Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【剣の八】 ジョン・ディクスン・カー

 17, 2012

◆◇◆探偵がいっぱい!?◆◇◆

フェル博士シリーズ3
長編
ハヤカワ文庫 2006.3


■あらすじ

幽霊屋敷に宿泊中の主教が奇行を繰り返すという訴えがあった。主教は手摺りを滑り下りたり、メイドの髪を引っ掴んだり・・・・・・さらに彼はとてつもない犯罪がこれから起こると言っているらしい。警察はその言葉を信じていなかったが、主教の言葉を裏付けるように隣家の鍵のかかった部屋で射殺体が発見される。そして死体の側には一枚の不吉なタロットカードが!続出する不可解な謎にギデオン・フェル博士が挑む。新訳決定版。

(ハヤカワ文庫より)

■感想
テーマ読み「ナンバー」、今回は【剣の八】、ナンバーは「8」です。
フェル博士シリーズ第3弾です。

本作を読む前に、他の方のレビューで「探偵役がたくさんいる」という情報を得ていたので、
西澤作品のように、推理合戦をするのかしらん?と思っていました。
きっとそれぞれが珍説を披露して、最後にフェル博士が締めるのだろうな~と。
でもいざ読んでみると、雁首揃えて推理するという感じでもない。
言われなければ推理合戦しているとは気が付かないかもしれませんね(^^;)

物語の序盤は、カーらしい怪奇趣味の香りを感じます。
幽霊が出るという部屋で、ポルターガイスト騒ぎが起こり、
主教が階段の手すりを滑り降りたり、メイドの髪を引っ張ったりという奇行を繰り返す。
誰もが主教が幽霊に憑りつかれて頭がおかしくなっていると思い込んでいるところが笑えます。
まあ主教の奇行にはちゃんと理由があったのですけどね(^^;)
狂人の濡れ衣が晴れた後でもしばらくは、
「手すりの下にクッションを置いておくわよ!」とかいじられているのには笑った(^▽^)
主教の面目丸潰れですねぇ。なかなか親しみやすい主教様です(笑)

死体の側に八本の剣が描かれたタロットカードが置かれていた。
これを読んだとき、てっきりダイイング・メッセージかと思いました。
でもカードは被害者のものではないという。
では犯人が何らかの意図を持って置いたということになります。
タイトルにもなっているぐらいなので、タロットカードの謎は興味をそそられたのですが、
あまり大した意味もなくてがっかり

読んでから知ったのですが、本作はカー最大の駄作とまで言われているそうです。
よもやテーマ読みでクリスティとカーの駄作を拾ってしまうとは・・・とほほ
クリスティの方はそれほど駄作とも思わなかったですけどね。

カー作品の特徴の一つに「不可能犯罪」があり、密室を扱ったハウダニットが主眼となっています。
本作はハウダニットではなく、フーダニットが主眼となっており、異色作ともいえそうですね。
どうやら同時期にデビューしたエラリー・クイーンを意識したものらしい。
しかし、クイーンのロジカルな推理と比較するとどうしても見劣りしてしまいますね。
犯人には意外性がありましたが、フェル博士の推理が唐突な印象を受けてしまいます。
もう少し伏線を置いてくれたらなぁと思いますね。食事だけではなんとも心もとない。
クリスティもカーも自分の持ち味を生かした方が良かったのかもしれませんね。

前作を読んで、フェル博士はいたずら好きなお茶目な方という印象だったのですが、
今回はちょっと大人し気味でしたねぇ。
初めの登場こそ、通信講座で学んだという変装をして笑わせましたけれど。
今思えば、これはこれから起こる事件の暗喩だったのかな。

前作では気が付かなかったのですが、この作品では筆記者の存在があるようです。
筆記者の素性は一切明らかにされていないのですが・・・。
最終章では、「探偵たち」が事件について語っているのですが、
登場人物の一人が「これは最後の章なんだ。早くすっきりしたいのだよ」とか、
「あとは~1ページか2ページ使って語ってくれれば完璧だな」など、
メタ的視点になっているのが興味深かったです。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度

267267

◆冷や汗度

404404404

◆満足度

★★

■特におすすめ!

  • フーダニット(犯人当て)が好きな方
  • タロットカードに興味がある方

◆テーマ読み「ナンバー」◆
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Tag:ジョン・ディクスン・カー フェル博士

COMMENT 4

Tue
2012.12.18
21:39

miroku

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カー特有のユーモア感がそこはかとなく漂っていそうですね。
カーを読めば、現代の小説手法の原型が見えてくる。
凄い作家ですねぇ。
翠香さんのレビューを見ながら、またカーの作品を読みたくなってきました。

Edit | Reply | 
Wed
2012.12.19
23:23

翠香

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mirokuさんへ

随所に笑わせる所があって、面白かったのですけどねぇ。
ミステリとしては不発だったかな。
あまり周りを気にせず我が道を行けばよかったのかも。
でもフェル博士はお茶目なキャラクターで気に入ってます♪
また続きを読んでみよう。

Edit | Reply | 
Fri
2012.12.21
22:04

mokko

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(□。□-) フムフム

一度は読んでみたい有名どころの作品ですね
mokkoはまだ未読なんですが、
著者が怪奇趣味だったとは知らなかったので
知ってしまったからには可及的速やかに読まなければいけませんねぇ~(^◇^;)
本作はミステリとしてはちょっとダメな感じだったのですね
mokkoも最初に何を読むかを考えないと(^◇^;)

Edit | Reply | 
Fri
2012.12.21
23:05

翠香

URL

mokkoさんへ

可及的速やかに(^▽^)わはは
カーの特徴は、「怪奇趣味」プラス「不可能犯罪」ですね。
本作は、ダメというか、素材はいいのに調理方法を間違ったって感じかなぁ。
カー作品で有名なのは、『火刑法廷』や『皇帝のかぎ煙草入れ』ですかね。
私もまだ読んでいないので読まなくちゃ。
キャラ読みするならフェル博士シリーズはおススメですよ。
太っちょでお茶目な方なので、何か憎めないキャラなんですよね~(^^)

Edit | Reply | 

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