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【競作 五十円玉二十枚の謎】 若竹七海ほか

 19, 2015

◆◇◆プロ・アマ作家、推理の饗宴!◆◇◆

若竹七海ほか
アンソロジー
創元推理別巻 1993.1
  創元推理文庫 2000.11


■あらすじ

店に入るなり男は一散にレジを目指し、五十円玉二十枚を千円札に両替してくれと言う。渡された札を奪うように受け取ると慌てて出て行く。本屋のアルバイト嬢に忘られぬ印象を残した、土曜日の珍客。爾来、彼女が友人知人にこの謎めいた両替男の話題を提供するたび談論風発、百家争鳴すれど決定打は出ないまま。……という紆余曲折を経て成立した、世にも珍しい競作アンソロジー
(創元推理文庫より)

■感想
今回はちょっと毛色の変わったアンソロジーをご紹介。
発端は、若竹七海氏が大学生の時にアルバイトをしていた書店で遭遇した謎でした。
風采の上がらない中年男が毎週土曜日に50円玉20枚を握りしめ、千円札と両替しに来るという。

  1. 何故本屋で毎週50円玉を千円札に両替するのか?
  2. 50円玉はどうして毎週彼の手元に20枚もたまるのか?

この謎に悩み続けて10年、若竹氏は作家仲間が集まった折にこの話をし、お知恵を拝借・・・と思っていたら、
あれよあれよという間に競作の企画が持ち上がり、ついには一般公募をするに至ったという訳です。

いや~実にバラエティに富んだ面白い作品が並びました
同じ素材でも調理方法によってこんなに変わってくるものなのですね。
以下にそれぞれの作品についての感想を──。


◆解答編──土曜日の本 法月綸太郎
 作家名と作品名のパロディに物凄い字を宛てているので大ウケ(^▽^)
 サイバー歴史推理『マジック三井寺』の蟻塚ヴァリス・・・どないやねん!(笑)
 私が好きな作家さんをモデルにしたパロディだったので楽しかったのですが、
 これ、根本的に何も解決していないよね?(^^;)

◆解答編 依井貴裕
 途中まで読んで、法月さんとアイディアが被ってるな~と思ったのですが、
 叙述もあり、読者への挑戦を挿入するなど工夫が見られる点を評価したいです。
 読者への挑戦はあの短さなので、まあ分かりますよね。
 でもこれだとレジの女の子がそのうち気付くのでは?

◆若竹賞 佐々木淳(倉知淳)
 倉知さん、デビュー前から猫丸先輩ものを書いていたのですね~♪
 猫丸先輩がとんでもない推理を開陳するので、オイオイ・・・と思っていたら、まさかのオチにびっくり!
 やはり猫丸先輩、一筋縄ではいかないクセモノです。
 でもこれも何も解決してないよね(^^;)

◆法月賞 高尾源三郎
 北村薫風、というか円紫さんシリーズのパロディというべきか。
 おそらく書店でアルバイトをしていた女子大生、という点から着想を得たのでしょう。
 選考委員の先生方が言うように、オリジナルキャラで勝負した方がポイント高かったかも。
 お話としては綺麗に纏まっていて、不審な男のイメージは払拭されていましたね。

◆依井賞 谷英樹
 私の読みが浅いのか、これだけはどうにもよく分からない。
 叙述を2回使っているのが分かりにくくしているのだと思うけど・・・。
 そのために編集長を「先生」と呼ばせていたあざとさもちょっと鼻に付く。
 告白文の内容は悪くなかったのですけどね。

◆優秀賞 矢多真沙香
 美形2人が経営するレストラン。こんなお店があったらもう毎日通っちゃう!・・・と萌えていたのに。
 モデルがあの人とあの人とは・・・。言わないで欲しかった。イメージが音を立てて崩れる~(笑)
 これは感動的なお話で、受賞作の中では一番好きなのですが、50円玉にする必然性がないのですよね。
 小学生の男の子なら、スーパーカー消しゴムとか、プロ野球カードとかじゃないのかなぁ。

◆優秀賞 榊京助
 これは怖い。始めの方にあるものが出てくるので、あ、これを使うのだなとすぐ分かるのですが、
 まさかのブラック路線でした。優秀賞は白と黒の真逆になりましたね。
 確かに先生方がおっしゃるように自殺に見せかけるトリックも書いてほしかったなぁ。
 この企画、かの中年男はどう思っているのでしょうね?ひょっとして若竹氏の背後に・・・怖~い!

◆最優秀賞 高橋謙一(剣持鷹士)
 こんなヤバいことをやっている部屋に掃除のおじさんを出入りさせないだろうとか、
 そんなに大量の50円玉は必要か?など、ツッコミどころが多々あるのですが、
 しょぼい軽犯罪から大事件の摘発へとスケールアップする展開はなかなかのもの。
 日常の謎のお題から、犯罪小説を作り上げた技量と独創性を高く評価されたのだと思います。

◆老紳士は何故・・・・・・? 有栖川有栖
 わ~い!江神さんだ~♪江神シリーズって作品数が少ないので、これは貴重かも。
 法月・依井両氏と同じ展開ですが、このキャラたちにはどんどん動いてもらった方が楽しいですね(^^)
 真相は切ないですねぇ。折角穴が開いているのだから紐を付けておくべきでしたね。
 しかしオチには脱力・・・。「つまらぬものを斬ってしまった(by石川五右エ門)」江神さんの悲哀が何とも。

◆五十円玉二十個を両替する男 または編集長Y・T氏の陰謀 笠原卓
 その昔、大判の50円玉があったとは知りませんでした。(まだ生まれてないもん!・・・と若さを強調^^;)
 発行年によっては3000円位の値が付くとか。でもこの方法で手に入れるには効率が悪すぎる気がします。
 意味深なサブタイトルが付いていますが・・・あらら謎が増えちゃった。
 疑い出したらキリがないですねぇ(^^;)

◆五十円玉二十枚両替男の冒険 阿部陽一
 ついにあの両替男が殺されてしまった!
 犯罪がらみの話に仕上げた作品はいくつかありましたが、両替男が被害者というのはこれのみ。
 でも両替の行為そのものに意味はないのですよね。苛立っていたことの説明もつかない。
 誰が聞き耳を立てているか分からないので、愚痴をこぼす時は要注意ですね(^^;)

◆消失騒動 黒崎緑
 始めは公衆トイレから消えた女の話が延々と語られるので、
 いつ50円玉が出てくるのかと思ったら・・・そうきたか(^^;)
 しょぼい犯罪の割には、仕掛けが大掛かりな気もしますが・・・。
 『しゃべくり探偵』と同様、全編会話文のみで、まるでコントのように展開する力量が凄い。

◆50円玉とわたし いしいひさいち
 作者名で分かると思いますが、これのみマンガです。
 「五十円玉二十枚の謎と十三の解答」にするための数合わせだったという(^^;)
 しかし文庫で細かいコマ割りのマンガは小さすぎて読み辛い。
 ページを増やしてもう少し大きく掲載してほしかった。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)
 ★★★★

■こんな方におすすめ!

  • 日常の謎ものが好きな方
  • クイズが好きな方
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Tag:アンソロジー 若竹七海 法月綸太郎 依井貴裕

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