Love knot~ミステリ&フィギュア通信~

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【プールの底に眠る】 白河三兎

 02, 2015

◆◇◆セミとイルカのひと夏の恋◆◇◆

白河三兎(シリーズ外)
長編
講談社ノベルス 2009.12
  講談社文庫 2013.4
20第42回メフィスト賞受賞作


■あらすじ

13年前の夏休み最終日、僕は「裏山」でロープを首に巻いた美少女を見つける。自殺を思いとどまった少女は、私の命をあなたに預けると一方的に告げた。それから7日間、ばらばらに存在する人や思いや過去が繋がりはじめた。結末は何処に?切なさと驚きに満ちた鮮烈デビュー作。
(講談社文庫より)

■感想
テーマ読み「水」、3番手は【プールの底に眠る】です。
海、川、プールときました。いや~暑いので泳ぎたいですね

本書はブックオフで手に入れたのですが、当然帯も付いておらず、予備知識が何もなかったので、
表紙イラストからホラー系なのかと勝手に思っていました。
(水の底に沈んでいる女の子、怖いでしょー?目を開けてるし・・・。)
帯には「切なさの魔術師」と書いてあったそうです(^^;)

序章では、留置所で一晩を過ごすことになった「僕」が、13年前の夏に思いを馳せます。
この時、まだホラーだと思い込んでいましたので、
この「僕」が女性を水に沈めて殺したとばかり思っていました
殺伐としたミステリばかり読んでいると、ついそっちの方へ連想してしまう(^^;)
全く見当違いであることが後で分かるのですが(笑)

13年前の過去パートでは、セミとイルカが出会い、恋に落ちていくさまが描かれています。
二人の出会いは衝撃的で、木の上にいた少女の首にはロープが巻かれていたのです。
ところが「僕」は自殺を思い止まらせることなく、「気ままにやりなよ」と突き放してしまったので、
では改めて、という気分にはなれず。そこで彼女は一方的に「僕」に命を預けることにする。
結局自殺は止めることになり、お互いを「セミ」、「イルカさん」と呼ぶようになる。

一見、面映いような恋愛ものなのですが、
出会いからも分かるように、彼女─セミは、学校で壮絶ないじめを受けて自殺しようとしていたし、
僕─イルカも過去に辛い経験をし、それをずっと引きずって生きている。
心に傷を抱えた二人。
セミは地上で七日間しか生きられない。
そして二人が出会って七日目がやってくる──。

雰囲気はあるものの、やはりまだデビュー作ということもあって、あまり文章は上手くないですね。
「福沢諭吉がプリントされた紙幣」だとか「校長先生が校庭で挨拶する時に上る台」といった
まわりくどい言い回しも気になりました。どうして素直に「一万円札」「朝礼台」と言わないのか?
こういう表現は時と場合によっては効果的だけど、ここではあまり意味のないところで使われているのですよね。
また彼らの口調や考え方が年齢の割に大人びているというか、達観し過ぎていて、不自然さを感じます。
大人の私から見ても、それはどういうこと?と首をかしげてしまう場面もありました。

一応メフィスト賞受賞作ということですが、あまりミステリらしくなかったですね。
まあメフィスト賞自体がミステリの枠からはみ出しているので、何とも言えないけれど(^^;)
終盤の展開もほぼ予想通りだったので、特に驚きもありませんでした。
僕と老人の会話には心に響くものがありましたが、老人の存在がスーパー過ぎて現実味がないのが残念。
映画みたいなぶっ飛んだ設定を生かすのなら、最後にもう一波乱ぐらいあった方がいい。
いや、あれがどんでん返しのつもりだったのかな?予定調和な終わり方にしか見えなかったけど・・・。

著者の白河三兎さんについて調べてみたのですが、年齢も性別も不明の覆面作家さんなのですね。
メフィスト賞のあとがきのあとがき」によると、外国で生まれて、後に日本に帰ってきたらしい。
となると、この作品の舞台は白河さんの生活圏内と考えていいのかな。
私、この作品の舞台になった場所に心当たりがあるのですよ。
たぶんあの場所で間違いないと思う・・・あの駅に掲示板は・・・確かあったな。
ここ何年かは行っていないので、今はどうなっているか分かりませんが・・・。

恋愛ものというより、僕が過去の呪縛から解き放たれ、再生していくお話でした。

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

 ◆トリック度267
◆満足度★★☆

■こんな方におすすめ!

  • 青春ものが好きな方
  • 切ないお話が好きな方
  • 前向きな気持ちになりたい方

◆テーマ読み「水」◆
テーマ読み「水」

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Tag:白河三兎 メフィスト賞

COMMENT 2

Tue
2015.08.04
21:58

mokko

URL

あ・・・

カバーイラストはプールの底だったのですね・・・
マフラー巻いた女の人だと思ってました( ̄▽ ̄;)ゞ
メフィスト賞受賞ですかぁ~
何気に侮れなかったりするので、何とも言えないのですが
あまりミステリミステリしてなかったみたいですね
っていうか、場所に心当たりがあるって方がステキヾ( 〃∇〃)ツ ウキャッ
楽しさが倍になりますよね(p^_^q)
mokkoも次の作品は底です。水の底です。底繋がりがちょっとうれしい。

Edit | Reply | 
Tue
2015.08.04
23:50

翠香

URL

mokkoさんへ

マフラー??
あ~胸のラインと袖がそう見えないこともないか。
そもそもこれ、夏のお話だからさすがにマフラーはないかな(^^;)
まぁメフィスト賞自体があまりミステリミステリしていないのが多いですからねぇ。

読んでいて、あれ?この場所って・・・と思ったのですよ。
実は私の家の近くってドラマのロケに使われることが多くて、
結構人気俳優さんも来ているのですよ。
ロケは早朝とか深夜みたいなので遭遇してないのだけど。
なので、ドラマだけでなく小説も!とちょっと興奮状態だったりします(笑)

Edit | Reply | 

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