Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【哲学探偵】 鯨統一郎

 11, 2013

◆◇◆競馬+短歌+哲学=事件解決!◆◇◆

鯨統一郎(シリーズ外)
短編集
カッパ・ノベルス 2008.9
  光文社文庫 2011.9


■あらすじ

大富豪の若い妻が、興奮剤による心臓麻痺で死亡した。自殺なのか殺人なのか。難事件を専門に扱う特捜班に所属する高島警視と久保主任の意見は対立する。行き詰まった二人がたまたま訪れた競馬場で出会ったのは、哲学好きで短歌趣味の馬券師。哲学的視点を三十一文字にこめて馬券師が披露する驚愕の推理とは!?(「世界は水からできている」)。鯨ミステリーの真骨頂!
(光文社文庫より)

■感想
テーマ読み「探偵」7番手は、【哲学探偵】です。
「しゃべくり探偵とは軽薄な。人間は考える葦である。われ思う、ゆえにわれ在り」ブツブツ・・・
おいおい、今度のは何か訳の分からないことをつぶやいているぞ。え?哲学探偵?もっとまともなのはいないのか!

8編の短編はいずれも高島友之警視が競馬好きの久保四郎警部に連れられ、競馬場で事件の話をしていると、
藍色スーツの男が現れ、事件の謎を解いてしまうというパターンになっています。
高島は26歳にして警視なので、いわゆるキャリア組。一方、久保は定年間近で警部。ノンキャリです。
一時的に久保が高島の上司だったこともあるとか。二人の関係は結構微妙ですね(^^;)
この2人が所属するのは難事件を専門に扱う特別捜査班で人員は彼ら二人だけ。
ちょっと二人の階級が高すぎでは?しかも閑職であるらしい。まるで「相棒」の特命係ですね(^^;)
対して藍色スーツの男は名乗りもせず、白髪だけど顔には皺一つない、
老人なのか若いのかはっきりしない謎の人物。
主要レースには足を運び、大穴を当てまくっては美女と豪遊しているらしい。
競馬と短歌という共通の趣味で久保と謎の男は意気投合し、
合理主義の高島が冷やかに見ているという図式です。
なので久保は謎の男に事件の話をペラペラとしゃべってしまう。(いいのか?)
というより、何かと理由をつけて競馬場にやってきては謎の男の登場を待っているようです。
藍色スーツの男は哲学者の名言を引用し、哲学短歌なるものを詠んで事件の謎を解きます。
競馬と短歌と哲学・・・何とも珍妙な組み合わせですね(^^;)
各短編は40ページ位ですが、不可能犯罪を扱っているものが多く、あっさりだけど読みごたえありました。


【第一話 世界は水からできている(タレス)】
老実業家の若妻が興奮剤が大量に入った酒を一気飲みし、心臓麻痺を起こして死んだ。
死んだのが実業家の方なら妻が財産目当てで殺したと思われるが、実業家には妻を殺す動機は見当たらない。

何故妻が死ぬことになったのかはおおよそ分かると思います。
でも背景に若妻を貰った老人の心理が隠されていたのですね。ちょっと切ないです。


【第二話 汝自身を知れ(ソクラテス)】
ビル会社の専務が殺された。遺体を確認した妻は夫に間違いないが、
事故で切断したはずの左手の小指が生えていると仰天の発言をした。

プラナリアじゃないので小指は生えてきません(^^;)まあありがちなトリックでしたけど。


【第三話 われ思う、ゆえにわれ在り(デカルト)】
松永は上野駅構内で若い男からトイレに行く間バッグを預かってくれと頼まれる。
なかなか戻ってこないので様子を見に行くと、その男はめった刺しにされて殺されていた。
しかも凶器は松永が預かったバッグの中にあった!

これぞ不可能犯罪!凶器がバッグにテレポーテーション!
人のいい松永さん、災難でしたねぇ(^^;)しかし犯人、随分と面倒なことをしたものです。


【第四話 人間は考える葦である(パスカル)】
山井興業の一人娘マリと虎泉組の一人息子直也は好きあっていた。
両家は抗争中の暴力団同士。マリは若頭に直也とのことを打ち明け、父親に説得を頼もうとするのだが・・・。

ヤクザ版ロミオとジュリエット?これも悲恋で終わるのだけど、あまりにグロすぎる・・・。
いや~ここまでやりますかね?おぞましい。


【第五話 純粋理性を求めて(カント)】
アナウンサーの転落死、銀行常務の病死、広告代理店社員の事故死、電工会社社員の火災死
──これら全て新興宗教<魔魚の証>の教祖が呪い殺したのだという。
何故自分が殺人犯になりかねない犯行声明を出したのか?

なるほど「木は森に隠せ」ですね。
嘘で嘘を塗り固めるといいますが、インチキでインチキを塗り固めたのか・・・しょーもない(^^;)


【第六話 厭世主義(ペシミズム)の暴走(ショーペンハウアー)】
イラストレーターの高久は自宅でバーベルに頭を打ち付け死亡した。
転んだだけでそんなに強く頭を打つものなのか?しかし部屋の鍵は全て内側から掛けられていた。

本当にこんなことが出来るのか甚だ疑問なのですが・・・。
というよりミステリ的には反則じゃないですかね?(^^;)


【第七話 神は死んだ(ニーチェ)】
小学生の頃の仲良し5人組は20年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こした。
壺の中には仲間の一人の生首が!
生首の主は殺されたばかりだが、タイムカプセルを事前に掘り起こした形跡はなかった。

今度は生首がテレポーテーションか?タイムカプセルってよくミステリのネタになりますよね。
誰にも知られたくない秘密は自分でしっかり管理しましょう


【第八話 存在と時間の果てに(ハイデッガー)】
<ファンタジア>のナンバーワンホステスのルミが店の控室で殺された。
隣のビルにあるバー<きく野>のナンバーワンホステス由衣は
自分の客をルミに奪われたことで恨んでいたようなのだが、アリバイがあった。

隣同士のビルの同じ階というのがポイントですね。都内の雑居ビルは結構ひしめいて建ってますから・・・
でもそんな上手くいくかな?
藍色スーツの男も最後にはツキに見放されたかな?

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267267267267
◆冷や汗度404404
◆満足度★★★

■こんな方におすすめ!

  • 競馬が好きな方
  • 哲学が好きな方

◆テーマ読み「探偵」◆
テーマ読み「探偵」

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Tag:鯨統一郎

COMMENT 4

Sat
2013.12.14
23:06

mokko

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て・・・

哲学ですか?
何て難しそうなものを読むんですかぁ~と思ったら
短編集だったのですね・・・
競馬と短歌と哲学の組み合わせって・・・
( ̄ヘ ̄;)ウーン
やはり難しそうです(^◇^;)

Edit | Reply | 
Sun
2013.12.15
17:57

翠香

URL

mokkoさんへ

そんな難しくないですよ~だって鯨さんだもん。
競馬と短歌と哲学について噛み砕いて説明されているので、なるほど~って感じでした。
特に競馬については全くやらないので、賭け方とかレースの特徴とか勉強になりました。
でも「邪馬台国はどこですか?」のような歴史珍説の方が楽しかったな~
新年に「邪馬台国は~」の続編を読もうと思ってます(^^)

Edit | Reply | 
Thu
2014.02.13
09:04

結衣

URL

何とも(*_*;

いやいやなかなか(^_^;)
どうして作者は、こんな変な3つの取り合わせを思いついたのでしょうね。
私は短歌はもともと好きで、哲学と競馬にもまあまあ興味はあるので、
結構面白く読みましたが、これ、かなり読者を限定しません?
翠香さんのこのブログに出会っていなければ、この本を読む機会も
なかっただろうなあ、と思います。
いやいやなかなか(^_^;)

Edit | Reply | 
Thu
2014.02.13
16:55

翠香

URL

結衣さんへ

> どうして作者は、こんな変な3つの取り合わせを思いついたのでしょうね。
それはズバリ「鯨さんだから」(笑)
鯨さんの作品は変てこりんなものが多い…もとい、変てこりんなのしかないw
歴史がお好きでしたら、『邪馬台国はどこですか?』は珍説が披露されていて面白いですよ。
『ミステリアス学園』は本格ミステリのガイド本としても役立つと思います。
ちなみに競馬に興味があるのでしたら、岡嶋二人さんの『焦茶色のパステル』がおススメです(^^)

Edit | Reply | 

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