Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【楽園のカンヴァス】 原田マハ

 15, 2014

◆◇◆真夏の夜の夢◆◇◆

原田マハ(シリーズ外)
長編
新潮社 2012.1
  新潮文庫 2014.6
20第25回山本周五郎賞受賞作
  20雑誌ダ・ヴィンチ プラチナ本OF THE YEAR2012
  20王様のブランチ BOOKアワード2012大賞


■あらすじ

ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは──。山本周五郎賞受賞作。
(新潮文庫より)

■感想
新潮文庫の100冊 2014対象本。
以前「王様のブランチ」で紹介されたのを見て、ずっと読みたいと思っていた作品です。
この夏、待望の文庫化、そしてフェア対象本となったのを受けて、早速手に取りました。

早川織絵は大原美術館で監視員をしながら、母と高校生の娘と3人でひっそりと暮らしていた。
そんな織絵の元に思いがけない話が舞い込む。
新聞社と東京国立近代美術館がアンリ・ルソーの展覧会を企画しており、
ニューヨーク近代美術館(MoMA)所有の『夢』を借り受けたいと打診をしたところ、
MoMAのチーフ・キュレーターであるティム・ブラウンから
「オリエ・ハヤカワを窓口にするなら交渉に応じる」との返答があったという。
実は織絵はその昔、国際美術史学会を騒がせた新進気鋭のルソー研究者だったのだ。

そして物語は17年前に誘われていきます。
ここでは当時MoMAのアシスタント・キュレーターだったティム・ブラウンの視点で進んでいきます。

ティムはボスのトム・ブラウンと名前が一文字違いの上、若作りのトムと比べて老け顔の為、
何かと間違われることが多く、その度に忸怩たる思いを味わっていた。
ある日、ティムの元に一通の招待状が届く。
差出人は伝説の美術品コレクター、コンラート・バイラー。
バイラーが所有している秘宝のルソー作品を調査してほしいというのだ。
これはおそらくボス宛てに来たものであろう。
しかしルソーの隠れた名作を借り受けることに成功したら・・・これはまたとないチャンスだ。
ティムはバイラーの住むスイス・バーゼルへと旅立つ。

ところがバイラーが招いたのはティムだけではなく、早川織絵もいた。
二人は問題のルソー作品『夢をみた』を見て息を飲む。
それはMoMA所有の『夢』と見紛うほどに酷似した作品だったのだ。
バイラーの依頼は謎の古書を一日一章ずつ読み、7日目に作品の真贋を判定する。
より優れた講評をした者に作品の取り扱い権利(ハンドリングライト)を譲渡するというもの。
かくしてティムと織絵の一騎打ちが始まった!

登場人物が生き生きとしているのがいいですね。特にティムがいい。
ティムはちょっとした野心からボスのトムになりすましてバイラーの招待を受けるのですが、
MoMAのチーフ・キュレーターらしく見えるように立ち振る舞ったり、トムのサインの筆跡を真似てみたり、
精一杯虚勢を張っているのが笑える(^▽^)でも実はバレバレだったのだけど(笑)
ティムは問題の作品に籠められた秘密と、この作品を巡る人々の思惑に翻弄され、
同時に織絵に密かな恋心を抱き、苦悩します。
ティムがどういう判定を下すのか、そしてバイラーがどちらを勝者とするのかが最大の見所ですね。

また作中作となる謎の古書は、晩年のルソーを描いた物語になっています。
日曜画家と嘲笑され、不遇のまま生涯を終えたルソーですが、
この物語を読むときっとルソーのことが好きになるはずです。
この作中作の作者は誰なのかも見どころの一つといえるでしょう。
ただ章の末尾のアルファベットがかなり意味深でしたが、ちょっと不発だったかな。
そしてバイラーの正体についてはあまり深く考えていなかったので驚きました。

作中にたくさんの絵画が登場しますが、どんな作品か見ながら読むと理解が深まると思います。
この記事に画像を添付しようと思って調べてみたら、ちゃんとまとめている方がいたのですね。
↓こちらをご参考にどうぞ。
原田マハ著『楽園のカンヴァス』に登場する絵画のまとめ - NAVER まとめ

この本を読んだら『夢』の実物を観てみたくなりました。
でもニューヨークにはそうそう行かれないし、日本にいつやってくるかも分からない。
せめて近場の美術館にでも行ってみようかな。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267267
◆満足度★★★★

■こんな方におすすめ!

  • 美術ミステリーが好きな方
  • 絵画が好きな方
  • この夏に読む本をお探しの方
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Tag:原田マハ 新潮文庫の100冊 山本周五郎賞

COMMENT 2

Fri
2014.08.29
08:38

結衣

URL

興味深い……

とても興味深い作品でした。
美術の鑑定にまつわるミステリーと言えば、
画風やキャンバス等の画材、署名、などで真偽を
判定するものかと思っていましたが、「物語」を
読んで判定するとは……。
そういう意外性に加えて「物語」そのものにも
引き込まれました。

確かに本を読んでいると絵を観たくなりますね。
作中の絵画をまとめたサイトも紹介していただき、
ありがとうございました。

Edit | Reply | 
Sat
2014.08.30
00:24

翠香

URL

結衣さんへ

私も初日に実物をチラッと見せただけで、物語を読んで判定せよとは
無茶振りだな~と思っていましたけど、
もはや作品の真贋などは問題ではなく、
ルソーの生き様を著した伝記のような物語が主眼でしたよね。
私は作品をあるべきところへと配慮したティムがカッコいいと思いました。

Edit | Reply | 

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