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【黒猫の遊歩あるいは美学講義】 森晶麿

 03, 2014

◆◇◆満たされぬ愛のかたち◆◇◆

黒猫シリーズ1
短編集
早川書房 2011.11
  ハヤカワ文庫JA 2013.9
20第1回アガサ・クリスティー賞受賞作


■あらすじ

でたらめな地図に隠された意味、しゃべる壁に隔てられた青年、川に振りかけられた香水、現れた住職と失踪した研究者、頭蓋骨を探す映画監督、楽器なしで奏でられる音楽・・・・・・日常に潜む、幻想と現実が交差する瞬間。美学・芸術学を専門とする若き大学教授、通称「黒猫」と、彼の「付き人」をつとめる大学院生は、美学とエドガー・アラン・ポオの講義を通してその謎を解き明かしてゆく。第1回アガサ・クリスティー賞受賞作。

(ハヤカワ文庫より)

■感想
アガサ・クリスティー賞が創設され、記念すべき第1回の受賞作ということで、期待して読んだのですが・・・。
うーん、なんか微妙(^^;)

まず人物造形がラノベかマンガっぽい。
探偵役は通称「黒猫」と呼ばれており、本名は明らかにされていません。
彼の奇抜な論理の歩き方を評して黒猫と呼ばれるようになったというのですが、
どうしてそれが黒猫なのでしょう??
ポー作品をモチーフにするという前提があるので、どうしても「黒猫」にしたかったのでしょうね。
この黒猫、24歳にして教授職に就いた天才でイケメン、ピアノや料理も得意って
・・・スーパー過ぎやしませんか?
ちょっと皮肉屋だけど、さりげない優しさがあって・・・まるで少女マンガの主人公が恋する男の子だなぁ(^^;)
この作者、漫画脚本も手掛けているそうで、なるほど納得です。

そして少女マンガの主人公を地で行くのが、ワトソン役を務める黒猫の「付き人」で大学院生の女性。
なんとこの女性も本名が明らかにされていません。
探偵譚の記述者が黒子役に徹する為にあえて名を明かさないことはあるのですが、
探偵も助手も名を明かさないってどうなんでしょ?

次に内容が難解極まること。
タイトルに「美学講義」とあるように、黒猫から数々の美学講義がなされるわけなんですが、
これが非常に難解で、一度読んだだけではさっぱり頭に入ってきませんorz
巻末に主要参考文献が載っているのですが、かなりの点数があります。
「主要」と言っているからには、実際にはもっとたくさんあるのでしょう。
ある程度美学や芸術について、大学等で勉強している方でないと内容についていけないと思います。
ところが本作を読んだ多くの人が好意的な感想を持たれているのですよね。
でもよくよくレビュー内容を見てみると、「美学講義」の部分は思いっきりスルーしているらしい(^^;)
この作品の難解部分を排除してしまえば、黒猫と付き人の恋人未満の関係にキュンキュンしてしまう、
ラノベに変容してしまうのでしょう。そんなところが受けているのかも。
だけど作者としては、多くの文献をひも解いて書き上げた力作なのに、
主要部分をスルーされて高評価を受けるというのはどうなんだろう・・・。

そして肝心のミステリ要素なのですが、ジャンルとしては日常の謎系になると思います。
日常の謎が悪いとは言いませんが、アガサ・クリスティー賞にしては小粒な感が否めないですね。
また謎の当事者の行動原理が観念的で読み終わってももやもや感が残ります。
6編の短編はいずれも成就することのない愛をテーマにしているのですが、
何でそんな小難しく考えるのだろうと思ってしまいます。
特に第1話の『月まで』と第4話の『秘すれば花』は全く意味不明(^^;)
読者が一緒に推理を楽しむ余地は全くありません。

作品全般にポーの著作を土台にして物語を展開しているので、
解決をポーの著作や美学へと結び付けようとする強引さも目立ちます。
ポー作品のネタバレが一部ありますが、私は『黄金虫』も『大鴉』も読んでいなかったけれど大丈夫でした。
(内容が難解すぎてネタバレと気付かなかったのかもしれませんが^^;)
ただ『黒猫』についてはハッキリネタバレしていますので、注意が必要です。
最低でも『黒猫』と『モルグ街の殺人』ぐらいは前もって読んでおく方がいいと思います。

このシリーズ、続編が第4作まで刊行されているようですが、
この調子で美学講義をされるのはキツいので、続編は多分読まないかも(^^;)
ただこの方、文章はやや硬いものの上手なので、他の著作なら読んでみようかなと思います。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

  ◆トリック度 267
◆冷や汗度 404404
◆満足度 ★★☆

■こんな方におすすめ!

  • 美学・芸術について勉強されている方
  • エドガー・アラン・ポーの『黒猫』、『モルグ街の殺人』を読まれている方

■参考

▲黒猫にまつわる短編集。本作の予習にどうぞ
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Tag:森晶麿 アガサ・クリスティー賞

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