Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【下鴨アンティーク アリスと紫式部】 白川紺子

 15, 2015

◆◇◆アンティーク着物にまつわる謎◆◇◆

白川紺子(シリーズ外)
短編集
集英社オレンジ文庫 2015.1


■あらすじ

京都、下鴨──。高校生の鹿乃は、旧華族である野々宮家の娘だ。両親を早くに亡くし、兄の良鷹と、准教授をしている下宿人の慧と三人で、古びた洋館に住んでいる。アンティーク着物を愛する鹿乃は、休日はたいてい、祖母のおさがりの着物で過ごす。そんなある日、「開けてはいけない」と言われていた蔵を開けてしまう! すると、次々に不思議なことが起こって…!?
集英社オレンジ文庫より)

■感想
黒い表紙が続いてしまうので、ここらでちょっとインターバル。
井上のきあさん(ガーリーデザインで有名な方です)のイラストで一気に華やかになりましたね(^^)

本作は集英社オレンジ文庫という、新ライト文芸レーベルが今年の1月に創刊され、
創刊ラインアップの1冊に挙げられていたもの。
サブタイトルの「アリスと紫式部」に惹かれてこれを選びました。

著者の白川紺子さんは、略歴によると、コバルト文庫などで活躍されている方だそうです。
そしてライト文芸レーベルとくれば・・・やはり乙女チック全開でした(^^;)
主人公の鹿乃の置かれている環境がこれがもう、たまらん(≧▽≦)
兄の良鷹は白皙の美青年なのですが、家ではぐうたら、古美術商を営み、一応鹿乃の保護者代わり。
下宿人の慧は兄の大学時代の同級生で、私立大学で近世文学を教える准教授。
これまたイケメンで、レポートの採点は厳しいらしいが、女子学生に人気だとか。
つまり鹿乃はイケメン男子二人と一つ屋根の下で暮らしているのですよ。(慧は離れに住んでいるけどね)
しかも鹿乃は慧にほのかな恋心を抱いているし。
慧は不幸な生い立ちのせいか、ちょっと影があって、近寄り難い雰囲気を持っています。
何となく学生アリスの江神さんを思い起こさせますね。
さらに近所には涼やかな顔立ちの春野という大学生が住んでいるという。
彼は自宅の庭で薔薇を育てていて・・・ってアンソニーか!(注:キャンディ・キャンディの登場人物です)

そんな甘々な設定なのですが、舞台が京都のせいか、はんなりとした上品さが漂います。
京都弁も柔らかくていい感じですね(^^)
また、源氏物語やシェークスピア、能や俳句などの知識が謎解きに絡んでくるので、
格調高さも感じますね。

謎は全て着物にまつわるもの。
着物の絵柄が突然変わったり、泣き声が聞こえたりという超常現象が起きているのですが、
持ち主の強い思いからそういう現象が起きるのだと受け止め(つまり科学的な解明はしない)、
持ち主の思いとは何なのか、どうしたら元に戻るのかという視点に立って推理を進めていきます。
途中までは慧が文学の知識を動員して推理を進めますが、最終的に謎を解くのは鹿乃の役目です。
ファンタジー要素が強いので、謎の解明がしっくりはまるという感じではないですね。

ちょっとミステリー、
ちょっとファンタジー、
ちょっとロマンス
というレーベルのコンセプト通りの作品ですね。
ラスト、これという進展の無いままあっさり終わってしまったので、もしかすると続編があるかも。


◆アリスと紫式部
祖母から蔵を開けてはいけないと言われていた意味を取り違えていた鹿乃は、
中の着物を虫干しする為に蔵を開けてしまう。
しばらくすると、着物を虫干ししていた部屋から怒号やら悲鳴が聞こえてきた。
慌ててドアを開けると、着物に描かれた二台の源氏車のうち一方が壊れていた!

源氏物語の『葵上』の一節、祭見物での車争いの場面ですね。
ここでの解決方法は一つの解釈としてはなるほどとは思いますが、
明確な答えがあるわけではないので、今一つしっくりこない。
アリスはあんまり関係なかったですね(^^;)


◆牡丹と薔薇のソネット
長襦袢から女性のすすり泣く声が聞こえてきた。
襦袢に描かれているのは『牡丹灯籠』──幽霊画だ。
鹿乃は衿の中に紙切れが縫い込まれているのを見つける。
十数枚の紙切れには宛て名と数字が書かれていた。何かの暗号なのか?

暗号解読の鍵はシェークスピア。
短編のタイトルからピンとくる人もいるでしょうね。(私は全く知りませんでした^^;)
ここで「薔薇の君」春野くんと出会います。
彼は女たらしだと警戒する良鷹と慧は、鹿乃のお父さんのよう(笑)
もっとも慧の方はちょっと複雑みたい。


◆星月夜
鹿乃は祖母から、祖母の日記をヒントに、蔵の中にひとつだけある祖母の着物を当てよという宿題を出される。
もし当てられなかったら、蔵の着物は焼いて処分せよという。
大事な着物を焼いてしまう訳にはいかない。鹿野は祖母の日記に取り組む。
また近頃、家の周りでよく見かける白猫の存在が気になる。

お祖母ちゃんとお祖父ちゃんの新婚当時のエピソードがなんともくすぐったい(〃▽〃)
意地っ張りでなかなか素直になれない、若かりし日のお祖母ちゃんが可愛らしい。
この短編のみハッピーなお話なので、これが一番好きです。
星月夜の着物、きれいでしょうね。見てみたいです(^^)
まだしばらくは白猫は鹿乃の側に現われそうですね。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267
◆満足度★★★☆

■こんな方におすすめ!

  • 女性の方
  • ファンタジーが好きな方
  • アンティーク着物が好きな方
  • 京都が好きな方
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Tag:白川紺子 京都 集英社オレンジ文庫

COMMENT 2

Sun
2015.03.29
08:31

mokko

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突っ込みが・・・

アンソニーか!ってところで吹きました(○ ̄m ̄)
珍しく軽くて不思議系な作品を読まれましたねぇ
mokko的には古美術と着物とイケメンで全てOKですけど(^◇^;)
気分転換には楽しそうな作品ですね
これはちょっとチェックです( ̄ー ̄)ニヤリ

Edit | Reply | 
Sun
2015.03.29
23:56

翠香

URL

mokkoさんへ

いや~アリスと紫式部とアンティークに惹かれたのですが、
まさかそんな不思議系だとは思わなかったのですよね(^^;)
薔薇を育てていると聞き、咄嗟に浮かんだのがアンソニーだったもので(笑)
春野くんはちょっとプレイボーイな感じですね。
私は江神さんっぽい雰囲気の慧が好き。
これきっとmokkoさんの好みだと思いますよ(^^)

Edit | Reply | 

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