Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【幻視時代】 西澤保彦

 28, 2015

◆◇◆理性と誘惑の境界線◆◇◆

西澤保彦(シリーズ外)
長編
中央公論新社 2010.10
  中公文庫 2014.9


■あらすじ

撮影時点の四年前に亡くなっていた同級生が写りこんだ古い写真。これは心霊写真か、それとも……? 同じ文芸部から美少女高校生作家として鮮烈なデビューを飾った彼女の、突然の怪死には、何が隠されていたのか。二十二年後に集まった部員たちによる怒涛の推理合戦が、いま始まる!
(中公文庫より)

■感想
本屋で平積みされていた中で一際目を惹いたこの表紙。
西澤先生の新刊だったので、手に取って読んでみました。
タイトルと表紙イラストから超能力少女のイメージを受けますが、超能力は出てきません。

時は1992年9月12日。鵜久森市を震度7強の地震が襲う。
その当時を切り取った1枚の写真の中にありえない光景が。
撮影から4年も前に亡くなったはずの女子高生が写っていたのだ!

・・・といきなりホラーっぽい出だしですね。
物語はここからさらに過去へ飛びます。

1986年4月。矢渡利悠人は私立尾曽越学園高等部に入学、
SFとミステリが好きだった為、文芸部に入部する。
そこで知り合ったのが風祭飛鳥─かの写真の少女だ。
熱心に創作に取り組んでいた飛鳥は、ついに小説新人賞を射止め、文壇デビューを果たす。
彼女の未来は前途洋々のはずだったが、1988年10月31日、飛鳥の自宅から出火、
彼女は包丁を突き立てられた遺体で発見された・・・。
そして4年後、悠人はかつての恩師・白洲から衝撃的な告白を受ける。
その直後、大地震が起き、白洲は帰らぬ人に。

ここまでで第三部、実に全体の半分以上を費やしています。
ショッキングな事件は起きるものの、青春小説かはたまた純文学といった趣きで、
悠人が飛鳥に惹かれていく様子や、ちょっとした出来心であることを犯してしまった悔恨の念が綴られています。
実はここまでがミステリとしての「問題編」で、
第四部以降がシンキングタイム─西澤作品ではおなじみの推理合戦が始まります。
あらすじの「二十二年後に集まった部員たちによる」という表現はちょっと語弊がありますね。
集まった部員は悠人と後輩のオークラこと生浦蔵之介だけですから。
あとは出版社の女性編集者・長廻玲(ながさこ・あきら)を加えた3人のみ(^^;)

飲み食いしながら、誰かが仮説を立てては別の誰かが覆すという応酬は相変わらず楽しいのですが、
いかんせん問題編が冗長すぎるので、推理合戦が始まる前に焦れてきてしまった(^^;)
推理の核となる謎は「誰が飛鳥を殺したのか?」「写真の飛鳥の正体は?」の二点なのですが、
当事者の飛鳥も真相を知る白洲も亡き今となっては、
いくら推理を突き詰めたところで想像の域を出ないのが少々弱いところで、
明確な「解答編」がある訳ではありません。
飛鳥視点のエピローグがある為、最終結論が真相で間違いはないのでしょうが、
それだとやはり写真の飛鳥の存在が不自然になってしまう
ここは有耶無耶にせず、「幽霊」に真相を語らせるべきだったのではないでしょうか。
タイトルも「原始時代」を捩ったのかと思わせ、あまりしっくりこないですね。
作中作のタイトルのほうがふさわしかったように思います。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267267
◆満足度★★★

■こんな方におすすめ!

  • 西澤作品が好きな方
  • クイズが好きな方(作中に文芸クイズがあります)
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Tag:西澤保彦

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