【贄門島】 内田康夫

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By翠香

◆◇◆浅見の父が聞いた死神の声とは?◆◇◆

浅見光彦シリーズ89
長編
文藝春秋 2003.3
ジョイ・ノベルス 2005.1
  文春文庫 2006.8
  角川文庫 2009.9


■あらすじ

21年前、ボートの操舵ミスで房総の海に投げ出された浅見光彦の父は、美瀬島の漁船に助けられるが、生死の境をさまよう床の中で奇妙な声を聞いた。「こんなにつづけて何人も送ることはない」「そうだな、来年に回すか」。父は、その翌年亡くなった。父の死の謎を解くべく島を訪れた浅見の前で、知人の水死体が相次いで発見される・・・・・・。

浅見光彦が美瀬島で出会った天羽紗枝子は、謎のメッセージを残して消えた恩師・石橋洋子の行方を探していた。手がかりを求め洋子のルーツを辿るうち、水死体のひとつが発見された小田原と美瀬島がつながり、さらに不審船と北朝鮮との関係も浮上する。島の秘密に肉迫する浅見は、生きて島を出られるか。

(文春文庫より)

■テーマ
 源頼朝ゆかりの地
 北朝鮮問題

■舞台
 神奈川県小田原市
 千葉県安房郡千倉町
      夷隅郡大原町
      鴨川市
      館山市

■ヒロイン
 天羽紗枝子(24,5歳・会社員)

■感想
またしても久々の浅見光彦シリーズです(^^;)でもこのシリーズは安定した面白さがありますね。
長い遠征からホームグラウンドに帰ってきた気分です(笑)
作中の季節がちょうど9月~10月ぐらいで台風も発生するので、タイムリー過ぎて臨場感満点でした(^^;)

物語の発端は21年前に浅見の父・秀一が奇禍に遭ったボートの水難事故。
秀一は美瀬島の漁師に助けられ、そこで臨死体験をしたのだという。
夢うつつに『こんなにつづけて何人も送ることはない』『そうだな、来年に回すか』という囁き声を聞いたのだとか。
それがあたかも死神たちの声であるかのように、お告げ通りに秀一は次の年に亡くなった。

美瀬島は別名贄門島といい、房総半島の突端に近い和倉という所から連絡船で5,6分の島なのですが、
実はこの島、実在しません。
当初は実在する仁右衛門島を舞台に書くつもりだったそうですが、
憚りがあるということで「ニエモン」の音に「贄門」の字を宛てた架空の島を出現させたそうです(笑)
内田先生は実在の土地を舞台に書かれることがほとんどなので、ちょっと混乱しますよね(^^;)
美瀬島は一島一村で豊かな海産物に恵まれ、ほとんど自給自足で暮らしている独立国のような土地。
人々は穏やかに暮らし、まさに理想郷ともいえる土地なのですが、
かつては海の神様に生贄を捧げる風習があり、おどろおどろしい雰囲気も漂います。

浅見は「旅と歴史」の取材がてら父を救助したお礼の挨拶に美瀬島へ渡ります。
この後、立て続けに浅見に関わった人が二人殺されてしまいます。
もちろん浅見自身に非がある訳ではなく、一人は不運なだけだったのですが。
しかし良くも悪くも「刑事局長の弟」のイメージは付きまとってしまうのですね
いくら「兄は兄、僕は僕ですから」と言ったところで、周りの目にはそうは映らない。
光彦坊ちゃまもあれで結構大変なんです。

美瀬島には島ぐるみで抱える大いなる秘密がありました。

人にはそれぞれ知られたくないことがある

これは島に関わる人から発せられた言葉ですが、
やはり探偵というのは人の秘密を暴く侵略者なのかもしれません。
美瀬島の人々にとって浅見は異端な存在。
自分の身の危険も顧みず島の暗部に踏み込んでいく浅見には、
死ぬわけはないと分かっていてもいつ「排除」させられるかとヒヤヒヤしました

さて本作のヒロイン・天羽紗枝子は、始めは気難しい女性という印象でした。
浅見に対しても警戒心が強かったですし。
ところが心を開いたとたんに大胆に。浅見にあんなことやこんなことを・・・!ええっ!
しかし、常に受け身で逃げ腰の浅見。草食系男子にもほどがありますね(^^;)

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • 社会派志向の方
  • スケールの大きな作品が好みの方
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Comments 2

結衣  

ホームグラウンド

翠香さんに歩調を合わせて、私も読みました。
確かに「ホームグラウンドに帰ってきた」安心感、がありますね。
読者を裏切らない。

この作品はかなり「社会派」的色彩の濃いもので、作者の意見も
はっきり出ていたので、
読む人によっては意見が違う場合もあるでしょうけれど、
私にとっては自分の知らない(あまり意識していない)問題について
色々考えさせてくれるので、
このシリーズのこういう傾向のものも悪くないな……と。

それにしても浅見、これでは結婚は無理ですねぇ(^_^;)

2013/09/19 (Thu) 08:42 | EDIT | REPLY |   

翠香  

結衣さんへ

ええっ!もう読んでしまったのですか?
でも私の記事を見てから借りに行くプロセスを考えると正味一日もないですよね??
ひょっとしてサイドにある「読んでます♪」に載っているのを見て、前もって読んでました?
「歩調を合わせて」ってそういう意味だったのかな・・・。
ちょっと混乱しています(^^;)

北朝鮮問題は日本人としては無関心ではいられないテーマだと思いますよ。
近年の内田作品はスケールの大きなものに移行してきていますが、
個人的には初期の作品のほうが好みです。

う~ん、私は浅見が結婚したときはシリーズが終わるときだと思っていますので、
じれったくても何でもこのまま独身でいくしかないでしょうね(^^;)

2013/09/21 (Sat) 00:18 | EDIT | REPLY |   

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