Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【かたみ歌】 朱川湊人

 30, 2013

◆◇◆異界からの使者◆◇◆

朱川湊人(シリーズ外)
連作短編集
新潮社 2005.8
新潮文庫 2008.2


■あらすじ

不思議なことが起きる、東京の下町アカシア商店街。殺人事件が起きたラーメン屋の様子を窺っていた若い男の正体が、古本屋の店主と話すうちに次第に明らかになる「紫陽花のころ」。古本に挟んだ栞にメッセージを託した邦子の恋が、時空を超えた結末を迎える「栞の恋」など、昭和という時代が残した“かたみ”の歌が、慎ましやかな人生を優しく包む。7つの奇蹟を描いた連作短編集。

(新潮文庫より)

■感想
以前、『世にも奇妙な物語』で放送された「栞の恋」がとてもよかったので、速攻買った原作本。
なのに買うと安心してしまうのが私の悪い癖で、二年以上も積読状態にf(^^;)ポリポリ

本作の舞台は昭和30年~40年代の東京下町にあるアカシア商店街。
東京オリンピックに大阪万博、グループサウンズの流行・・・とノスタルジックな雰囲気が漂ってきます。
【わくらば日記】も時代が昭和30年代だったので、朱川さんは高度成長期の昭和時代がお得意なのかな。

アカシア商店街の界隈にある覚智寺はあの世と繋がっているという噂があり、時折奇妙なことが起こります。
そして、どの短編にも登場するのが古書店「幸子書房」の店主。
芥川龍之介を白髪にしたような風貌のこの古書店主が物語の狂言回しを演じています。
ちょっと怖いけど哀しい、でも心が温かくなる・・・そんな7編の短編が綴られています。


【紫陽花のころ】
小説家志望の幸二は、比沙子とともにこの町に移り住んできた。
幸二が商店街をぶらついていると、ラーメン屋の様子をじっとうかがう若い男が。
そのラーメン屋では数週間前、強盗殺人事件が起きていた。

比沙子が警察から身を隠したのであらぬ想像をしてしまったのですが、そういうことでしたか。
夢もいつかは覚める。こうなることは必然だったのでしょう。

【夏の落とし文】
重い小児喘息を患う啓介は、ガキ大将だけど弟や妹に優しく、聡明な兄が自慢だった。
小学三年の夏休み、商店街に啓介の不幸を予言するかのような怪文書が出回る。
怪文書の主はこの界隈では見かけない少年で、夏だというのに詰襟の長袖上着を着ていた。

これはちょっと怖いお話でした。
わずか10歳の少年が色々なものを背負い込んでしまったのが不憫でなりません。
狭心な祖父に腹が立ちました。

【栞の恋】
酒屋の看板娘・邦子は、ある学生に心をときめかせていた。
その彼が古書店の本を立ち読みしていることを知り、邦子は本の間にメッセージを残すことを思いつく。
そして彼との密やかな文通が始まるのだが・・・。

このお話のみSFチックな話になっています。やっぱりこの短編が一番好きです
きれいな千代紙の裏にメッセージを書いてみたり、一番きれいに書けたものを選んだ・・・乙女心ですねぇ。
切ないお話なのだけど、邦子はきっと素敵な恋をしたのだと思います。

【おんなごころ】
スナック『かすみ草』のママ・初恵は、ダメな男と縁が切れない"おんなごころ"が理解できない。
元従業員の豊子もその一人だ。
豊子は夫が死んだ時、大変な取り乱しようだったが、意外に早く元気を取り戻した。
豊子によると初七日が過ぎた頃から、夫が家に帰ってくるのだという。

これはもうやりきれない気持ちになりますね。ダメな男は死んでもやはりダメなのか。
せめて魂だけでも男気を見せてほしかった

【ひかり猫】
漫画家を目指してアパートで独り暮らしをする「マンガ君」の友達は野良猫のチャタローだ。
ある夜、光の球が部屋の中に入ってくる。その動きはまるで猫のようだった。
この光の球はチャタローの魂なのか?

人魂ならぬ猫魂。(猫ひろしじゃないよ!)
本物の猫のようにじゃれたりするので不思議に怖さは感じません。猫も思いを残すことがあるのですね。
マンガ君と古書店主の心温まる交流もいいですね

【朱鷺色の兆】
中古レコード店『流星堂』の店主が大学生の頃の話。
何かピンク色のものを身に着けていた人が立て続けに死ぬことが起こった。
どうやら自分には死期の迫った人のサインが見えるらしい。
ある日、ピンクの帽子を被った女子高生とすれ違う。すると前方からナイフを握った男が!

これ怖いです。死のサインがピンクとは、ちょっとそぐわない気もするのですが、
もしかしてほんのり血の色が透けているのでは?なんて考えるとまた怖くなる。
でも結局、レコード店主ののろけ話でしたね(^^;)

【枯葉の天使】
覚智寺の隣のアパートに越してきた久美子は、境内に4歳ぐらいの女の子を見つける。
近くに親らしい人がいないのが気になって女の子に声をかける。
女の子は遠くから一人でお使いに来たのだという。

ここで今までの謎が一気に解けるのが圧巻です。
ここで出てくる御園さち緒という夭折の詩人のモデルは「こだまでしょうか」のあの人ですよね。
異界では皆楽しくやっているのかな。生きている我々はそっと見守られているのかもしれません。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★★

■特におすすめ!

  • 昭和30年~40年代に青春を過ごした方
  • ノスタルジックな雰囲気に浸りたい方
  • ちょっと胸キュンしたい方(*^^*)
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Tag:朱川湊人

COMMENT 4

Tue
2013.02.05
22:07

miroku

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「ひかり猫」が良いですね。
イマジネーションが本当に美しくて切ない。
「栞の恋」は、他の作家にも類似のアイデアがあるけれど、それでもこれは良い♪
この本はお気に入りの一冊です♪

Edit | Reply | 
Tue
2013.02.05
22:15

mokko

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同じく!

世にも奇妙な・・・の栞の恋を見て
たまたまブロ友さんに勧められていたので
速攻で買って読みました。
なんともノスタルジックな香りがして
ホラー系なのにホノボノしてていいですよね(o^o^o)
他の作品を読んでみたいと思いながらも
思っただけで終わってました(; ̄ー ̄川 アセアセ

Edit | Reply | 
Tue
2013.02.05
23:36

翠香

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mirokuさんへ

「ひかり猫」いいですよね~v-291ファンタジーの世界ですよね。
そもそもドラマで「栞の恋」を観て、本作を買った(速攻でw)のですが、
やっぱり「栞の恋」が一番お気に入りです♪
ドラマは邦子役が堀北真希さんで、可愛かったですよ(^^)
サリー本人が古書店主役で出ていたのにはウケた(笑)

Edit | Reply | 
Tue
2013.02.05
23:48

翠香

URL

mokkoさんへ

ドラマを観て速攻で買ったのに、2年以上も放置してしまった(^^;)
私はホラーそのものは苦手なのだけど、
これは切なかったり、心が温かくなったりで素敵な作品ですよね。

朱川作品は、やっぱりノスタルジックな香りの「わくらば日記」がおススメです。
mokkoさん、すごく気に入ると思いますよ(^^)
私はこの間、続編の「わくらば追慕抄」を買いました♪
近いうちに読みたいと思います。

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