【まほろ市の殺人】 有栖川有栖・我孫子武丸・倉知淳・麻耶雄嵩

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By翠香

◆◇◆まぼろし~!◆◇◆

有栖川有栖我孫子武丸倉知淳麻耶雄嵩
アンソロジー
ノン・ノベル 2009.3
  祥伝社文庫 2013.2


■あらすじ

まほろ市──そこは不思議な事件が勝手に集まってくる、普通に見えて、どこかおかしな街。春には幽霊の痴漢とバラバラ遺体が。夏には新人作家への一通の手紙から不思議な恋と親友の死が。秋には連続異常殺人が。冬には大金に目が眩んだ男の前に双子の兄の亡霊が。同じ街を舞台に、人気ミステリ作家四人が描く、息を呑む驚きのトリックの数々!傑作推理アンソロジー

(祥伝社文庫より)

■書籍紹介

架空の地方都市「真幌(まほろ)市」を舞台に、
四人の作家が春、夏、秋、冬のいずれかを受け持ったアンソロジー
元々は「400円文庫」の企画で、それぞれ別個に刊行されたものを1冊にまとめたものです。
やはり個別に読むよりも、アンソロジーとして1冊で読める方がお得感ありますよね。

冒頭に真幌市街地図が載っています。架空都市なのに本格的ですね。
ふと隣接する市を見てみると、九陰市、駄陰市、土井留市、加亜市があります。
クイーンに、ダインに、ドイルに、カーね、とニヤリ(^ー^)
次ページには真幌市の沿革まである!この凝りよう(^^;)
ここもよく見ると、横溝氏、鮎川氏という名前があり、ニヤニヤ。
でもこれらの情報は推理には特に関係ありません。

まほろ市という名前からも想像つくと思いますが、幻がテーマになっているようです。
幽霊だったり、蜃気楼だったり・・・。

県警の刑事が4編の共通キャラとして登場しますが、あくまでわき役。
「春」で起きた事件を「夏」でさらりと触れる程度の繋がりはありますが、
それほど作品間の繋がりはなく、何を書くかは個々の作家さんに委ねられているようです。
一人の作家さんが書いた連作短編集ではなく、あくまでアンソロジーなので、あまり統一感はありません。
それぞれの作家さんの個性を楽しむのが良いかと思います(^^)

 

 春 無節操な死人 倉知淳
◆作品あらすじ
真幌の春の風物誌・浦戸颪(おろし)が吹きすさんだ翌朝、
美波は、幽霊の痴漢に遭ったと妙なことを言う。
そんな折、カノコから『私、人を殺しちゃったかもしれない』という電話を受ける。
7階のベランダの外で覗いていた男を、モップの柄で突き落としたというのだが、下には誰もいなかった。
後日、カノコのマンションからずっと離れた川の下流で、その男のバラバラ死体が発見される。
しかも死亡推定時刻は、カノコの部屋を覗いていた時刻より前だという。一体どういうことなのか?

◆感想
猫丸先輩シリーズでお馴染みの倉知さんらしい、ライトな雰囲気の作品。
魅力的なキャラが登場するので、単発で終わらせるには勿体無いぐらい。
無駄なく伏線が仕込んであり、4編の中で一番本格推理の趣きがあったのですが、
これ、想像すると、かなーりグロいですよね(いや・・・あまり想像したくない^^;)
結局あの幽霊の痴漢、どこへ行ったのでしょうね。ううっ。

 

◆夏 夏に散る花 我孫子武丸
◆作品あらすじ
一発屋の作家・君村の元に、みずきという女性からファンレターが届く。
ほどなく二人のメール交換が始まり、実際に会うところまで漕ぎつけた。
しかし、その後みずきからの連絡は途絶えてしまう。
意を決した君村は、友人の小山田とともにみずきの家を探しに行くと、道で彼女にバッタリ出会う。
その後、みずきとの交際は順調に進むが、
君村が彼女を求めようとした翌日、思いもよらない事件が起きる──。

◆感想
武丸先生、こういう作品も書かれるのですね。
速水三兄弟のイメージが強くて、コミカル路線なのかと思っていました。
4編の中で、私はこれが一番好きです。すごく切ない・・・
君村が彼女の本質を見極める目を持っていれば、こんな悲劇は起こらなかったのに・・・
でも君村って、そんなに魅力的な男なのかな?
作中からは彼の魅力は伝わってこなかったのだけど・・・。

 

◆秋 闇雲A子と憂鬱刑事 麻耶雄嵩
◆作品あらすじ
ここ半年、真幌市民を震撼させている「真幌キラー」。
犯人のこだわりは、被害者の旁に意味ありげな小物を置き、被害者の左耳を燃やすというもの。
真幌市在住の女流推理作家・闇雲A子は、真幌キラーの事件に乗り出す。
そのお守り役を仰せつかった天城憂こと「メランコ刑事」は、A子に振り回されっぱなし。
しかし、A子の身辺にも真幌キラーの魔の手が・・・。

◆感想
キャラは立っていて面白いのだけど、誰も彼も好きになれず・・・。闇雲A子、強烈すぎ(^^;)
A子とメランコのタッグで事件解決か、はたまた安楽椅子探偵の出番か?と動向を見守っていたら、
まさかあの人物に謎解きをお願いするとは・・・。それでいいのか?
推理作家と刑事にプライドはないのか??
小物の意味は薄々気付いていたのだけど、そういうオチに持って行くとは!
ラスト、ぞくりとしました

 

◆冬 蜃気楼に手を振る 有栖川有栖
◆作品あらすじ
涙横丁からの帰り、満彦はバイクの死亡事故を発見し、傍にあった鞄を持ち逃げしてしまう。
鞄には三千万円もの大金が入っており、帰宅後、兄の史彰と口論の末、殺してしまう。
兄の遺体を山中に埋め、何事もなかったかのように生活する満彦だが、
度々、兄と瓜二つの男に遭遇するようになる。
亡霊など信じたくないが、その男は自分にしか見えていないようで・・・。

◆感想
この作品のみ、犯人目線で描かれています。
蜃気楼に亡霊と、最もテーマを意識した作品になっていますね。
途中から、ホラーな展開になってきたので、面喰いましたが、このオチはちょっと・・・。
アリス先生には、ロジカルな推理を期待していただけに、脱力してしまいました。

 

■評価(5個が最高:★は1点、☆は0.5点)

  ◆トリック度 267267
◆満足度 ★★★

■こんな方におすすめ!

  • 気軽なミステリをお探しの方
  • 作家四氏の作品をお試ししてみたい方

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