確かに欲張り過ぎ

意欲は理解できるけど、詰め込み過ぎですね。
もう少しゆとりを持って、緩急をつければ、印象的な作品になったと思います。
でも、退屈させない作品。
作者の意欲が伝わって来る作品だと思います。
今度は、少しゆとりを持たせた作品が読んでみたいですね。

Edit | Reply | 
Wed
2012.07.18
23:25

翠香

URL

mirokuさんへ

やっぱり賞に応募するとなると、気合が入りすぎてしまうのでしょうか。
あの東野圭吾氏でさえ、乱歩賞受賞作はてんこ盛りでした(笑)
作家として経験を積めば、いい具合に力が抜けてくると思うのですけど。
今後がたのしみな作家さんですね(^^)

Edit | Reply | 

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