Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

ミステリ小説・ドラマ・映画のレビューと、フィギュアスケートに関する話題について。ド素人なので初心者にも分かりやすく、楽しくを心掛けていきたいです。

Take a look at this
トップ > 宮部みゆき > 【淋しい狩人】 宮部みゆき

【淋しい狩人】 宮部みゆき

 20, 2013

◆◇◆本にまつわる悲喜こもごも◆◇◆

宮部みゆきシリーズ外
短編集
新潮社 1993.10
  新潮文庫 1997.1


■あらすじ

東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの一階に店を構える田辺書店。店主のイワさんと孫の稔で切り盛りするごくありふれた古書店だ。しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挾まれていた名刺。父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。ブッキッシュな連作短編集。
(新潮文庫より)

■感想
ドラマ化の話を聞き、急遽読んでみました。放送はつい先ほど終わってしまいましたけどね(笑)
ドラマのレビューは後日アップしたいと思います。

舞台は東京下町にある古書店『田辺書店』。
切り盛りしているのは雇われ店主のイワさんと週末だけ手伝いにくる高校生の孫・稔。
始めのうちはイワさんと稔のやりとりにほのぼのしたのですが、
中盤から稔が水商売の女性と付き合うようになり、イワさんと稔の間に溝が。
稔が、離れてゆく。──この一文にイワさんの悲哀が込められているように思います。
本作は6編からなる短編集です。それぞれ本にまつわるお話になっていますが、
実存する作品ばかりではないので、読書案内としての意味合いはあまりありません。
現実は思い描くよりもつまらなく、そして厳しい。
それぞれの事件には暗い余韻を残しますが、それをふんわりと受け止めるイワさんがいいですね


【六月は名ばかりの月】
妙な男に尾けられて田辺書店に逃げ込んできた鞠子が再び来店した。
彼女の姉が4か月前に失踪したといい、失踪直前に『歯と爪に気を付けなさい』と言われたという。
また鞠子の結婚式の引出物にした小説の表紙に『歯と爪』という落書きがされていた。

ビル・S・バリンジャーの【歯と爪】がキーアイテムになっています。
といっても作品の内容には特に関係ないので未読でも問題ありません。
落書きのトリックはちょっとガリレオっぽくって興味深かったです。
それにしても何とも嫌な事件でしたね。


【黙って逝った】
路也は父の葬儀の後、本棚を見て唖然とする。雑多に詰め込まれた文庫本や雑誌がきれいになくなり、
代わりに302冊の『旗振りおじさんの日記』という本が収められていたのだ。
さらに部屋の中を探すと押し入れに12万円が・・・父はいったい何をしていたのか?

路也の妄想が笑えた(^▽^)現実はなーんだというものでしたけどね(^^;)
でも自分は全く悪気はなくても他人には不都合になることもある。
ブログで日記を書いている方・写真を載せている方は気を付けましょう


【詫びない年月】
柿崎家のご隠居さんは、毎夜見知らぬ母子の幽霊が夢枕に立つことに悩まされていた。
そこで長い間渋っていた建て替えを決意したのだが、
敷地内に防空壕の跡が見つかり、中には母子の遺骨が・・・。

ちょっとホラーっぽいお話でしたねぇ(^_^;)
本にまつわるエピソードもありますが、メインの事件との関わりはなかったですね。
ご隠居さん、長い間秘密を抱えているのは辛かっただろうなぁ


【うそつき喇叭】
田辺書店で小学生の男の子が万引きをした。盗もうとしていたのは『うそつき喇叭』という本。
ところが男の子の身体には無数の痣があった。しかし男の子は誰にやられたのか言おうとしない。

これは痛ましかったですね。罪のない子供を虐待する大人・・・許せません
男の子の心の声をきちんと拾ってあげたイワさん、さすがです。


【歪んだ鏡】
由紀子は電車の網棚の上に置かれた文庫本を拾った。その本のタイトルは『赤ひげ診療譚』。
頁を開くと中に1枚の名刺が挟まれていた。
この名刺を挟んだ人はどんな人だろう。由紀子の妄想は限りなく広がっていく。

物語のシチュエーションが朱川湊人さんの『栞の恋』(【かたみ歌】収録)を彷彿とさせますが、
ここでは残念ながらそんなロマンチックな話にはなっていません(^^;)
でも小説の登場人物に励まされることはありますよね。
名刺の彼は気の毒だったけれど、由紀子にとっては本との良い出会いだったのですね。


【淋しい狩人】
推理作家安達和郎が失踪して12年が経った。
失踪時に執筆していた『淋しい狩人』は、解決編のない未完のまま世に出されたのだが、
安達家に妙な葉書が届いた。自分は結末を推理した。それを現実世界で再現するという。
果たして『淋しい狩人』と同様の殺人事件が起こる。

いわゆる模倣犯ですね。こういう思い込みの激しい人ってヤバい。
イワさんと稔もとんだとばっちりでしたね。
稔の恋は一応の決着を見ます。そうやって少しずつ大人になっていくのですね。


※ドラマは表題作の【淋しい狩人】を元に作られたようですが、
 設定・展開等はかなり変えられています。

■評価(5個が最高)

 ◆トリック度267267
◆冷や汗度404404404
◆満足度★★★

■特におすすめ!

  • 古書店が好きな方
  • 手軽に読めるミステリをお探しの方
スポンサーサイト

最後までお読みいただきましてありがとうございました。
ランキングに参加しています。下のバナーをクリックして応援お願いいたします。
ブログランキング・にほんブログ村へ      blogramのブログランキング  

Tag:宮部みゆき

COMMENT 0

コメント&トラックバックに関する注意

コメントについて

他者を誹謗・中傷、宣伝目的、公序良俗に反する書き込みは固くお断りします。
そのような書き込みは管理人の判断で削除いたします。
また、作品を未読の方もご覧になりますので、ネタバレにはご注意ください!
くれぐれも犯人の名前やトリックなどを書き込まないように願います。
どうしてもネタバレの内容を語りたい方は、SECRET(管理者にだけ表示を許可)にチェックを入れて
ナイショのコメントにしてくださいね。

トラックバックについて

言及リンクのないトラックバックは受け付けません。
言及リンクとは、トラックバック元の記事(貴方が書いた記事です)に
当記事へのリンク及び当記事の紹介(または感想)が含まれているものを指します。
それ以外はトラックバックスパムと見なす場合があります。
トラックバックスパムと見なされた場合、予告なく削除することがあります。

なお、コメント・トラックバックともにスパム防止のため承認制を採らせていただいています。
記事に反映されるまで時間がかかることがありますが、しばらくお待ちくださいね(^^)
また、コメント・トラックバックのルールについては、
Love knot~ミステリ&フィギュア通信~の歩き方にも記載しておりますので、
合わせてご一読ください。

WHAT'S NEW?